
起業準備中の会社員のあなたへ──「労金(ろうきん)」という選択肢、知っていますか?
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・行政書士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの中野裕哲です。
今回のテーマは「労金(ろうきん)」です。正式名称は「労働金庫」。
「銀行とは違うの?」「どんな人が使えるの?」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。ズバリ申し上げますと、労金は「働く人のための金融機関」。特に、これから起業したいと考える会社員の方にとっては、知っておいて損のない存在です。
この記事では、「労金とは何か?」という基本から、起業準備中の方が知っておくべきポイントまで、優しく、わかりやすく、そして実務的に解説していきます。
目次
- 労金(労働金庫)とは何か?
- 銀行や信用金庫との違い
- 労金の融資制度の特徴
- 起業準備中の活用方法
- 利用するための条件と手続き
- 起業資金以外にも使える?労金の幅広いサービス
- FAQ:よくある質問
- 今からできる3つの準備
1. 労金(労働金庫)とは?
労金は、「労働者のための非営利金融機関」です。全国には13の地域ろうきんがあり、各地域で活動しています。もともとは、労働組合や生活協同組合が母体となって設立され、「働く人の生活を守る」ことを目的に運営されています。
- 利益を株主に還元しない
- 組合員(働く人)に利益を還元
- 社会的課題(教育、福祉、起業支援など)に積極的
という点で、一般の銀行とは根本的にスタンスが異なります。
2. 銀行や信用金庫との違い
| 項目 | 銀行 | 信用金庫 | 労金 |
|---|---|---|---|
| 組織形態 | 株式会社 | 協同組織 | 協同組織 |
| 利益の使い道 | 株主へ配当 | 地域への還元 | 働く人への還元 |
| 融資の方針 | 採算重視 | 地域密着 | 福祉・生活支援重視 |
労金は、起業前の相談にも親身になって対応してくれるのが大きな魅力。返済条件も比較的柔軟です。
3. 労金の融資制度の特徴
労金にはいくつかの融資メニューがありますが、起業準備中の会社員の方には「生活支援型ローン」や「多目的ローン」などが該当することが多いです。
- 金利が低め(2〜5%程度)
- 保証人不要の場合もあり
- 返済期間が柔軟(〜10年など)
事業用資金としての明確な「事業ローン」はない場合が多いですが、「生活支援」「副業準備」として資金を調達することは可能です。
4. 起業準備中の活用法
ズバリ、「起業前に副業を始める」ための資金に活用するのが効果的です。
- ネットショップ開設費用
- 資格取得や講座の受講費
- パソコンや什器の購入費
これらは生活資金と事業準備がグレーゾーンになる部分。労金の柔軟な融資制度が活きてくるのです。
5. 利用条件と申し込みの流れ
【利用条件】
- 労働組合に加入している方
- 公共団体や学校、病院などの職員
- 一部、個人でも加入可能(応相談)
【手続きの流れ】
- 最寄りの労金へ相談予約
- 申込用紙記入・必要書類の提出(本人確認書類・収入証明など)
- 審査(通常1週間程度)
- 契約・資金実行
6. 起業資金以外にも使える!労金の多様なサービス
- 教育ローン
- マイカーローン
- リフォームローン
- 住宅ローン
- 生活資金貸付
起業準備と並行して、家族の教育資金や住環境の整備も大切。労金を上手に使えば、安心の生活基盤を保ちながら起業準備が進められます。
7. FAQ:よくある質問
Q. 労金って誰でも利用できますか? →労働組合や生協に加入している人が主な対象ですが、地域によっては個人の相談にも応じてくれるケースもあります。
Q. 起業資金として使えるのですか? →明確に「事業用」と言い切ると難しいですが、「副業準備」や「生活支援」としてなら可能な場合もあります。
Q. 金利はどれくらい? →商品にもよりますが、年2〜5%前後。銀行に比べて低めで安心です。
Q. 審査は厳しいですか? →収入の安定性を見られます。勤続年数や勤務先が安定していれば、比較的通りやすいです。
8. 今から始める3つの準備
- 副業を始めるなら、計画書を作ってみましょう
- 労金のHPや最寄りの支店に相談予約を
- 生活費と事業準備費を分けて管理する通帳を作る
まとめ:労金は、会社員のあなたを起業へとつなぐ橋渡し
「労金」は、民間金融機関にはない独自の立ち位置で、働く人の生活や夢を支えてくれる存在です。
「起業=大きな借金を抱える」と考えがちですが、ズバリ言います。
小さな第一歩を支えるのに、労金はとても頼りになります。
起業の夢を、生活の安定とともに叶えるために。
ぜひ一度、労金の窓口を訪ねてみてくださいね。
ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください!
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起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























