
動物病院のMEO対策に補助金は使える?地図に載せる内容は獣医療法で先に決まります
動物病院のMEO対策に補助金を使うまでの手順と法令上の制約
地図検索の表示順が変わると、新患の入り方も変わります。近隣に新しい動物病院ができたタイミングで、MEO対策の見積を取った院長先生も多いはずです。その見積を前にして「この費用は補助金で埋められるのか」と考えるところまでは自然な流れですが、動物病院の場合、費用の可否より先に決まってしまうものがあります。獣医療法が、診療施設の広告に載せてよい内容を限定しているためです。ここを飛ばして経費区分の話から入ると、申請書を書き終えてから中身を作り直すことになります。この記事では、法令上の枠を確認するところから申請の締切から逆算するところまで、4つの手順に分けて整理します。
前提:動物病院の広告は載せてよい事項が法律で決まっている
獣医療法第十七条第一項は、獣医師または診療施設の業務について、専門科名と獣医師の学位・称号を除いて、その技能・療法・経歴に関する事項を広告してはならないと定めています。原則が禁止で、例外として書けるものが並ぶという構造です。
その例外は獣医療法施行規則第二十四条第一項に列挙されています。動物病院の集客に関係が深いものだけを挙げると、承認や認証を受けた動物用の医薬品・医療機器を用いる検査や手術を行っていること、医療機器を所有していること、犬または猫の避妊去勢手術を行うこと、狂犬病その他の予防注射を行うこと、寄生虫病の予防措置、飼育動物の健康診断、マイクロチップの装着、獣医師の役職および略歴、愛玩動物看護師が勤務している診療施設であること、といった項目です。
同条第二項には、これらを広告するときの制限が付いています。他の獣医師や診療施設と比較して優良である旨を広告してはならないこと、誇大な広告を行ってはならないこと、そして問い合わせ先・通常必要とされる診療内容・診療に係る主なリスク・副作用・費用を併記しなければ広告してはならないことの3点です。狂犬病予防注射に触れる場合は犬の登録や鑑札、注射済票に関する説明を、マイクロチップ装着に触れる場合は動物の愛護及び管理に関する法律の登録に関する説明を、それぞれ併記することも求められています。
地図検索の枠に置くサービス一覧、投稿、口コミへの返信も、内容によってはこの広告制限の対象に入ります。「地域で一番」「他院より安全」といった表現が使えないのは、費用の問題ではなく法令の問題です。
💬 執筆者の三浦から一言
見落とされがちなのが、小規模事業者持続化補助金の公募要領に「保険適用診療にかかる経費」が対象外として書かれている点です。薬局や整骨院では保険診療の宣伝を兼ねるチラシまで外れます。動物病院の診療は公的医療保険の外にあるので、この規定で広報の費用が外れる場面は基本的にありません。人の医科・歯科向けの解説をそのまま読むと、使えないと誤解したまま候補から落としてしまいます。
手順1:地図の枠に載せる項目を先に決める
広告できる事項が限定されているということは、地図検索の枠に何を並べるかも、そこから逆算して決まるということです。避妊去勢手術や健康診断、マイクロチップ装着のように第二十四条第一項に挙がっている項目を出す場合、通常必要とされる診療内容と主なリスク・副作用・費用、そして問い合わせ先の併記が求められます。地図の短い説明欄にこれを全部収めるのは無理があるので、実務上は自院のサイト側に受け皿となるページを作り、そこへ導線を張る形になります。
この段階で、支出が発生する場所がはっきりします。診療風景や院内の撮影、サービス欄に載せる情報の整備、併記事項をまとめた受け皿ページの制作、そして運用を外部に任せる場合の代行費です。逆に、営業時間や電話番号の登録、口コミへの返信そのものには費用が立ちません。補助金の計画に書けるのは前者だけなので、見積の総額をそのまま計上する前に、この仕分けを済ませておきます。
手順2:MEO対策を「販路開拓」として書けるかたちにする
MEO対策の費用を扱いやすいのは小規模事業者持続化補助金です。ただしこの制度は販路開拓を主題にしており、通常の営業活動と見なされる取組は対象から外れやすいという性格があります。地図情報を整えて日々更新していく作業は、それ自体が日常業務に見えます。MEO対策だけを取り出して計画に書くと、この線引きで弱くなります。
順番を入れ替えると通ります。先に「何を新しく提供するのか」を決め、その告知手段としてMEO対策を置く形です。夜間や時間外の受付枠を新設する、シニア期の犬猫向けに健診コースを組み立てる、これまで外部に紹介していた処置を院内で受けられるようにする。こうした提供内容の変更が先にあれば、地図とサイトの整備はその販路開拓の一部として説明できます。
対象者の要件も確認しておきます。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員が5人以下であることが条件で、会社役員や個人事業主本人、同居の親族従業員は人数に数えません。公募要領が「対象外になりやすい形態」として挙げているのは医師・歯科医師・助産師や医療法人、宗教法人、学校法人などで、獣医師はこの列挙に入っていません。申請にはGビズIDプライムのアカウントと、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書が必要になります。
手順3:費用を経費区分に割り付ける
小規模事業者持続化補助金の経費区分のうち、MEO対策まわりが入るのは広報費とウェブサイト関連費です。広報費はチラシ、広告掲載、看板、DM発送など。ウェブサイト関連費はサイトの制作・更新、ネット広告、バナー、検索エンジン最適化、商品画像・動画制作などが含まれます。第20回公募では、この2つにそれぞれ補助金交付申請額30万円(税込)の上限が設けられ、どちらも単独での申請ができないと明記されました。つまりMEO対策の費用だけを並べた申請は成立しません。手順2で決めた提供内容の変更に伴う設備や試作の費用と組み合わせて、全体の計画にする必要があります。
補助率は3分の2、上限は基本50万円です。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方の要件を満たすと最大250万円になります(第20回公募要領・2026年5月27日公開時点)。特例部分だけでなく通常枠の要件も1つでも欠けると全体が交付対象外になるため、上乗せを狙うかどうかは計画を組む段階で決めておきます。
ほかの制度も一応見ておくと、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は事務局に登録されたITツールを、登録された支援事業者の関与のもとで導入することが前提です。通常枠450万円、インボイス枠350万円という上限は魅力的ですが、MEOの運用代行のような役務はこの枠組みに乗りにくいのが実情です。中小企業省力化投資補助金(一般型)は人手不足への対応と省力化が目的の制度なので、集客そのものを目的にした投資とは筋が違います。
💬 執筆者の三浦から一言
撮影用のカメラやスマートフォンも経費に入れられますか、という質問をよくいただきます。パソコンなどの汎用品は基本的に補助金の対象になりません。撮影を含めて外部に依頼する形にすれば委託の費用として整理できますが、機材を自院の資産として買う形にすると扱いが変わります。契約の形を決める前に、どちらで組むかを相談しておくと後戻りが減ります。
手順4:締切から逆算して段取りを組む
第20回公募の日程は、申請受付開始が2026年11月5日、申請受付締切が2026年12月15日17時です。ここで見落としやすいのが事業支援計画書(様式4)の発行受付締切で、こちらは2026年12月4日と申請締切より前に設定されています。この締切を過ぎた発行依頼は、理由を問わず受け付けられません。商工会・商工会議所の窓口には時間の余裕を見て相談します。
もう1つ、交付決定日より前に行った発注・契約・支払は対象外です。採択の通知が届いただけでは事業を開始できません。MEO対策は「では来月から」と話が進みやすい分野なので、代行会社との契約日と交付決定日の前後関係は、見積の段階で先方にも共有しておきます。
採択発表は2027年3月頃、事業実施期限は2028年3月31日という予定です(第20回公募要領・2026年5月27日公開時点)。地図とサイトの整備を1年以上先まで置いておく計画にはならないので、提供内容の変更と併せて実施時期を決めることになります。
まとめ
動物病院のMEO対策と補助金の関係は、経費区分の判定から入ると行き止まりになります。獣医療法と施行規則で広告できる事項が限定され、リスクや費用の併記まで求められている以上、地図に載せる中身が先に決まります。そのうえで「何を新しく提供するのか」を立て、その告知としてMEO対策を位置づければ、小規模事業者持続化補助金の販路開拓という枠に収まります。広報費とウェブサイト関連費の30万円上限と単独申請不可という条件も、この順番で考えれば計画を組む前に織り込めます。制度の内容は公募回ごとに変わるため、申請の前には最新の公募要領で確認してください。自院の計画がどの制度に乗るのか判断がつかない段階でも、投資の中身と規模が見えていれば相談は可能です。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























