
エステサロンの内装費・設備費を融資で調達する方法|資金使途とリースとの違いを解説
エステサロンの内装費は融資でどこまで賄える?資金使途の線引きを解説
エステサロンの開業や改装では、内装工事費と美容機器の購入費がまとまった金額になりがちです。「この費用は融資でどこまで賄えるのか」「敷金や礼金も融資でカバーできるのか」といった資金使途の線引きに迷う方は少なくありません。この記事では、内装費・設備費を創業融資で調達するときの資金使途の考え方、返済期間の区分、機器のリース契約との比較まで、これからエステサロンを開業・改装するオーナー向けに実務目線で整理します。数字は執筆時点(2026年6月1日現在)の情報のため、実際の申請前には日本政策金融公庫の最新情報を確認してください。
内装費・設備費は融資の「設備資金」にあたる
創業融資の資金使途は、大きく「設備資金」と「運転資金」に分かれます。エステサロンの内装工事費、施術ベッドや美顔器などの美容機器の購入費は、いずれも設備資金に区分されます。これに対して、開業後の家賃・材料費・人件費といった日々の運営にかかる費用は運転資金です。
この区分が重要なのは、返済期間の設定が異なるためです。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合、設備資金は返済期間20年以内、運転資金は原則10年以内という目安が示されています(据置期間はいずれも5年以内)。内装費・設備費のように金額が大きくなりやすい費用ほど、長期の返済期間を設定できる設備資金として組み立てるほうが、月々の返済負担を抑えやすくなります。
資金使途に含まれるもの・含まれないもの
内装費・設備費として計上できる代表的な項目は次のとおりです。
- 内装工事費(壁紙、床材、照明、空調、水回りなど)
- 施術ベッド・チェア、美顔器・脱毛機などの美容機器
- 什器・備品(受付カウンター、待合椅子、タオルウォーマーなど)
- 看板・サイン工事費
一方で、見落とされがちなのが物件取得にかかる費用の扱いです。テナント契約時の敷金・礼金・仲介手数料は資金使途に含めません。保証会社費用も同様です。ビジネスにおいて敷金・礼金は一般的に資金使途として扱わないためです。「物件を借りるための費用も含めて全部融資で」と考えていると、事業計画書の資金使途の欄で見積もりがずれてしまうため、内装費・設備費とは別枠で自己資金や他の手段を検討しておく必要があります。
設備資金の見積もりで準備しておきたい書類
設備資金として申請する場合、内装業者や機器メーカーからの見積書が計画の説得力を左右します。次の点を意識して準備すると、審査の場でも説明がスムーズです。
- 内装工事・機器導入それぞれの見積書を項目別に取得する
- 複数業者から相見積もりを取り、金額の妥当性を示せるようにする
- 中古機器を使う場合は、新品との価格差と選定理由を説明できるようにする
なお、融資の交付(実行)を待たずに契約・支払いを済ませてしまうと、審査の前提が崩れて計画の見直しが必要になることがあります。契約・発注のタイミングは、融資の審査状況を踏まえて進めるのが安全です。
内装費・設備費は融資かリースか
美容機器や内装設備の導入では、融資による一括購入のほかに、リース契約という選択肢もあります。初期費用を抑えられる点はリースの利点ですが、比較する際は次のデメリットも踏まえて検討する必要があります。
- 連帯保証人が必要になる
- 機器の所有権が持てない
- 契約期間中の中途解約が難しい
- 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い
融資であれば機器は自己所有になり、返済完了後は資産として残ります。一方でリースは月々の賃貸借費用として経費化しやすく、まとまった自己資金が無い開業初期の負担を抑えられる面もあります。融資とリースのどちらが有利かは、資産計上の考え方や資金繰りの状況によっても変わるため、賃貸借費用の負担も含めて税理士や金融機関に相談しながら判断することをおすすめします。
内装費・設備費の資金計画を立てるときの注意点
1. 設備資金と運転資金を分けて見積もる
内装・機器にいくら、開業後数か月分の運転資金にいくら、と分けて積み上げることで、事業計画書の説得力が増します。
2. 見積書の金額と申請額を一致させる
内装業者・機器メーカーの見積書に無い金額を上乗せして申請すると、審査で説明を求められることがあります。見積書に基づいた金額で申請しましょう。
3. 汎用品・中古品の扱いに注意する
パソコンやスマートフォンなど、美容業務に直接使わない汎用品は、設備資金として計上しづらい場合があります。美容機器としての用途が明確なものを中心に計画しましょう。
4. 内装・設備の税務処理は税理士に確認する
内装工事費や機器購入費は、減価償却など会計・税務上の取り扱いが必要になりますが、具体的な処理は資産の種類や事業の状況によって異なるため、詳細は税理士に相談するのが安全です。
よくある質問(FAQ)
Q. 内装費用がまとまった金額でも、全額融資で賄えますか?
融資限度額の範囲内であれば申請自体は可能ですが、実際の融資額は事業計画書や自己資金の状況によって審査で判断されます。全額を融資でまかなう前提ではなく、自己資金とのバランスを考えて計画するのが安全です。
Q. 居抜き物件を使う場合、内装費は抑えられますか?
既存の内装・設備を活かせる居抜き物件は、一般的に内装工事費を抑えやすい選択肢です。ただし美容機器や水回りの状態によっては追加工事が必要になることもあるため、見積もり段階で確認しておきましょう。
Q. 敷金・礼金はどうやって用意すればよいですか?
敷金・礼金・仲介手数料・保証会社費用は創業融資の資金使途に含まれないため、自己資金や他の手当てで別途準備しておく必要があります。開業資金の総額を見積もる際は、内装・設備費とは別枠で確保しておきましょう。
まとめ
エステサロンの内装費・設備費は、創業融資の「設備資金」として資金使途に計上でき、運転資金より長い返済期間(目安20年以内)を設定できる可能性があります。一方で、敷金・礼金・仲介手数料・保証会社費用は資金使途に含まれないため、開業資金全体の計画では別枠で用意する必要があります。見積書に基づいた金額で申請すること、融資とリースそれぞれの特徴を比較して選ぶことが、無理のない資金計画につながります。制度や条件は変わりやすいため、最新情報を確認しながら、内装・設備の導入計画を進める際は専門家にも相談してみてください。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























