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自己資金負担額とは|意味・仕組み・利用条件をわかりやすく解説

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自己資金負担額とは|意味・仕組み・利用条件をわかりやすく解説

補助金や融資の申請書類を読み進めていると、「自己資金負担額」という言葉に出会うことがあります。「自己資金とは違うのか」「いくら必要なのか」と戸惑った経験のある個人事業主・中小企業経営者は少なくないはずです。本記事では、自己資金負担額の意味、補助金・融資それぞれでの位置づけ、計算方法、そして自己資金負担額を抑えるための実務的な工夫まで、起業支援の現場目線でわかりやすく解説します。

自己資金負担額とは何か

自己資金負担額とは、事業に必要な資金総額のうち、補助金や融資などの外部資金で賄えない部分を、申込者自身が用意・負担する金額のことを指します。シンプルに表すと次のとおりです。

自己資金負担額 = 事業総額 −(補助金や融資など外部から調達できる金額)

「自己資金」と混同されがちですが、両者は微妙に意味が異なります。「自己資金」は申込者が手元に保有する預金や蓄えそのものを指すのに対し、「自己資金負担額」は事業を進めるうえで自分が拠出することになる金額を指す概念です。要するに、「いくら持っているか」が自己資金、「いくら出す必要があるか」が自己資金負担額です。

補助金の交付申請書、融資の事業計画書、フランチャイズの加盟資料などで頻繁に登場する用語なので、正しく理解しておくと申請手続きの精度が上がります。

補助金における自己資金負担額

補助金には「補助率」という考え方があります。たとえば補助率が2/3の場合、対象経費の2/3を国や自治体が補助し、残りの1/3は申請者自身が負担します。この負担部分が「自己資金負担額」です。

具体例で考えてみましょう。設備投資総額が900万円、補助率2/3の補助金を活用するケースでは次のようになります。

  • 補助金で賄える金額:900万円 × 2/3 = 600万円
  • 自己資金負担額:900万円 − 600万円 = 300万円

ここで注意したいのが、補助金は原則「後払い(精算払い)」だという点です。事業者は900万円の支払いを先に立て替え、事業完了後の実績報告を経て600万円が振り込まれる流れになります。つまり、申請時点では補助金分も含めた金額を一時的に自己資金または融資で立て替える必要があります。手元キャッシュベースでみれば、見かけ上の負担はもっと大きくなる点に注意してください。

自己資金負担分は融資で賄えるか

自己資金負担額のすべてを必ずしも預金で用意する必要はなく、銀行融資や日本政策金融公庫の融資で賄うことは可能です。ただし、補助金の公募要領で「金融機関からの融資証明書」を求められるケースがあるため、補助金申請と融資申請を並行して進めるのが一般的な実務です。

融資における自己資金負担額

融資の文脈では、自己資金負担額は「創業資金総額のうち、融資を受けずに申込者が拠出する部分」を指します。日本政策金融公庫の創業融資では、創業資金総額に占める自己資金の割合が審査担当者の関心事になります。

具体例として、開業資金総額1,000万円、自己資金300万円、希望融資額700万円のケースでは次のとおりです。

  • 自己資金(自己資金負担額):300万円
  • 融資希望額:700万円
  • 自己資金比率:30%

かつての「新創業融資制度」では、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が要件として明記されていました。2024年3月の制度改定により「新規開業・スタートアップ支援資金」へ統合されたことで、この10分の1要件は撤廃されました。ただし、実務では依然として総額の2〜3割程度の自己資金が望ましいとされており、ここが事実上の「最低限の自己資金負担額」の目安になります。

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自己資金負担額の計算ステップ

実際に自己資金負担額を見積もるときは、次の手順で計算するとミスが減ります。

  1. 事業総額を洗い出す:設備投資、運転資金、保証金、改装費、広告費、初期在庫など、必要なお金をすべて書き出して合計する。
  2. 外部資金で賄える金額を試算する:補助金は補助対象経費と補助率から逆算、融資は希望額と返済可能額の双方を見て決める。
  3. 差額を計算する:事業総額から外部資金を引いた金額が、自己資金負担額になる。
  4. 手元の自己資金で足りるか確認する:足りない場合は、事業の縮小・分割投資・親族からの援助・追加融資のいずれかで埋める。

この一連の流れは、創業融資の事業計画書や補助金の事業計画書の「資金計画」セクションに、そのまま転用できます。

自己資金負担額が大きすぎる場合の対処法

「計算してみたら自己資金が全然足りない」という場面は珍しくありません。そのときの選択肢は大きく4つです。

1. 事業計画を絞り込む

「最初から完璧な状態でスタートしない」のは、起業の鉄則です。豪華な内装、最高グレードの設備、広いオフィスを初期から揃えると、自己資金負担額が膨らみがちです。「最低限スタートできる構成」と「あとから追加していくもの」を切り分けることで、初期の自己資金負担額を圧縮できます。

2. 分割投資にする

初年度に必要な投資と、2年目以降の投資に分割するのも有効です。売上が立ち始めてからの再投資なら、自己資金や追加融資で対応しやすくなります。

3. みなし自己資金を活用する

創業融資の世界では「みなし自己資金」という考え方があります。すでに事業に支出した費用(事務所の保証金、設備の手付金、開業準備のための仕入れなど)は、自己資金の一部として認められる場合があります。領収書や契約書を保管し、申請時にしっかり提示することで、自己資金比率を実態に近づけられます。

4. 親族からの援助を「贈与」として整理する

両親や配偶者からの援助は、贈与契約書を作成して「贈与」として明確にすれば、自己資金の一部として認められやすくなります。借入扱いになると審査での評価が下がるため、書面で形を整えておくことが大切です(金額によっては贈与税が発生するため、税理士への相談を推奨)。

業種別の自己資金負担額の目安

業種によって、必要な自己資金負担額の規模感は変わります。あくまで目安ですが、参考までに整理しておきます。

  • 士業・コンサル業など低投資型:開業資金総額100〜300万円、自己資金負担額は30〜100万円程度。
  • 小売・サービス業:開業資金総額300〜800万円、自己資金負担額は100〜250万円程度。
  • 飲食店:開業資金総額800〜1,500万円、自己資金負担額は250〜500万円程度。
  • 製造業・建設業:開業資金総額1,500万円以上、自己資金負担額は500万円以上が望ましい。

あくまで参考値であり、立地・規模・業態によって大きく変動します。具体的な計画があれば、専門家に確認するのが確実です。

よくある質問

Q. 自己資金負担額と自己資金は同じ意味ですか?

厳密には違います。「自己資金」は手元にある預金や現金を指す静的な概念、「自己資金負担額」は事業計画上で自分が負担する金額という動的な概念です。ただし、文脈によっては同じ意味で使われることもあるため、書類を読むときには前後の文脈で判断してください。

Q. 自己資金負担額がゼロでも事業を始められますか?

制度上は、補助金や融資をフル活用すれば理論上は可能です。ただし、補助金は後払いのため一時的な立替が必要、融資は審査で自己資金ゼロだと不利になる、という現実があります。実務的には、自己資金負担額をゼロにする計画は推奨されません。

Q. 自己資金負担額の根拠は何で示せますか?

預金通帳の残高、勤務時代の源泉徴収票や確定申告書、不動産売却契約書、贈与契約書などで証明します。「タンス預金」など履歴のないお金は、原則として自己資金とは認められにくいため、必ず通帳上で見える形にしておくことが重要です。

まとめ

自己資金負担額とは、事業総額から外部調達分(補助金・融資など)を差し引いた、自分自身が拠出する金額のことです。補助金では補助率に応じた「自己負担分」として、融資では「自己資金比率」として登場します。

金額を正確に把握しておくと、無理のない資金計画が立てやすく、申請書類の精度も上がります。自己資金負担額が大きすぎると感じたら、事業計画の絞り込み・分割投資・みなし自己資金の活用・贈与の整理など、複数の打ち手を組み合わせて対応してください。

本記事の情報は2026年5月時点のものです。補助金の補助率や融資制度の運用は変更されることがあるため、申請前には必ず公式情報を確認してください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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