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コラム

フランチャイズの創業融資は担保なしで通るのか|保証を求められる場面を切り分ける

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フランチャイズ加盟で担保や連帯保証人は必要になるのか|融資と他の契約を分けて考える

フランチャイズへの加盟を決めかけている段階で、多くの方が最後に引っかかるのが担保と保証人の話です。自宅や車を持っていると、万一うまくいかなかったときに家族へ迷惑がかかるのではないかという不安が出てきます。

ただ、この「担保なし・保証人なし」という一語には、実は仕組みの違う3つの話が混ざっています。日本政策金融公庫の創業融資、自治体の制度融資、そして融資ではない契約。この3つは保証の付き方がそれぞれ別なので、まとめて心配しても答えが出ません。この記事では、フランチャイズ開業を前提に、どの場面で何を求められるのかを切り分けて整理します。数字は2026年8月時点の社内資料に基づくもので、申請時には最新の公式情報をご確認ください。

1つめ:公庫の創業融資は、創業期なら原則として無担保・無保証人です

日本政策金融公庫の創業融資では、創業期の方は原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。ここでいう創業期の方とは、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方を指します。フランチャイズ加盟であっても、この定義に当てはまるかどうかで判断されます。

主力となる制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月までは「新規開業資金」という名称で、2024年4月から改称・拡充されました。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が原則10年以内で、いずれも元金返済の据置を5年以内で設定できます。据置期間中は利息のみの支払いになるため、開業直後のキャッシュフローに余裕を持たせられます。

フランチャイズだから担保が要る、という制度上の区別はありません。ただし審査では、本人が事業として創業した実績があるかどうかが見られます。本部のブランドや業態に実績があることと、申込者本人に創業の実績があることは別の話なので、ここは混同されやすい部分です。判断は事業計画書と自己資金などをもとに行われます。

先に確かめておきたいのが、ご自身が創業期にあたるかどうかです。すでに個人事業を営んでいる方がフランチャイズに加盟する場合、税務申告を2期終えているかどうかで立ち位置が変わります。2期を終えていれば創業期の定義からは外れますし、同じ事業をそのまま法人化する法人成りは、既に事業実績があるとみなされて原則として通常の融資の扱いになります。一方で、いま営んでいる事業とは別の事業を行う法人を新しく設立する場合は、その法人にとっては創業にあたるため創業融資を使えます。自分がどの形に当てはまるかで、無担保・無保証人の前提そのものが変わってきます。

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監修元日本政策金融公庫 支店長 多胡藤夫/執筆 元朝日信用金庫 融資担当営業 小峰精公

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2つめ:自治体の制度融資は、仕組みそのものが公庫と違います

もう一つの選択肢が、自治体の制度融資です。こちらは自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携する仕組みで、公庫とは構造が異なります。

お金の出し手は民間金融機関で、信用保証協会は保証を付ける役割を担い、自治体は利子補給や預託などで関与します。よく「信用保証協会経由の融資」という説明を見かけますが、これは正確ではありません。協会が直接貸すわけではないためです。保証を誰が付けるのかという構造を理解しておくと、窓口で説明を受けたときに話が食い違いません。

この違いは、相談に行く先にも効いてきます。公庫は政府系金融機関で、民間金融機関では対応が難しいケースにも積極的に取り組むのが特徴です。制度融資のほうは自治体の窓口や取扱金融機関が入口になり、条件は自治体ごとに定められています。フランチャイズ加盟の資金をどちらで組むかを考えるときは、金利の数字を並べる前に、この入口の違いと手続きに関わる相手の数を見ておくと段取りが立てやすくなります。

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呼び方の話をひとつ。ご相談の場では今でも「新創業融資制度で借りたい」とおっしゃる方がおられますが、この制度は2024年3月に廃止されています。旧名で検索して出てくる解説には、旧制度にあった自己資金の割合要件がそのまま残っていることがあります。制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていないので、そこは読み替えてご覧ください。

3つめ:融資ではない契約のほうで、連帯保証人を求められることがあります

フランチャイズ開業では、本部が指定する厨房機器やレジ、什器をリースで入れる形が用意されていることがあります。リースは初期費用を抑えられる一方で、融資とは条件が異なります。

  • 連帯保証人が必要になる
  • 機器の ownership が持てない
  • 契約期間中の中途解約が難しい
  • 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い

創業融資のほうを無担保・無保証人で組めても、同じ開業の中でリース契約に連帯保証人を求められる、という組み合わせは起こり得ます。「保証人なしで開業したい」という希望があるなら、融資の条件だけでなく、加盟契約に付いてくる機器の入れ方まで含めて確認しておくほうが確実です。どちらが有利かは資産計上の考え方や資金繰りの状況によっても変わるため、賃貸借費用の負担も含めて金融機関や税理士に相談しながら判断してください。

無担保だと金利の面で損をするのでしょうか

担保を付けないと金利が上がるのではないか、という疑問はよく出ます。数字で見ると、水準そのものは確かに差があります。2026年6月1日現在の基準利率は、税務申告を2期終えていない場合が年3.45〜5.15%、有担保の場合が年2.50〜4.80%です。

ここで混同されやすいのが、創業期の利率引下げとの関係です。創業期の方が利用する場合、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性がありますが、この引下げは担保の有無を問いません。無担保で借りる人だけの優遇ではないため、「担保を付けないから引下げがある」という理解は正確ではないことになります。適用可否は利用する制度や審査・条件により異なるので、下がると決めつけず申請先でご確認ください。金利の幅は返済期間や据置期間の有無、制度ごとの規定によっても動きます。

小峰精公

💬 執筆者の小峰から一言

順番の話をさせてください。書類を出してから融資実行までは、おおむね3週間から1か月が目安です。準備を含めると合計で2か月程度を見ておくと安全です。加盟契約や物件の契約を先に決めてしまうと、この2か月がそのまま開店予定日を押してきます。担保や保証の心配をする前に、加盟の意思決定をいつ行い、開店をいつにしたいのかを紙に並べてみてください。

フランチャイズならではの確認事項

書類の準備でひとつ、混ざりやすいものがあります。法定開示書面(重要事項説明書)は、フランチャイズ本部が加盟希望者に交付する書類であって、公庫融資の申請に必要な書類ではありません。加盟の検討で受け取った資料をそのまま融資の必要書類リストに入れてしまうケースがあるので、切り分けておいてください。融資側で中心になるのは、創業計画書・自己資金のエビデンス・見積書・本人確認書類などです。

もう一点、すでに別の会社を経営している方は、決算書の扱いを整理しておくとよいでしょう。創業融資だから決算書を見ないわけではありません。新しく設立した会社でも一期でも決算が締まっていればその決算書が確認されますし、代表者が別に会社を経営している場合は、その会社の決算書も確認の対象になります。個人事業で小さく始めていて、そこからフランチャイズ加盟に進む方は、手元の数字を説明できる状態にしておくと話が進みます。

まとめ

フランチャイズ開業で「担保なし・保証人なし」を考えるときは、対象を3つに分けて見ると整理がつきます。公庫の創業融資は、創業期の方であれば原則として無担保・無保証人。自治体の制度融資は三者連携の仕組みで、保証を付けるのは信用保証協会。そして本部指定機器のリースなど、融資ではない契約では連帯保証人を求められることがあります。

無担保と有担保では基準利率の水準に差がありますが、創業期の利率引下げは担保の有無で変わるものではありません。制度も金利も変わりやすいため、本記事の内容は2026年8月時点の情報としてお読みいただき、実際の条件は申請先や専門家にご確認ください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

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  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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