
美容室の設備更新は融資かリースか|使える低利融資の種類と選び方
美容室の設備投資に使える低利融資|公庫の創業融資・生活衛生関係の制度とリースとの違い
開業から数年が経ち、シャンプー台やスタイリングチェア、乾燥機などの美容機器が老朽化してくると、「買い替えたいが、まとまった費用をどう用意するか」という問題に直面します。自己資金だけでまかなうのが難しいとき、選択肢になるのが低利融資の活用です。この記事では、美容室の設備投資で候補になる融資の種類と、融資とリースのどちらで導入すべきかの考え方を、開業数年の美容室オーナー向けに整理します。なお、金利・限度額などの数字は変わりやすいため、本記事の数字は執筆時点(2026年6月1日現在の基準)の目安です。申請時は必ず日本政策金融公庫など公式情報でご確認ください。
美容室の設備投資で候補になる融資の種類
日本政策金融公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)
個人事業主・中小企業の代表的な選択肢が、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月に「新創業融資制度」が廃止された後の主制度で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)と、設備投資にも対応できる規模です。創業期(新たに事業を始める方、または税務申告を2期終えていない方)は原則として無担保・無保証人で利用でき、基準利率は2026年6月1日現在、無担保・創業期で年3.45〜5.15%です。創業期の方が無担保で利用する場合、原則0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性もあります。ただし開業から数年が経過し、税務申告を2期終えている場合は、この創業期向けの条件とは異なる区分で審査される点に注意してください。
生活衛生関係の融資制度
美容業は法令上「生活衛生関係の営業」に位置づけられており、日本政策金融公庫には、こうした業種を対象にした生活衛生関係の融資制度も用意されています。一般の創業融資と対象・条件が異なる場合があるため、自店が対象になるか、どのような金利・限度額が適用されるかは、日本政策金融公庫の窓口や公式サイトで最新情報を確認するのが確実です。
自治体の制度融資
都道府県や市区町村が用意する「制度融資」も選択肢です。制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携する仕組みで、実際にお金を貸すのは民間金融機関、信用保証協会はその融資に保証を付ける役割を担います(「信用保証協会から借りる」わけではありません)。自治体によっては利子や保証料の一部を補助している場合もあるため、店舗のある自治体の制度を確認しておくとよいでしょう。
設備投資は融資とリース、どちらを選ぶべきか
美容機器の導入では、融資で購入するかリースを使うかも論点になります。リースには初期費用を抑えられるメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
- 連帯保証人が必要になる
- 機器の ownership が持てない
- 契約期間中の中途解約が難しい
- 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い
融資で購入すれば返済完了後は機器が自分の資産になりますが、月々の返済負担はリースの賃貸借費用と単純比較できるものではなく、資産計上の考え方や資金繰りの状況によっても有利・不利が変わります。どちらが自店に合うかは、税理士や金融機関に相談しながら判断することをおすすめします。
低利融資を受けるために準備しておきたいこと
創業融資では自己資金の額や割合について制度上の要件は決まっていませんが、自己資金の準備状況は審査の重要な判断材料になります。設備投資の融資を検討する場合も同様に、次の点を整理しておくと審査がスムーズになりやすくなります。
- 設備投資の目的と効果:なぜその機器が必要か、導入後に売上・客単価・稼働率がどう変わる見込みかを数字で示す
- 返済計画:設備資金は返済期間20年以内、据置期間5年以内が制度上の目安(新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の例)。据置期間中は利息のみの支払いになるため、開業直後のキャッシュフローに合わせて計画を立てる
- 見積書:導入予定の機器の見積書を早めに用意しておく
申請の流れとスケジュールの目安
申請から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月程度が目安です。事業計画書や見積書の準備期間を含めると、合計で1〜2か月程度を見込んでおくと安心です。設備の入れ替え時期が決まっている場合は、逆算して早めに動き始めることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 開業から数年が経っていても、低い金利で融資を受けられますか?
創業期向けの利率引下げは、新たに事業を始める方や税務申告を2期終えていない方が対象として案内されています。開業から数年が経っている場合はこの区分には当てはまらないことが多いため、通常の融資区分での金利や、生活衛生関係の融資制度など他の選択肢もあわせて確認するとよいでしょう。実際の適用可否は個別の審査や制度条件によって異なります。
Q. 自己資金が少なくても設備投資の融資は受けられますか?
自己資金が少ないと審査のハードルが上がる傾向はありますが、「必ず借りられない」とは言えません。事業計画の具体性や、これまでの営業実績(売上・利益の推移)なども判断材料になるため、まずは専門家に相談して準備状況を整理することをおすすめします。
Q. 融資とリースを組み合わせることはできますか?
機器の種類ごとに融資とリースを使い分けることは可能です。高額で長く使う機器は融資で購入し、入れ替えサイクルが早い機器はリースにするなど、資金繰り全体を見ながら組み合わせを検討するとよいでしょう。
まとめ
美容室の設備投資では、日本政策金融公庫の創業融資に加え、生活衛生関係の融資制度や自治体の制度融資など、業種・状況に応じた選択肢があります。融資とリースにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、機器の性質や資金繰りの状況に応じて使い分けることが大切です。金利や制度の詳細は変わりやすいため、本記事の数字は執筆時点の目安として捉え、申請前には必ず日本政策金融公庫など公式情報で最新の条件を確認しましょう。資金計画に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























