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コラム

ワイヤーカット・放電加工機に使える補助金3制度|1台導入では通らない対象条件と選び方

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ワイヤーカット・放電加工機に使える補助金3制度|1台導入では通らない対象条件と選び方

ワイヤーカット・放電加工機の導入に補助金は使えるか|2026年度の枠選びと対象判定

金型製造や精密部品加工の現場で、ワイヤーカット放電加工機や形彫り放電加工機の更新・増設を検討すると、必ず「補助金は使えるのか」という話になります。結論から言えば、放電加工機そのものが補助対象から外れているわけではありません。ただし、使える制度は「どの機械を買うか」ではなく「その機械で何をするのか」で決まります。ここを取り違えたまま見積書を先に固めてしまうと、申請の段階で枠に乗らないことが分かり、投資計画から組み直すことになります。

この記事では、2026年度にワイヤーカット・放電加工機の導入で候補になる制度を整理し、導入目的ごとにどの枠が筋として通るのか、逆にどんなケースだと対象になりにくいのかを、公募要領で確認できる範囲の事実にもとづいて解説します。数字は2026年8月時点の情報です。制度は公募回ごとに見直されるため、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。

まず制度名を整理する:2026年度に「ものづくり補助金」は統合された

放電加工機の補助金を調べると、多くの記事が「ものづくり補助金」という名前で説明しています。ただ、2026年度(令和8年度)から、ものづくり補助金と新事業進出補助金は統合され、公募要領上の正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。

この統合が実務に効いてくるのは、補助上限も補助下限も要件も、制度全体ではなく枠ごとに決まっている点です。「ものづくり補助金で放電加工機を入れたい」という言い方のままでは、上限額を調べることすらできません。まず枠を特定するところから始めます。

放電加工機の導入で候補になる3つの制度

制度・枠 向いている導入目的 補助上限(従業員規模別) 補助下限
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠 放電加工を軸にした新製品・新サービスの開発 5人以下750万円/6〜20人1,000万円/21〜50人1,500万円/51人以上2,500万円(大幅賃上げ特例適用時は最大3,500万円) 100万円
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠 これまで手掛けていない市場・分野への進出 20人以下2,500万円/21〜50人4,000万円/51〜100人5,500万円/101人以上7,000万円(大幅賃上げ特例適用時は最大9,000万円) 750万円
中小企業省力化投資補助金(一般型) 既存事業の省人化・自動化 1億円 —

補助率は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠が中小企業者で2分の1、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者および地域別最低賃金引上げ特例の適用時で3分の2です。新事業進出枠は中小企業者で2分の1(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は3分の2)とされています。

なお、この3つのほかに中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)もあります。ただしこちらは公的に登録されたカタログ掲載製品を販売事業者と共同で申請して導入する制度で、自社の加工物や工程に合わせて構成を決める放電加工機の投資とは制度設計が合いにくい面があります。補助上限や要件は公募回ごとに見直されているため、検討する場合は申請時点の公募要領で確認してください。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

事務局で申請書を見ていたころ、投資額の話はいつも上限額から始まりました。ただ、枠に乗るかどうかを先に決めるのは下限のほうです。革新的新製品・サービス枠は100万円、新事業進出枠は750万円という補助下限があります。放電加工機1台分の見積だけでは新事業進出枠の下限に届かないこともあるので、周辺設備まで含めた投資の全体像を固めてから枠を当てはめる順番でご検討ください。

「何のために入れるか」で使える枠が分かれる

同じワイヤーカット放電加工機でも、導入の狙いが違えば通る枠が変わります。ここが放電加工機の補助金でもっとも判断が分かれるところです。

1. 新しい加工品・新サービスを生み出す投資なら革新的新製品・サービス枠

革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力等を活かして顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービスを開発する取組を支援する枠です。放電加工機で言えば、これまで加工できなかった難削材や微細形状に対応して新しい加工品を提供する、といった組み立てが該当します。

逆に、公募要領では単なる設備・システム導入、既存製品・サービスの生産プロセス改善、同業ですでに相当程度普及している開発は対象外と明記されています。「古い放電加工機を新型に入れ替えて加工時間を短縮する」という説明だけでは、生産プロセス改善に読まれてこの枠では通りません。

2. 新しい市場・分野に出ていく投資なら新事業進出枠

新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠です。新規性の判断は日本初・世界初ではなく「申請者にとっての新規性」であり、新たに製造・提供する製品等が申請者にとって新規で、かつその市場が申請者にとって新たな市場である必要があります。

ここで多いのが「新市場」の読み違えです。公募要領では、既存事業と同一市場、既存製品の増産・再製造、単なる製法変更、単に商圏が違うだけといったケースは新事業進出に該当せず対象外とされています。金型部品の受託加工をしてきた会社が、同じ取引先向けに加工能力を増やすだけでは、この枠の土俵に乗りません。なお、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外で、最低1期分の決算書が必要です。

3. 人手不足の解消が主目的なら省力化投資補助金(一般型)

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、現場の人手不足や工程のムダを減らすための省力化投資を支援する制度です。放電加工は無人運転との相性がよく、段取りや監視の工数を減らす投資として組み立てられる場面があります。

ただしこの制度には、放電加工機の申請で見落とされやすい要件があります。対象になるのはオーダーメイド性のある設備で、次のいずれかに該当する必要があります。

  • 省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出す場合
  • 事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合

単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外です。単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れるという要件を満たしていても、それだけでは足りません。カタログスペックのままの放電加工機を1台だけ導入する計画では、この判定で外れる可能性があります。自動ワーク交換装置やロボット、加工状態の監視システムなどと組み合わせて、自社の工程に合わせた構成であることを事業計画で示す組み立てが必要になります。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

対象になりにくいのはこんなケース

放電加工機の導入計画が補助金に乗らなくなる典型を、制度の記載に沿って整理します。

  • 老朽機の単純な入れ替え:加工内容も受注先も変わらず、機械だけ新しくする計画は、革新的新製品・サービス枠が対象外としている「単なる設備導入」に読まれます。省力化側で組む場合も、汎用設備の単体導入では前述のオーダーメイド性の要件を満たしません
  • 同じ市場での増産:既存製品の増産・再製造は新事業進出枠の対象外です。「受注が増えたので2台目を入れる」は、この枠では説明が立ちません
  • 交付決定前に発注してしまった:交付決定前の発注・契約・購入は対象外です。展示会で商談が進み、そのまま注文書を出してしまうと補助を受けられなくなります
  • 単価要件に届かない付帯品:機械装置・システム構築費は、革新的新製品・サービス枠では単価10万円(税抜)以上、省力化投資補助金(一般型)では単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つという要件があります。汎用パソコンなどの汎用品は基本的に対象になりません
  • 事業計画を外部に丸投げした:事業計画は申請者自身が作成することが求められており、外部丸投げは不採択・取消の対象とされています

採択後にも続く条件を先に見ておく

放電加工機は投資額が大きくなりやすいため、補助金を受けた後の条件も投資判断の材料に入れておく必要があります。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の基本要件は、付加価値額が事業計画期間(3〜5年)で年平均成長率4.0%以上、一人当たり給与支給総額が年平均成長率3.5%以上、事業場内最低賃金が毎年、地域別最低賃金プラス30円以上の水準、というものです。賃上げと最低賃金の要件は未達の場合に返還が生じます。補助上限を引き上げる大幅賃上げ特例を使う場合は、給与支給総額が年平均6.0%以上かつ事業場内最低賃金が地域別最低賃金プラス50円以上と、さらに高い水準になります。

中小企業省力化投資補助金(一般型)も、3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、賃上げ目標の未達時は達成率に応じて返還が発生しうる制度です。上限額の大きさだけで制度を選ぶと、数年にわたる賃上げ計画を背負うことになります。加工単価と人員計画から逆算して、無理のない水準で組めるかを先に確認しておくほうが安全です。

申請までに踏む順番

  1. 導入目的を1つに決める:新製品開発なのか、新市場進出なのか、省人化なのか。複数を混ぜた説明はどの枠でも弱くなります
  2. 投資の全体像を固める:放電加工機本体だけでなく、周辺機器・治具・システムまで含めた範囲を決めます。補助下限に届くか、オーダーメイド性を示せるかがここで決まります
  3. 枠を特定して要件を確認する:従業員規模から上限額を確認し、賃上げ要件が自社の計画で成立するかを検討します
  4. GビズIDプライムを取得する:電子申請にはGビズIDプライムが必要です。取得には時間がかかるため、早い段階で着手しておきます
  5. 見積は取っても発注はしない:交付決定前の契約・発注は対象外です。商談は進めつつ、注文のタイミングは交付決定後に置きます

2026年度の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、第1回公募が2026年6月29日から始まり、申請締切は2026年9月30日18時、採択発表は2026年12月頃とされています(公募要領1.0版)。補助事業の実施期間は、革新的新製品・サービス枠が交付決定日から10か月以内(ただし採択発表日から12か月以内)です。納期の長い工作機械では、この期間内に納品・検収・支払いまで終えられるかも確認しておく必要があります。

よくある質問

中古の放電加工機でも補助金は使えますか

制度や公募回によって中古設備の扱いは異なります。新品を前提とする制度もあるため、中古での導入を検討している場合は、申請予定の制度の公募要領で対象経費の記載を確認してください。判断に迷う場合は事務局や専門家への確認をおすすめする形になります。

放電加工機と一緒に工場の基礎工事もしたいのですが対象になりますか

革新的新製品・サービス枠では、建物・基礎工事・家賃などの周辺コストは対象外とされています。一方、新事業進出枠は建物費が対象経費に含まれますが、建物の単純購入・賃貸や不動産購入費は対象外です。工事を伴う計画では、どこまでが対象経費に入るのかを枠ごとに分けて確認しておく必要があります。

2台以上まとめて導入する計画でも申請できますか

台数そのものに制限が設けられているわけではありません。ただし、既存製品の増産にあたる場合は新事業進出枠の対象外になりますし、省力化投資補助金(一般型)では同じ汎用設備を並べるだけではオーダーメイド性の要件を満たしにくくなります。台数ではなく、工程がどう変わるのかで説明を組むことになります。

まとめ

ワイヤーカット・放電加工機の導入で補助金を使えるかどうかは、機械の種類ではなく導入目的で決まります。新しい加工品・新サービスを生み出すなら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠、これまで手掛けていない市場に出るなら同じ補助金の新事業進出枠、既存事業の省人化なら中小企業省力化投資補助金(一般型)が軸の候補です。

そのうえで、革新枠は「単なる設備導入」が対象外であること、新事業進出枠は増産や商圏違いでは新市場と認められないこと、省力化一般型は汎用設備の単体導入では要件を満たさないことが、放電加工機の計画で実際につまずきやすい線引きになります。補助下限・単価要件・交付決定前発注の禁止・賃上げ要件まで含めて、投資の全体像を先に固めてから枠を当てはめてください。制度は公募回ごとに内容が見直されるため、本記事の数字は2026年8月時点のものとしてお読みいただき、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
お問い合わせフォーム https://v-spirits.com/contacts

三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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