
日本政策金融公庫の審査とは?起業予定の会社員が知っておくべき通過のポイント
「来年、会社を辞めて起業したい。でも、創業融資の審査って何を見られるの?」
そんな不安を抱える会社員の方、少なくないと思います。
ズバリ言います。日本政策金融公庫の審査は、決して「甘く」ありません。
でもご安心ください。正しい準備をすれば、審査通過は現実的に十分可能です。
今回は、会社員の方が1年後の起業に向けて、どのように準備を進めれば「公庫の審査を突破」できるのか、そのポイントをわかりやすく解説していきます。
そもそも「審査」って何を見られるの?
審査と聞くと、なんだか「試験」みたいなイメージがあるかもしれませんが、実際には次の4つの視点で総合的にチェックされます。
1. 自己資金
最も基本的な審査項目の一つ。
- コツコツ貯めたか(通帳履歴)
- 誰かから借りたお金じゃないか(入金の出どころ)
をチェックされます。
最低でも、必要資金の1〜2割の自己資金があるのが理想。
2. 経験・スキル
起業しようとしている業種に関して、どれだけの実務経験や知識があるかが問われます。
例えば「飲食店をやりたい」という人が、飲食業界の経験ゼロだと、やはり説得力に欠けてしまいます。
3. 事業計画書の内容
- 売上・経費の見込みが現実的か
- 顧客のニーズがあるか
- 数字に根拠があるか
このあたりが審査のポイントです。
特に「どこから収入が上がるのか」の説明が弱いと、審査通過は難しくなります。
4. 人柄・信頼性(面談で見られます)
最後はやっぱり「人」なんです。
- 質問に対して誠実に答えられるか
- 自分の事業に自信を持っているか
- 数字の説明をきちんとできるか
面談ではこのあたりが見られます。
よくある落とし穴と対策
【落とし穴1】通帳にドンと大きな入金がある
「友人から一時的に借りて、自己資金を見せようとした」
→すぐにバレます。通帳の履歴は半年〜1年分提出します。コツコツ貯める姿勢こそが信頼の証です。
【落とし穴2】事業計画書が「夢物語」になっている
「1年目で年商1億円を目指します」
→気持ちはわかりますが、初年度から大きな数字を掲げるのは逆効果。
現実的な数字で、収支バランスの取れた計画が大切です。
【落とし穴3】面談で「他人任せ」な発言が多い
「経理は友人に任せます」「売上は知人が紹介してくれるはずです」
→審査官が見たいのは、あなた自身の行動力と覚悟です。
審査を通すための準備ステップ
ステップ1:今すぐ通帳の“育成”を始める
毎月、一定額をきちんと貯金している履歴を作りましょう。
1年で30万〜50万円あれば、かなりの安心材料になります。
ステップ2:事業計画書を磨く
「誰に」「何を」「どう売るか」「いくら利益が出るか」を具体的に。
競合分析やターゲットのニーズ調査も入れておきたいところです。
ステップ3:経験や実績を積む
副業として始めてみる、関連資格を取るなど、起業予定の分野に関わる実績を作りましょう。
ステップ4:面談練習をしておく
面談では、事業内容を自分の言葉で説明する練習を。数字の質問にも即答できるようにしておきましょう。
審査後の流れ
- 書類審査(1〜2週間)
- 面談(1時間程度)
- 審査結果通知(1〜2週間)
- 融資契約・振込(1週間程度)
トータルで1ヶ月〜1.5ヶ月くらいが目安です。
FAQ:よくある質問
Q. 審査に落ちたら、もう公庫から借りられない?
A. 再チャレンジは可能です。ただし、落ちた理由をきちんと分析し、改善する必要があります。
Q. クレジットカードのリボ払い残高は審査に影響しますか?
A. 影響する可能性はあります。できるだけ早めに返済しておくことをおすすめします。
Q. 面談で緊張してうまく話せなかったらどうしよう…?
A. 大丈夫です。要点をメモにまとめて持参し、落ち着いて話せばOKです。誠実さが伝われば問題ありません。
Q. 創業時点で売上実績がなくても大丈夫?
A. はい、ゼロからのスタートでOKです。ただし、将来の売上見込みや受注予定があれば、それは大きなアピールポイントになります。
まとめ:審査は「信頼の構築」
公庫の審査とは、あなたの「ビジネスに対する本気度」と「信頼できる人かどうか」を見極める場です。
だからこそ、事前準備が何より大事。
- 通帳履歴
- 事業計画
- 実務経験
- 誠実な受け答え
この4つを丁寧に整えていけば、審査はしっかり突破できます。
起業の第一関門を乗り越え、夢をカタチにするためにも、今からできる準備をコツコツ始めていきましょう。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。