
飲食店のホームページ制作費と掲載料は別もの|補助金の対象になる範囲を整理
飲食店のホームページ制作に使える補助金は2つ|載せる中身で入口が変わります
開業して1年から3年ほど、グルメサイトへの掲載から集客を始めたものの、毎月の掲載料が固定費として重くなってきた。そろそろ自分の店のホームページを持ちたいが、制作会社の見積を見ると数十万円になる。この費用に補助金は使えるのだろうか——こうした段階でこの記事にたどり着いた方に向けて書いています。
結論から言えば、自社ホームページの制作費は補助金の対象になり得ます。ただし「ホームページを作る」という一言でまとめてしまうと、制度の選び方を間違えます。ページに何を持たせるかによって、入口になる制度が2つに分かれるからです。この記事では、飲食店の方から実際に質問が集まる順に整理していきます。
Q1. 飲食店のホームページ制作費に使える補助金はどれですか
候補は2つあります。小規模事業者持続化補助金と、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)です。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓の取組を支援する制度です。対象経費の区分に「ウェブサイト関連費」があり、ウェブサイトの制作・更新、ネット広告、バナー、商品画像・動画制作などがここに入ります。店舗情報やメニュー、写真を並べて新しいお客様に来てもらうためのページは、この区分で考えることになります。補助率は2分の1ではなく3分の2で、補助上限は基本50万円。インボイス特例と賃金引上げ特例の要件を満たせば、上乗せで最大250万円まで広がります。
もう一方のデジタル化・AI導入補助金は、事務局に登録されたソフトやクラウドを導入して業務を効率化する制度です。通常枠の補助上限は450万円で、ソフトウェア購入費のほか、クラウド利用料を最大2年分まで見ます。設定・研修・マニュアル作成といった導入関連費も対象に含まれます。
2つは並列の選択肢ではなく、ページに載せるものによって使い分けます。この線引きがQ2以降の話につながります。
Q2. ホームページ制作費だけで申請できますか
できません。ここが最初のつまずきどころです。
小規模事業者持続化補助金では、経費区分ごとに上限が置かれています。ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の上限が30万円(税込)で、ウェブ関連費のみの申請は不可と定められています。つまり「ホームページを作りたい、以上」という計画書は、そもそも形になりません。
もう一点、数字の更新にも気をつけてください。ウェブ関連費の上限は、以前は「交付申請額の4分の1・最大50万円」という考え方でした。これが第20回の公募要領で定額30万円(税込)の上限に変わっています。制作会社のサイトや補助金のまとめ記事には旧ルールのまま残っているものがあるため、見積の前提が古い数字になっていないか確かめる価値があります。
では、どう組み立てるか。販路開拓という主題を先に立てて、そのなかの一手段としてホームページを置く形にします。たとえば新しい客層に向けたメニューの試作(新商品開発費)、店頭の看板やチラシ(広報費)、そして受け皿としての自社サイト(ウェブサイト関連費)というように、複数の経費区分をまたぐ計画にします。広報費にも30万円(税込)の上限と単独申請不可の制約がかかる点は同じです。

💬 執筆者の三浦から一言
「ものづくり補助金でホームページを作れないか」というご相談をいただきます。2026年度に統合された新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には補助下限があり、革新的新製品・サービス枠で100万円、新事業進出枠で750万円です。上限額ばかりが話題になりますが、下限に届かない投資は土俵に上がれません。
Q3. うちは対象になる「小規模事業者」ですか
飲食店は業種の区分では商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)にあたり、常時使用する従業員5人以下が小規模事業者の範囲です。宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下ですので、同じ「小規模事業者」でも線の位置が違います。
数え方にも決まりがあります。会社役員・個人事業主本人・同居の親族従業員・日雇い等はカウントしません。学生アルバイトを何人か抱えている個人店でも、雇用の形によっては範囲に収まることがあります。人数が微妙な場合は、自己判断で諦めずに商工会・商工会議所の窓口で確認してください。
あわせて、申請にはGビズIDプライムのアカウントが事前に必要です。取得には日数がかかるため、ホームページの相談を始めた段階で並行して進めておくと後がスムーズです。
Q4. グルメサイトの掲載料はどう扱われますか
飲食店がすでに払っているウェブ関連の費用は、その多くがグルメサイトへの月額掲載料です。ここを補助金で軽くできないか、という質問はよくいただきます。
整理の起点は、「作る費用」と「載せ続ける費用」は制度上べつの顔をしているという点です。ウェブサイト関連費として公募要領に例示されているのは、ウェブ/ECサイトの制作・更新、ネット広告、バナー、PR配信、ECモール利用料、検索エンジン最適化、商品画像・動画制作などです。制作・更新という一回きりの支出が中心に置かれている一方で、モール利用料のように継続的な性格の費用も例示に含まれています。
したがって「月額だから一律で対象外」とも「掲載料も同じ扱い」とも言い切れません。グルメサイトの掲載料そのものは例示に名前が出てこないため、契約の内容をどの区分で説明するかによって判断が変わります。ここは商工会・商工会議所への相談時に、契約書と請求書を持参して最初に確認する項目にしてください。
そのうえで、実務の順番としては掲載料の補助を取りにいくより、自社サイトを持って予約と再来店の導線を自分の手元に移すことのほうが、補助金の主題である販路開拓の説明としても通りやすくなります。
Q5. 予約機能やモバイルオーダーを載せたい場合は
ここでもう1つの制度が出てきます。ページに「機能」を持たせたい場合は、デジタル化・AI導入補助金の側で考えます。
この制度は、事務局に登録されたソフト・クラウドを導入することが前提で、登録されたベンダー(導入支援事業者)の支援を受けて申請します。自分で見つけた制作会社に自由に発注する形とは、手続きの入口から違うということです。導入目的が業務効率化や生産性向上に結びついている必要もあります。
判断の分かれ目は、その支出が「ツール導入による業務改善」か「販路開拓のための情報発信」かという点です。お店を知ってもらうためのページは前者ではありません。逆に、電話対応をなくすための予約管理や、席で注文を完結させる仕組みは、業務改善として説明したほうが筋が通ります。
実際の見積では、この2つが1枚の紙に混ざって出てきます。制作会社に依頼するときは、集客ページの制作費と、予約や注文の仕組みの利用料を、見積の段階で行を分けてもらうようにしてください。あとから分けるのは手間がかかります。
Q6. 制作会社に発注してから申請しても間に合いますか
間に合いません。交付決定日前に行った発注・契約・支払は対象外です。採択の通知が届いただけでは事業を始められない点にも注意してください。採択と交付決定は別の手続きです。
第20回の公募では、申請受付が2026年11月5日から始まり、締切は2026年12月15日17時。採択発表は2027年3月頃の予定です。事業支援計画書(様式4)の発行を商工会・商工会議所に依頼する受付締切は2026年12月4日で、この期日を過ぎた発行依頼はいかなる理由でも受け付けられません。窓口には余裕をもって相談してください。
支払方法にも条件があります。原則は銀行振替で、1取引10万円超(税抜)の現金払いは認められません。また50万円(税込)超の発注では2者以上の相見積が必要になります。制作会社1社の見積だけで話を進めていると、この段階で戻ることになります。
見積を取る前に決めておきたい3項目
- サイトに何を載せるかを、集客のためのページと、予約・注文などの機能に分けて書き出す。制度の入口がここで決まります
- ホームページ以外の販路開拓の打ち手を1つ以上決める。ウェブ関連費だけでは申請できないため、計画の主題を先に立てる必要があります
- 発注の時期を交付決定より後ろに置けるか、制作会社と事前に握っておく。着手を待てないなら、補助金を前提にしない判断も含めて考えます
まとめ
飲食店のホームページ制作費は、小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費として対象になり得ます。ただし上限は30万円(税込)で、ウェブ関連費だけの申請はできません。予約や注文の仕組みまで載せたい場合は、デジタル化・AI導入補助金という別の入口を検討します。そしてグルメサイトの掲載料は、自社サイトの制作費とは別の顔をした費用として、区分の扱いを窓口で確認するところから始めてください。
制度の内容は公募回ごとに見直されます。本記事は2026年8月時点で確認できた第20回公募(公募要領 第7版・2026年5月27日公開)の内容に基づいています。申請の際は最新の公募要領で数字と期日をご確認ください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























