
コンビニフランチャイズの開業融資、公庫はどこを見ているか|加盟前に整理する6つの疑問
コンビニフランチャイズの開業融資、本部の仕組みとどう関係する?
コンビニの本部説明会に参加すると、開業に必要な資金の総額や本部からの支援内容について説明を受けます。ただし、本部が用意してくれる部分と、自分で用意する必要がある部分、そして日本政策金融公庫の創業融資がどこに関わってくるのかは、説明会の場だけでは整理しづらいところです。この記事では、コンビニ本部の仕組みと創業融資の関係について、よくある疑問を一問一答形式で6つ取り上げます。融資に関する制度や金利は変わりやすいため、本記事の内容は2026年8月時点の情報として参考にしてください。
Q1. 本部の説明会で聞いた「開業資金」と、公庫の創業融資で必要な「自己資金」は同じものですか?
A. 別のものとして整理して考えることをおすすめします。本部の説明会で示される開業資金は、加盟金や研修費、開業準備手数料など、本部との契約にあたって必要になる費用の総額です。一方、日本政策金融公庫の創業融資で見られる自己資金は、開業者本人がどれだけの資金を自分で用意できているかという、審査の判断材料のひとつです。制度上、自己資金の金額や割合について決まった要件はありませんが、自己資金の額は審査で重要な判断材料になるとされています。本部への支払いに充てる予定の資金であっても、面談の時点で口座に確認できる状態にしておくことが基本です。
Q2. 本部が土地・建物を用意する契約タイプを選べば、創業融資は必要なくなりますか?
A. 契約タイプによって初期費用の見え方は変わりますが、融資が不要になるとは限りません。コンビニ本部の中には、土地・建物をオーナーが用意する契約タイプと、本部が用意する契約タイプを分けて案内しているところがあります。たとえばセブン-イレブンの公式サイト(2026年8月確認)では、土地・建物を本部が用意する契約タイプでも、研修費・開業準備手数料・開業時出資金といった項目は加盟者側の負担として案内されています。土地・建物の負担が軽くなる契約タイプを選んだとしても、契約にあたって用意する資金や、開業後しばらくの運転にあたる資金が別途必要になる場合があり、そうした資金の一部を創業融資でまかなう加盟希望者もいます。具体的な金額や項目立ては本部や契約タイプによって異なるため、最新の条件は加盟を検討している本部に直接確認してください。
💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言
公庫で審査していたときの実感では、資金使途は業種や状況によって見られ方が分かれます。業種に対して過剰なスペックの設備でないか、店舗であれば立地条件が事業に本当に必要かが論点になり、場合によってはリースや中古品に置き換えられる設備は、そちらでよいと判断されることもあります。
Q3. 本部の支援制度があれば、公庫の創業融資は使わなくてもよいですか?
A. 本部の支援制度と公庫の創業融資は、役割が異なるものとして考えます。コンビニ本部の中には、最低保証制度や金融機関の紹介制度など、独自の支援策を案内しているところがあります。ただし、これらはあくまで本部が加盟店に対して行う支援であり、日本政策金融公庫のような政府系金融機関が行う融資とは別の枠組みです。日本政策金融公庫は、民間金融機関では対応が難しいケースにも積極的に取り組む政府系金融機関で、無担保・無保証人での借り入れが原則として可能とされています。本部の支援内容と公庫の創業融資の両方を把握したうえで、それぞれをどう組み合わせるかを検討することになります。
Q4. フランチャイズ加盟という開業のかたちは、公庫の審査で「創業」として扱われますか?
A. 加盟前の会社員であれば、開業者本人にとっては創業にあたると考えられます。公庫の創業融資では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断される点が新規開業の場合と変わりません。フランチャイズ加盟の場合、本部のブランドや運営ノウハウには実績がありますが、審査で問われるのはあくまで開業者本人が事業として創業した実績の有無です。本部の実績があるからといって、本人の創業計画書の作り込みが不要になるわけではない、という点は押さえておくとよい整理です。判断材料は事業計画書と自己資金などに限られるものではなく、経験や資金の使いみちなど複数の材料をあわせて見られます。すでに営んでいる事業をそのまま法人化する「法人成り」は、原則として創業融資の対象外となり、通常の融資として扱われます。一方、これまで事業を営んでいなかった方が、コンビニ経営を行う法人を新たに設立して加盟する場合は、その法人にとっては創業にあたるため、創業融資の対象になる可能性があります。
Q5. 本部への研修費や仕入代金の決済の仕組みは、公庫の融資でいう「運転資金」に含まれますか?
A. 個別の支出ごとに、事業に必要な支出かどうかで判断されます。日本政策金融公庫の創業融資における運転資金は、事業を回していくために必要な資金を指し、人件費や役員報酬なども事業活動に必要な経費として対象になります。コンビニ本部との間では、仕入代金や本部への支払いを都度精算せず、売上とあわせてまとめて精算する仕組みを採用しているケースもあります。こうした本部との決済の仕組みそのものは各本部の運用によるところが大きく、個別の支出が運転資金の対象として認められるかどうか判断に迷う場合は、申請先や専門家に確認しながら計画を整えることをおすすめします。
Q6. 加盟金や開業準備手数料の金額はチェーンによって違いますか?公庫の融資条件も変わりますか?
A. 本部側の費用と、公庫側の融資条件は別の軸で決まるものです。加盟金・研修費・開業準備手数料などの金額や内訳は本部や契約タイプによって異なるため、どのチェーンが有利かを一概に比較することはできません。最新の金額は、加盟を検討している本部の公式サイトや説明会で確認してください。一方、日本政策金融公庫の創業融資は、融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)、基準利率は2026年6月1日現在で創業期の場合年3.45〜5.15パーセントなど、公庫側の制度としての基準にもとづいて決まるもので、加盟するチェーンによって条件が変わるものではありません。据置期間は元金返済について5年以内で設定でき、申請から融資実行までは書類提出後おおむね3週間から1か月が目安です。制度や金利は変わりやすいため、実際に申し込む際は執筆時点以降の最新情報を公庫や専門家に確認することをおすすめします。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























