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コラム

SES・受託開発の創業融資|無形資産業種で押さえる審査ポイント

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SES・受託開発の創業融資|押さえる審査ポイント

SES(システムエンジニアリングサービス)や受託開発で独立・法人化するときに気になるのが、創業融資が通るかどうかです。飲食店や製造業のように在庫や設備が積み上がるビジネスと違い、IT系の請負業は「目に見える資産」が少ないため、自分でも事業計画書の説得力に自信が持てない方が多いのではないでしょうか。

この記事では、SES・受託開発のように在庫や設備が少ない無形資産業種が日本政策金融公庫などの創業融資審査で見られるポイントを整理し、事業計画書の書き方や自己資金の目安、よくある審査落ちパターンまで実務目線でまとめました。フリーランスから法人化して融資にチャレンジしたい方にも役立つ内容です。

SES・受託開発が「無形資産業種」と呼ばれる理由

SESや受託開発は、商品在庫を抱えず、機械設備への大型投資もほぼ発生しません。エンジニアの稼働時間や納品物(ソースコード・成果物)が売上の源泉になるビジネスで、貸借対照表上に固定資産が積み上がりにくいことから、金融機関の現場では「無形資産業種」として整理されることがあります。

SES(システムエンジニアリングサービス)の特徴

SESは、エンジニアの労働力を客先に提供し、稼働時間に応じた人月単価で売上を立てる業態です。固定費の中心は人件費で、案件が決まれば比較的安定した売上が立つ一方、契約終了や稼働率低下が起こると一気に売上が落ち込むため、取引先と契約形態の組み合わせが重要になります。

受託開発の特徴

受託開発は、クライアントから仕様や要件を受けて、システム・アプリ・Webサービスを納品する業態です。プロジェクト単位で売上が立つため、SESより案件あたりの金額は大きくなりやすい反面、案件の谷間や見積もり超過のリスクを抱えやすい構造があります。

一般業種との違い

飲食店や小売店のように設備・内装・在庫に資金が回るビジネスと違い、SES・受託開発は調達した資金の使い道が「人件費・外注費・運転資金」に集中します。金融機関側からすると、回収の根拠を「設備の稼働」ではなく「案件の受注見通し」で判断しなければならないため、事業計画書の精度が審査結果を左右しやすくなります。

無形資産業種が創業融資で見られる5つの審査ポイント

日本政策金融公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金など)では、無形資産業種に対して以下のような観点が重視されやすい傾向があります。

1.経営者の経歴・スキル

無形商材は人がすべてです。代表者のエンジニア歴・プロジェクト経験・技術領域(言語、フレームワーク、業界知見)が、そのまま事業の信用力につながります。前職での担当案件・規模・役割を整理し、独立後の事業内容と地続きであることを示せると、審査担当者は売上の蓋然性をイメージしやすくなります。

2.取引先候補と受注の確度

「これから営業します」だけでは説得力が出ません。前職経由の発注先候補、すでに発注内諾を得ている協力会社、商談中のクライアントなど、具体的な取引先名(伏字でも可)と発注見込み金額・着手予定時期を一覧で提示しておくと、売上計画の根拠が一気に強くなります。

3.資金使途と必要金額の妥当性

SES・受託開発の資金使途は、PC・ライセンス・小規模なオフィス費・運転資金(人件費の数か月分や外注費の立替)に集約されます。「とりあえず1,000万円」ではなく、項目ごとに必要金額を積み上げ、なぜその金額か・いつ使うかを説明できる形にしておきます。

4.自己資金と返済原資

創業融資では、自己資金がどれだけ準備されているかが審査の入口で確認されます。コツコツ貯めた経緯(通帳の履歴)が確認できる自己資金であることが重要で、いわゆる「見せ金」と見られると一気に評価が下がります。返済原資は、案件売上から外注費・人件費を引いた営業キャッシュフローで賄える計画になっているかが見られます。

5.運転資金の見通し(売掛サイト)

受託開発・SESは、納品から入金まで30〜60日程度の売掛サイトが空くことが多く、立ち上げ初期は売上が立っていても手元資金が枯渇しやすい構造です。「人件費・外注費の支払いタイミング」と「売掛金の入金タイミング」のズレを月次キャッシュフローで示し、運転資金がいくら必要かを根拠付きで提示できると、無形資産業種の弱点を逆に強みとしてアピールできます。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫法人営業の小峰を中心とした専門家チームが、幅広い融資を含む資金調達支援・起業支援・経営支援を行っております。「何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

SES・受託開発の事業計画書で押さえるべき記載項目

無形資産業種の事業計画書は、数字の根拠が薄いと一気に評価が落ちます。最低限、以下の4点を具体的に書き込みます。

売上予測(人月単価×稼働月数)

SESなら「単価×稼働月数×契約本数」、受託開発なら「平均案件単価×案件数」を月次で積み上げます。立ち上げ初月から満稼働を想定するのではなく、3か月後・6か月後と段階的に稼働率が上がる現実的なカーブで描くことが大切です。前職での実績単価や既存ネットワークから出てくる単価レンジを使えると、根拠を提示しやすくなります。

経費計画(人件費・外注費・諸経費)

無形ビジネスの最大の経費は人件費・外注費です。役員報酬(経営者の生活費に直結)、社員・業務委託の単価と人数、リース代、クラウド利用料、地代家賃などを区分し、固定費と変動費の構造をはっきり見せます。

取引先候補と受注見込み

「営業先候補」のリストを表で添付できると説得力が増します。会社名(伏字可)/業種/想定単価/受注確度(A:内諾、B:商談中、C:候補)/着手予定月、といった粒度で並べると、売上計画の確からしさが視覚的に伝わります。

資金繰り表(月次キャッシュフロー)

受託開発・SESは売掛サイトの長さが資金繰りを圧迫します。売上計画とは別に、入金月ベースで作った資金繰り表を添付すると、運転資金の必要額を客観的に説明できます。3〜6か月分の人件費・外注費を運転資金として要求する根拠にもなります。

SES・受託開発の自己資金の目安

日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金の額そのものよりも「自分で計画的に貯めてきたお金か」が重視されます。とはいえ、無形資産業種の場合は、希望融資額に対して1割〜3割程度の自己資金を準備しておくと、計画全体のバランスが取りやすくなります。たとえば1,000万円の融資を希望するなら、100〜300万円程度の自己資金を確保し、通帳で形成過程が確認できる状態にしておきましょう。

家族・親族からの援助を自己資金に含める場合は、贈与契約書や振込履歴など、出所が明確に説明できる資料を一緒に準備します。短期間に振り込まれた金額や、消費者金融からの借入を自己資金として申告するのは、ほぼ確実に審査側に見抜かれます。

受託開発・SESでよくある審査落ちパターン

無形資産業種で創業融資を申請したものの、審査が厳しい結果に終わるケースには共通点があります。

  • 取引先候補が「これから営業」しかない:受注見込みの裏付けが弱く、売上計画が「絵に描いた餅」と判断される
  • 役員報酬・人件費が現実離れしている:立ち上げ初期から高額な役員報酬を設定し、返済原資が苦しい計画になっている
  • 1社依存の受注計画:特定の元請け1社からの受注で売上の大半をまかなう計画は、契約打ち切りリスクを問われる
  • 資金使途の説明が曖昧:「運転資金」とだけ書いて、何にいくら使うのかが詰められていない
  • 個人の信用情報に懸念がある:クレジットカード・税金・社会保険料の滞納履歴は、創業融資でも厳しく見られる

これらは事前の準備でほぼ防げる項目です。事業計画書を一度書き上げたら、第三者の目で読み直し、「数字の根拠」と「最悪シナリオの説明」が入っているかを確認しましょう。

SES・受託開発の創業融資を成功させる進め方

無形資産業種で創業融資を通すには、次の流れで準備するのがおすすめです。

  1. 事業内容・代表者経歴・取引先候補リストを整理する
  2. 月次の売上計画・経費計画・資金繰り表を作る
  3. 自己資金の積み上げ過程が分かる通帳を準備する
  4. 事業計画書のドラフトを作り、第三者(融資の専門家など)にレビューを受ける
  5. 日本政策金融公庫の窓口・電話で事前相談を行い、必要書類を確認する
  6. 申請書類一式を提出し、面談に臨む

SES・受託開発は無形商材であるがゆえに、書類の作り込みで評価が大きく変わるカテゴリです。「無形だから不利」ではなく、「無形だからこそ事業計画で語る」と発想を切り替えると、審査担当者と建設的な対話ができます。

まとめ

SES・受託開発は在庫や設備を持たない無形資産業種で、創業融資審査では事業計画書の精度が結果を左右します。代表者の経歴・取引先候補・売上計画の根拠・資金使途・運転資金の必要額を、数字とエピソードで説明できる状態に仕上げることが、無形商材で融資を通す近道です。

IT系の創業融資は、書類の作り込み次第で十分通せる領域です。事業計画書や資金繰り表の組み立てに不安があるときは、融資の専門家に早い段階で相談し、勝負どころを押さえた書類で勝ち切りましょう。

【無料相談のご案内】

弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫の法人営業の小峰を中心とした所属専門家チームが一丸となって、幅広い融資を含む資金調達のご支援・起業支援・経営支援を行っております。
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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

中野裕哲紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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