
カフェ開業資金の融資相場と申請方法
カフェの開業を考えたとき、最初の関門になるのが資金です。「いくらかかるのか」「自己資金が足りないけれど融資で借りられるのか」と不安に感じている方は少なくありません。この記事では、これからカフェを開く個人事業主・小規模事業者の方に向けて、カフェ開業資金の相場と、日本政策金融公庫などを使った融資での調達方法、審査で見られるポイントまでを実務目線で整理します。
カフェ開業資金の相場はいくらか
カフェの開業資金は、店舗の規模や立地、居抜きか新装かによって大きく変わります。一般的な目安としては、小規模なカフェで500万〜1,000万円、20坪前後のしっかりした店舗で1,000万〜1,500万円程度を見ておくと現実的です。
開業資金の主な内訳
カフェ開業にかかる費用は、大きく次の3つに分かれます。
- 物件取得費:保証金・礼金・前家賃など。家賃の6〜12か月分が目安
- 内装・設備工事費:厨房設備、客席、空調、給排水工事など。カフェでは特に厨房と内装の比重が大きい
- 備品・運転資金:食器、什器、仕入れ、当面の人件費・家賃
居抜き物件を使えば内装・設備工事費を大きく抑えられるため、初期費用を圧縮したい場合の有力な選択肢になります。
運転資金も忘れずに確保する
開業時の初期費用ばかりに目が行きがちですが、オープン直後から売上が安定するまでには時間がかかります。最低でも3〜6か月分の家賃・人件費・仕入れをまかなえる運転資金を、開業資金とは別に確保しておくことが、資金繰りを安定させるコツです。
カフェ開業資金は融資で調達できる
これだけの金額を自己資金だけでまかなうのは現実的ではありません。多くのカフェオーナーは、自己資金に融資を組み合わせて開業資金を準備しています。
創業融資の代表格は日本政策金融公庫
創業時にもっとも利用されているのが、政府系金融機関である日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(旧・新規開業資金)です。融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、カフェのような小規模開業にも幅広く使われています。
なお、かつて創業者向けに使われていた「新創業融資制度」は2024年に廃止され、現在は新規開業・スタートアップ支援資金へ一本化されました。これにより、以前あった「創業資金の10分の1以上の自己資金を用意する」という形式的な要件はなくなっています。ただし、自己資金が極端に少ないと審査では不利になりやすいため、要件がなくなった=自己資金ゼロでよい、というわけではない点に注意が必要です。
自治体の制度融資も選択肢になる
都道府県や市区町村が、信用保証協会・金融機関と連携して提供する「制度融資」も創業時に使えます。金利の一部を自治体が補助してくれるケースもあり、公庫と併用したり比較検討したりする価値があります。お住まいの自治体の創業支援メニューを確認してみましょう。
カフェ開業融資の審査で見られるポイント
融資は申し込めば必ず通るものではありません。審査で重視される代表的なポイントを押さえておきましょう。
自己資金の割合
形式的な自己資金要件はなくなりましたが、自己資金は「計画性」と「本気度」を示す材料として今も重視されます。日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査によると、開業時の資金に占める自己資金の割合は平均22.9%(平均279万円)でした。総額のおおむね2〜3割程度を自己資金で用意できると、計画に説得力が出ます。
飲食業の経験
カフェ経営の経験や、飲食店での勤務経験があるかどうかも見られます。未経験での開業がだめというわけではありませんが、経験が乏しい場合は、その分を補う具体的な準備(メニュー設計、仕入れ先の確保、研修など)を計画書で示すことが大切です。
事業計画書の具体性
もっとも重要なのが事業計画書です。売上の根拠(席数×回転数×客単価×営業日数)、原価率や人件費の見込み、返済計画までを、数字の裏付けとともに具体的に書けているかが審査の決め手になります。希望的な数字を並べるのではなく、近隣の競合状況や立地の人通りといった現実を踏まえることがポイントです。
カフェ開業融資の申請手順
日本政策金融公庫を例にすると、申請から融資実行までの流れは次のとおりです。
- 事業計画書・創業計画書を作成する
- 必要書類(見積書、自己資金の通帳、本人確認書類など)を準備する
- 公庫に申し込む(インターネット申込・支店窓口など)
- 担当者との面談を受ける
- 審査
- 融資決定・契約・着金
申し込みから着金までは、おおむね1か月前後が目安です。物件契約や工事のスケジュールから逆算して、余裕をもって動き始めることが大切です。
よくある質問
自己資金なしでもカフェ開業融資は受けられますか
制度上の自己資金要件は撤廃されましたが、自己資金がまったくない状態では審査は厳しくなります。少額でも計画的に貯めた自己資金があると、評価は大きく変わります。
カフェ開業でいくらまで借りられますか
新規開業・スタートアップ支援資金の限度額は最大7,200万円ですが、実際の融資額は事業計画・自己資金・返済能力に応じて決まります。小規模カフェであれば数百万〜1,000万円程度が一つの目安です。
融資が下りるまでどのくらいかかりますか
日本政策金融公庫の場合、申し込みから着金まで1か月前後が目安です。書類の不備があるとさらに時間がかかるため、準備は早めに進めましょう。
まとめ
カフェの開業資金は、小規模でも500万〜1,000万円、しっかりした店舗なら1,000万〜1,500万円程度が相場です。自己資金だけでまかなうのは難しいため、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金や自治体の制度融資をうまく組み合わせて調達するのが現実的です。融資の成否は事業計画書の具体性で大きく変わります。数字の裏付けのある計画づくりに不安がある場合は、創業融資にくわしい専門家へ早めに相談することをおすすめします。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























