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コラム

急速冷凍機のものづくり補助金は機種で決まる|冷媒の選び方で導入後に残る義務が変わります

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急速冷凍機にものづくり補助金を使うとき、機種選びで変わる導入後の管理義務

急速冷凍機の見積を数社から取り、能力や庫内の段数を並べて比べている段階の方が多いと思います。水産や精肉のように生鮮を扱う食品加工の現場では、凍結の速さがそのまま歩留まりと単価に効いてくるため、機械の性能表に目が向くのは自然な流れです。

ただ、補助金の計画書を書く段になると、性能表には載っていないところで話が分かれます。同じ「急速冷凍機」でも、冷媒に何を使っている機械を選ぶかで、導入したあとに事業者側へ残る手間と記録が変わるからです。この記事では、制度の一覧ではなく、手元の見積を比べるときの軸として、冷媒の選択と補助対象経費の線引きを整理します。

制度の呼び名は変わっていますが、探し方は変わりません

読者の多くが「ものづくり補助金」という名前で情報を探しています。2026年度(令和8年度)は、この制度と新事業進出補助金が統合され、公募要領上の正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。急速冷凍機の導入で候補になるのは、その中の革新的新製品・サービス枠と新事業進出枠です。以下では、この2つを前提に話を進めます。

比較の軸を、制度ではなく冷媒に置いてみます

制度を比べる前に、機種のほうで決まってしまうものがあります。フロン類を冷媒に使った業務用の冷凍機器は、フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)の第一種特定製品にあたります。同法第2条第3項は、第一種特定製品を「業務用の機器であって、冷媒としてフロン類が充塡されているもの」と定め、その機器としてエアコンディショナーと並べて「冷蔵機器及び冷凍機器」を挙げています。業務用の急速冷凍機は、冷媒がフロン類であればここに入ります。

フロン類を冷媒とする機械を選んだ場合

この場合、機械を使う事業者は同法上の「管理者」になり、次のような対応が続きます。環境省の説明では、すべての管理者が日常的な温度点検や外観検査等の簡易点検を行い、一定規模以上の業務用機器については専門家による冷媒漏えい検査(定期点検)を行うこととされています。点検や修理、冷媒の充塡・回収の履歴は記録して残し、その記録は当該製品の廃棄等を行い冷媒の引渡しを完了した日から3年を経過するまで保存します。

さらに、事業者全体でフロン類の漏えいが二酸化炭素換算で1,000トン以上になった管理者は、算定漏えい量を事業所管大臣へ報告します(同法第19条)。報告期間は毎年4月1日から7月31日までで、前年度分を提出します。1台の凍結機だけで届く水準ではありませんが、冷蔵ショーケースや空調も含めた事業者全体で数えるため、設備の多い加工場では見落としが起きやすいところです。

フロン類以外を冷媒とする機械を選んだ場合

先ほどの条文は「冷媒としてフロン類が充塡されているもの」を第一種特定製品としています。したがって、二酸化炭素やアンモニアなどを冷媒とする機械は、この定義には当てはまりません。導入後に管理者として上記の点検・記録・報告が発生するかどうかが、ここで分かれます。

とはいえ、どちらが有利かは条件で変わります。機械本体の価格、据付に必要な設備、保守を頼める業者が近くにいるかは地域差があり、冷媒の種類だけで決まる話ではありません。ここでは「導入後に何が残るかが機種の段階で決まる」という点だけを、見積を絞り込む前に確かめておくという整理にとどめます。

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見積のどこまでが補助対象になるかを、行ごとに見ます

2つの枠に共通して、主軸になる経費区分は機械装置・システム構築費です。単価は10万円(税抜)以上という条件が付きます。運搬費はその他の経費区分として設けられているため、機械を運ぶ費用は本体と別行で見積に出ていても扱う場所があります。

一方で、革新的新製品・サービス枠では、建物・基礎工事・家賃といった周辺のコストは対象外とされています。凍結機は据付の際に床の補強や電源まわりの工事が同時に発生することがあり、見積が「一式」でまとめられていると、どこまでが機械装置でどこからが工事なのかを後から切り分けられなくなります。見積を依頼する時点で、機械本体と付帯工事を分けて書いてもらうよう伝えておくと、計画書を作る段階の手戻りが減ります。

建物費が対象経費に置かれているのは新事業進出枠のほうです。ただしこの枠でも、建物の単なる購入や賃貸は対象外とされています。冷凍品を扱うために保管庫を建てる、といった計画を考えている場合は、どちらの枠で出すかによって見積の組み方そのものが変わります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

冷媒や省エネの話が出ると、省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)を一つの制度として一括りに語られることがあります。審査する側にいた立場から見ると、ここは分けて考えたいところです。この制度は事業区分(設備単位型/GX設備単位型/電化・脱炭素燃転型/エネルギー需要最適化型)ごとに、上限も補助率も対象になる経費も変わります。区分を決めずに数字だけ聞くと、話が合わなくなります。

枠の分かれ目は、開発があるか、新しい市場に出るかです

革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力等を活かして新たな価値を提供する新製品・新サービスを開発する取組が対象です。裏を返すと、単なる設備・システムの導入や、既存製品の生産プロセス改善だけでは、この枠には乗らません。凍結機を入れて既存商品の作り置きを増やすという計画は、そのままの書き方では開発があるとは読まれにくくなります。

新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠です。新規性は日本初や世界初ではなく、申請者にとっての新規性で見られますが、既存事業と同一の市場、既存製品の増産、単なる製法変更、単に商圏が違うだけといったものは該当しないとされています。冷蔵で卸してきた商品を凍らせて同じ取引先に納める、という形だと、この線に触れます。なお新事業進出枠は、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外で、最低1期分の決算書が求められます。

機種を絞り込む前に決めておきたい3つのこと

1つめは、候補機の冷媒です。仕様書に記載された冷媒の種類を控えておきます。フロン類であれば、導入後に点検と記録が続く前提で運用の体制を考えることになります。

2つめは、見積の分け方です。機械本体、据付、電源や配管の工事、運搬を別々の行にしてもらいます。「一式」のままだと、補助対象経費として計上できる部分と、そうでない部分の判断が後ろにずれます。

3つめは、点検を誰が回すかです。自社の担当者が行うのか、保守契約に含めて業者に頼むのかで、毎年の費用と社内の手間が変わります。これは事業計画に書く実施体制や、導入後の収支の見通しにそのまま効いてきます。

まとめ

急速冷凍機の導入で新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を使うとき、制度をどれにするかより先に、機種の段階で決まるものがあります。冷媒がフロン類であればフロン排出抑制法の第一種特定製品にあたり、点検・記録・場合によっては算定漏えい量の報告が導入後に続きます。見積の側では、機械装置と付帯工事を分けて出してもらうことで、対象経費の判断が前倒しになります。

本記事の内容は執筆時点(2026年8月)の公表情報に基づいています。制度の要件や法令の運用は改定されることがあるため、申請の前には公募要領と所管省庁の最新情報をご確認ください。自社の設備投資がどの枠に馴染むか、見積の分け方をどうするかで迷われた際は、計画づくりの段階からご相談いただけます。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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