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コラム

事業計画書の書き方|銀行が見ているポイントを解説

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事業計画書の書き方|銀行が見ているポイントを解説

「事業計画書を出してください」と銀行から言われたとき、何をどう書けばよいのか、最初は誰でも戸惑います。
ネットを検索すれば各種テンプレートが見つかりますが、項目を埋めるだけでは融資審査を通すレベルにはなりません。

銀行融資の現場で評価される事業計画書は、「動機」「経験」「数字の根拠」がひとつのストーリーとしてつながっているもの。逆に、テンプレートをただ埋めただけの計画書は、銀行員にも「テンプレ感」を見抜かれてしまいます。

この記事では、起業直後の個人事業主・中小企業の経営者向けに、銀行融資のための事業計画書の書き方と、銀行員が実際にチェックしているポイントを整理します。

そもそも事業計画書は何のために書くのか

銀行融資の事業計画書は、社内整理のための資料ではなく、第三者である銀行員を納得させるためのプレゼン資料です。

銀行員は事業計画書を読みながら、次のような問いを頭の中で投げかけています。

  • ・この事業は、本当に儲かる構造になっているか
  • ・社長は、この事業を回す力があるか
  • ・借りたお金は、計画どおり使われるか
  • ・返済の原資は、毎月のキャッシュフローでまかなえるか
  • ・想定外の事態が起きたとき、社長は耐えられるか

事業計画書の各項目は、これらの問いに対する答えとして書く意識が大切です。

銀行融資向け事業計画書の標準構成

業種や金融機関によって細かな違いはありますが、おおむね次の構成で書けば外しません。

  1. 表紙・基本情報(会社名、代表者、所在地、設立年月、資本金、業種など)
  2. 事業の概要(何を、誰に、どう提供しているか)
  3. 創業の動機・ビジョン(なぜこの事業をやるのか)
  4. 代表者・経営チームの経歴と強み
  5. 商品・サービスの内容と価格、競合との違い
  6. 市場環境・ターゲット顧客・販売戦略
  7. 売上計画(向こう3〜5年)
  8. 損益計画・収支計画
  9. 資金使途と資金調達計画
  10. 返済計画と資金繰り計画

A4で5〜15ページ、補足資料を別添でつけるイメージです。

項目別の書き方のポイント

事業の概要

「IT企業です」「飲食店です」では足りません。「都心の30代女性向けに、無添加・低糖質を売りにしたデリバリー専門の弁当事業」というレベルまで、誰に・何を・どう提供しているかを一文で言い切れる形にします。

創業の動機・ビジョン

「儲かりそうだから」では弱く、「自分自身の経験」「業界の課題認識」「数字で語れる市場機会」のどれかと結びつけて語ります。動機が弱い計画書は、その後の数字計画も信用度が下がります。

代表者経歴

業界での勤務年数、担当領域、具体的な実績(売上、人数、案件規模など)を具体的に書きます。資格や学歴より、現場で何をどれくらいやってきたかが重視されます。経歴と新事業の中身がつながっていることを示せると説得力が増します。

商品・サービスと競合比較

「他社にない強み」を抽象的に書くのではなく、「価格」「品質」「納期」「アクセス」「アフターサポート」など具体的な切り口で比較表にまとめます。競合の存在を否定するのではなく、自社のポジショニングを冷静に示す姿勢が大切です。

売上計画

積み上げ式で書きます。月の客数、客単価、稼働率、リピート率など、根拠となる数値を分解して示します。「前年比+10%」は理由ではなく結果です。なぜ10%伸びるのか、その源泉を語れることが必須です。

損益計画・収支計画

売上から原価、人件費、家賃、その他経費を引いて利益が出る構造を、最低3か年分は示します。設備投資や採用計画もここに反映させます。営業利益率は、業界平均と比較できる形にしておくのが望ましい形です。

資金使途

「運転資金として500万円」だけではなく、「人件費3か月分150万円、仕入3か月分200万円、家賃3か月分90万円、広告宣伝60万円」と内訳を明示します。設備投資なら見積書を添付するのが原則です。

返済計画

借入金額・金利・返済期間から月次の元利返済額を算出し、それが月次キャッシュフローでどう吸収されるかを資金繰り表で示します。「営業利益から返します」だけでは不十分で、減価償却費を加えた営業キャッシュフローベースで説明する形が望ましいです。

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銀行員が「いい計画書」と感じるポイント

長年融資の現場を見てきた目線で、銀行員が「いい計画書」と感じる要素を挙げると、次のとおりです。

  • ・動機・経験・数字計画がひとつのストーリーで貫かれている
  • ・売上・利益の根拠が、数量×単価で分解されている
  • ・楽観シナリオだけでなく、現実シナリオ・悲観シナリオも示されている
  • ・資金使途と返済原資の関係が、資金繰り表で具体化されている
  • ・自社の強みと弱みが、誇張も卑下もなく書かれている
  • ・代表者の経歴と事業内容に、納得感のある関連性がある

逆に、テンプレートの空欄を埋めただけ、数字の根拠が「希望」だけ、強みが抽象的、こういった計画書は通りにくくなります。

事業計画書でやってはいけないこと

  • ・他社の事業計画書をそのまま流用する
  • ・売上を急成長させる過度に楽観的な計画にする
  • ・市場規模を誇張する(出典のない大きな数字)
  • ・原価・人件費を不自然に低く見積もる
  • ・代表者経歴を盛る、虚偽の経歴を書く
  • ・借入希望額を理由なく多めに書く
  • ・経費の内訳を曖昧にする
  • ・誤字脱字、整合性の取れない数字を残したまま提出する

特に数字の整合性は、別の表との突合せで一発で見破られます。提出前に複数人でクロスチェックすることをおすすめします。

提出後に問われやすい想定質問

  • ・売上計画の前提となるターゲット顧客数の根拠は?
  • ・主な競合企業はどこですか?自社の優位性は?
  • ・原価率・粗利率の水準感が業界平均とずれているがなぜ?
  • ・人件費はどの役職に何人分を想定していますか?
  • ・想定よりも売上が下回ったときの対応策は?
  • ・主要取引先1社に依存していないか?
  • ・代表者の生活費は、別途確保されていますか?

これらは事業計画書の中で先回りして言及しておくと、面談がスムーズになります。

よくある質問

Q. 事業計画書のページ数はどれくらいが適切ですか?
A. 銀行融資用なら本体5〜10ページ、添付資料を含めて15〜25ページ程度が一般的です。ボリュームより、各項目の整合性と根拠の明確さが重要です。
Q. 手書きでも問題ありませんか?
A. 手書きでも可ですが、近年は電子ファイル(PDF・Word・Excel)が標準です。図や表を入れるためにも、デジタルでの作成をおすすめします。
Q. 創業前で実績がない場合、売上計画の根拠はどう書けばいいですか?
A. 同業他社の公開データ、業界統計、自身の前職での実績、テストマーケティングの結果などを根拠として組み合わせます。「ゼロから根拠を作る」のではなく、参照できる外部情報をどれだけ集められるかが勝負です。
Q. 事業計画書の作成は専門家に依頼すべきですか?
A. 単純な作成代行ではなく、銀行融資の審査経験がある専門家に「内容のレビュー」を受けるのが有効です。社長自身が中身を語れる状態を保ったうえで、第三者目線でブラッシュアップしてもらうのが理想です。

まとめ

銀行融資の事業計画書で評価されるのは、テンプレートの埋め方の上手さではなく、動機・経験・数字計画がひとつのストーリーとしてつながっているかどうかです。

各項目を分解して書きつつ、最後に通読したときに「この人にこの事業をやらせて、貸したお金がきちんと返ってくるイメージが湧くか」、ここを自問しながらブラッシュアップしてみてください。

ひとりで仕上げるのが難しいと感じたら、融資の現場経験がある専門家と一緒に作るのも有力な選択肢です。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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