
新型コロナウイルス感染拡大の影響により起業する人も減っていましたが、徐々に起業を検討する人が増加してきています。
創業融資の相談をたくさん頂くのですが、今までの経験を活かした起業ではなく未経験業種での起業も増えているように感じます。
新たな業界でスタートを切ることは素晴らしいことですが、創業融資の観点からみると決してプラスになるとは限りません。
未経験業種起業で創業融資が受けにくいポイントを紹介します。
①きちんと売上が上がるか定かではない
創業融資における大事なポイントとして事業計画があります。創業時~1年後・2年後までにどのくらいの売上や利益が計上できるかの計画です。例えば、インターネットを使った雑貨販売の経験があれば、どのような商品が売れやすいか?掲示方法や発送業務まで一貫して理解しているので計画に信憑性が生まれます。しかし、未経験だと上辺のテクニックは情報収集して手に入るが、実務においては初心者です。どのような説得力を持たせるかにもよりますが、往々にして計画通りにいくのか疑問を持たれるケースの方が多いです。
②オペレーションができるのか
例えば、飲食未経験の方が飲食店開業を考えたときに一般的な飲食店同様にうまくオペレーションができるか否かです。お客さんとしていくのと、実際に運営するのとでは全く異なります。オペレーションがうまくいかないとお客様の満足度が低くリピーターなども見込めません。ましてや未経験なのでもう少し待ってほしいは起業では通用しません。持続可能かどうかの着目点から厳しく見られます。
③オーナー特化していないか
本来創業融資は代表者も事業遂行していく一人と考えています。一定数おりますが、自分はオーナーとして現場は責任者に任せます。責任者は業界経験もあり問題ありません。と考えておられる方がいますが、金融機関は一切評価をしません。金融機関としても融資をする以上、代表者が自分事と考えきちんと経営していくんだという強い覚悟を求めます。事業が軌道に乗ったあとと創業時では雲泥の差があります。ケースバイケースですが、自分は出資だけしてあとは他の人に任せるといったスタンスは金融機関から好感を持たれません。
上記①~③に共通するのは未経験で本当にうまくいくのかどうかです。未経験でも売上が上がる根拠や運営がうまくできる根拠をきちんと納得できるレベルで説明ができるのであれば、覆すことができるかもしれません。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura 元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員 中小企業診断士、起業コンサルタント®、 1級販売士、宅地建物取引主任者、 補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、 産業能率大学 兼任教員 2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。 融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago 元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役 同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。 支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。 日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。 長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。