
ネイルサロンの設備は融資で買える?設備資金の範囲とリースとの使い分け
ネイルサロンの開業準備を進めていると、ネイルマシンやジェルライト、施術チェア、除塵機、什器といった設備を一式そろえる必要が出てきます。まとまった金額になるため、「これは融資で買えるのだろうか」「機器メーカーからリースをすすめられたが、どちらがいいのか」と迷う方は少なくありません。
結論からお伝えすると、ネイルサロンの設備は「設備資金」として創業融資の対象になります。ただし、何が設備資金に含まれるのか、運転資金とどう線を引くのか、リースとどう使い分けるのかを理解しておかないと、資金計画そのものがぶれてしまいます。
この記事では、これからネイルサロンを開業する方に向けて、設備を融資で調達するときの考え方を整理します。融資の制度や金利は変わりやすいため、本記事は執筆時点(2026年7月)の情報にもとづいています。実際の条件は申請先で最新の情報をご確認ください。
ネイルサロンの設備は「設備資金」として融資の対象になります
創業融資では、借りたお金の使いみち(資金使途)を「設備資金」と「運転資金」に分けて申請します。ネイルマシン、ジェルライト、施術チェア、除塵機、什器、内装工事といった、長く使う資産の購入費は設備資金にあたります。一方、家賃や材料の仕入れ、広告費などは運転資金です。
個人事業主・中小企業の創業時の代表的な選択肢は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、ネイルサロンの規模であれば十分にカバーできる設計になっています。創業期の方は原則として無担保・無保証人で利用でき、創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金をもとに審査が行われます。
設備資金と運転資金では返済期間が違います
新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合、返済期間は資金使途によって次のように異なります。
- 設備資金:返済期間20年以内/据置期間5年以内
- 運転資金:返済期間 原則10年以内/据置期間5年以内
設備資金のほうが長く返済できるため、月々の返済負担を抑えやすくなります。据置期間中は元金の返済を待ってもらい利息のみの支払いになるので、売上が安定するまでの初期の資金繰りに余裕を持たせられます。設備の購入費を運転資金にまとめてしまうと、この長い返済期間を活かせなくなる場合がある、という点は意識しておきたいところです。
金利の目安(2026年6月1日現在)
日本政策金融公庫の基準利率は、無担保で創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するとき年3.45〜5.15%です(2026年6月1日現在)。創業期の方が無担保で利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。ただしこれは案内文上の一般的な説明であり、実際の適用可否は利用する制度・審査・条件によって異なる可能性があるため、必ず申請先でご確認ください。
なお、ネイルサロン開業の記事では金利を「年2〜3%台」と紹介しているものも見かけますが、これは古い、または概算の目安です。数字を見るときは、いつ時点の情報かを必ず確認してください。
融資とリース、どちらで設備を入れるか
ネイル機器は、メーカーや商社からリースを提案されることも多い分野です。リースには初期費用を抑えられるメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
- 連帯保証人が必要になる
- 機器の所有権が持てない
- 契約期間中の中途解約が難しい
- 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い
「初期費用がかからないから」という理由だけでリースを選ぶと、契約期間の途中で移転・縮小・業態変更をしたくなったときに身動きが取りづらくなります。とくにネイルサロンは、自宅サロンから店舗へ、あるいは1人からスタッフを増やす方向へと、開業後に形が変わりやすい業態です。中途解約の難しさは軽視できません。
融資とリースのどちらが有利かは、資産計上の考え方や資金繰りの状況によっても変わるため、賃貸借費用の負担も含めて税理士や金融機関に相談しながら判断することをおすすめします。
審査で見られるポイント
自己資金は「要件」ではないが、重要な判断材料
よくある誤解ですが、公庫の創業融資では制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていません。「開業資金の10分の1は必須」といった固定要件があるわけではないのです。一方で、自己資金の額は審査の重要な判断材料であり、多いほど有利になりやすいのは確かです。自己資金は、面談時点で口座に確認できる形にしておきましょう。
みなし自己資金になる支出を整理する
創業前に自費で取得した資格・設備や備品の購入・テストマーケティング費用などは、「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがあります。ネイルサロンの場合、開業前に自分で買いそろえたネイルマシンや施術用品、取得した検定の費用などが該当しうるため、領収書を必ず保管しておきましょう。
見積書で金額の根拠を示す
設備資金を申請するときは、いくらの設備を、どこから、いくらで買うのかを見積書で示します。希望額だけを書いても根拠になりません。導入したい機器が決まったら、早めに見積書を取り寄せておくと準備がスムーズです。
申請から融資実行までのスケジュール
申請から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月程度が目安です。創業計画書・自己資金エビデンス・見積書などの書類を整える時間を含めると、申請準備に1か月、審査・実行に1か月、合計2か月程度を見ておくと安全です。
ネイルサロンの開業では、物件の契約や内装工事の日程が先に決まってしまうことがよくあります。設備の納品時期から逆算して、いつまでに資金が手元にある必要があるのかを確認し、そこから2か月前を目安に動き始めましょう。
まとめ
ネイルサロンの設備は、創業融資の「設備資金」として調達できます。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金なら、限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)、設備資金は返済期間20年以内・据置期間5年以内で、原則として無担保・無保証人での利用が可能です。金利は2026年6月1日現在、無担保・創業期で年3.45〜5.15%が基準利率となっています。
大切なのは、設備資金と運転資金の線引きを最初に整理しておくこと、リースをすすめられたときはデメリットも含めて比較すること、そして見積書と自己資金の根拠をそろえておくことです。準備には2か月程度を見込み、設備の納品時期から逆算して動き始めてください。判断に迷うところがあれば、早めに専門家に相談することで、資金計画の精度を上げられます。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























