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コラム

製造業の創業融資:工場設備費・機械導入費の申請方法

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製造業の創業融資ガイド|工場設備費・機械導入費を借りる前に押さえる資金計画と申請の流れ

金属加工や機械加工、樹脂成形など、製造業で独立しようとすると、最初に大きな壁になるのが設備資金です。工作機械や加工設備を一式そろえようとすれば、数百万円から数千万円規模の投資になることも珍しくありません。手元資金だけでまかなうのは難しく、多くの方が創業融資を検討します。この記事では、これから製造業で独立・開業する方に向けて、工場設備費や機械導入費を創業融資でどう組み立てるか、その考え方と申請の流れを整理します。なお金利や限度額などの数字は執筆時点(2026年6月時点)の情報であり、制度や利率は変わりやすいため、申請前に日本政策金融公庫などの公式情報を必ず確認してください。

製造業の創業融資の基本:主な制度と借りられる金額

創業時の資金調達でまず候補になるのが、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。政府系金融機関が提供するため、実績のない創業期でも事業計画と自己資金をもとに審査を受けられるのが特徴で、原則として無担保・無保証人での借入も可能です。なお、この制度は2024年3月までは「新規開業資金」という名称で、2024年4月から現在の名称に改称・拡充されました。かつて無担保・無保証の特例だった「新創業融資制度」は2024年3月に廃止されており、現在は各融資制度に無担保・無保証の枠組みが組み込まれています。

融資限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)です。設備投資が重い製造業でも、必要な資金規模をカバーできる設計になっています。ただし、限度額いっぱいまで借りられるという意味ではなく、事業計画の妥当性と返済可能性にもとづいて金額が判断されます。

設備資金と運転資金を分けて考える

製造業の創業融資では、お金の使い道を「設備資金」と「運転資金」に分けて考えることが出発点になります。工場設備費・機械導入費は設備資金、材料費や人件費などは運転資金です。両者は返済期間の目安が異なります。

  • 設備資金:返済期間は20年以内、据置期間は5年以内(新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の例)
  • 運転資金:返済期間は原則10年以内、据置期間は5年以内(同上)

機械は導入してすぐにフル稼働で売上を生むとは限りません。据置期間(元金の返済を猶予し利息のみを支払う期間)を活用すると、立ち上げ初期のキャッシュフローに余裕を持たせられます。設備資金は返済期間を長く取れる分、月々の返済負担を抑えやすいのも特徴です。

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工場設備費・機械導入費を融資に組み込むときのポイント

設備資金を申請するうえで押さえておきたい実務的なポイントを整理します。

見積書をそろえる

設備資金は「何を、いくらで導入するか」を見積書で具体的に示す必要があります。中古機械を含める場合も、金額の根拠が分かる資料を用意します。希望額だけを伝えても、裏づけがないと計画の説得力が弱くなります。

設備を担保として検討できる場合がある

創業期は無担保・無保証での借入が原則ですが、導入する機械・設備を担保として活用する選択肢もあります。一般に有担保のほうが金利は低めに設定されるため、大型の設備投資では担保の有無による条件の違いも比較材料になります。どの組み立てが自社に合うかは、資金規模と返済計画をふまえて検討するとよいでしょう。

事業計画では製造原価と販売単価を具体的に

製造業の事業計画書では、何をいくらで作り、いくらで売るのか、つまり製造原価と販売単価の見通しが要になります。受注の見込みや稼働率の根拠を示せると、返済可能性の説明がしやすくなります。なお、敷金・礼金・仲介手数料・保証会社費用については計画書に記載しません。

自己資金はいくら必要か

「自己資金は総額の何分の1が必須」と言われることがありますが、現在の制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていません(旧「新創業融資制度」にあった自己資金10分の1要件のような固定の決まりは、現行制度にはありません)。とはいえ、自己資金の額は審査の重要な判断材料であり、多いほど有利になりやすいのが実態です。

自己資金は、面談の時点で口座に確認できる形にしておきます。また、創業前に自費で取得した資格や、先に購入した設備・備品、テストマーケティングにかかった費用などは、一定の範囲で「みなし自己資金」として評価されることがあります。領収書を必ず保管しておきましょう。

金利と返済の目安

2026年6月1日時点の基準利率は、無担保で創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するとき年3.45〜5.15%です。税務申告2期を迎えていない方の場合は、0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。これは案内文上の一般的な説明であり、実際の適用可否は利用する制度・審査・条件によって異なるため、「必ず下がる」と決めつけず、申請先で確認してください。

運転資金として認められるのは、事業に必要な支出です。従業員の給与は運転資金の対象になりますが、創業者・経営者の個人的な生活費は対象になりません。資金使途はあくまで事業に必要な支出である点を押さえておきましょう。

申請の流れとスケジュール

申請から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月が目安です。創業計画書・自己資金のエビデンス・設備の見積書などの準備期間を含めると、準備に1か月、審査・実行に1か月、合計で約2か月を見込んでおくと安全です。機械の納期や工場の稼働開始時期から逆算して、早めに動き出すことをおすすめします。

よくある質問

Q. 審査に落ちると信用情報に傷がつきますか

日本政策金融公庫の審査に落ちても、そのこと自体が信用情報に記録されることはありません。公庫は個人信用情報機関に加盟しておらず、申し込みや否決の記録が信用情報に残るわけではないためです。ただし、過去の延滞や債務整理など別の事由による情報が信用情報に登録されている場合は、それが審査に影響することがあります。

Q. 中古の機械でも設備資金の対象になりますか

中古機械も設備資金として申請できる場合があります。いずれの場合も、金額の根拠が分かる見積書をそろえ、事業計画のなかでその設備がなぜ必要かを説明できることが大切です。

Q. 会社設立の登記はどう進めればよいですか

法人での開業を考えている場合、設立登記の具体的な手続きは司法書士などの専門家に相談するのが確実です。融資の準備と並行して進められるよう、早めにスケジュールを相談しておくとよいでしょう。

まとめ

製造業の創業融資では、工場設備費・機械導入費を「設備資金」として組み立て、材料費や人件費の「運転資金」と分けて計画することが基本です。設備資金は返済期間を長く取れ、据置期間も活用できるため、立ち上げ初期の負担を抑えやすいのが利点です。自己資金に固定の要件はないものの、額は審査で重視されるため、見積書や事業計画とあわせて準備の質を高めることが採択への近道になります。金利や制度は変わりやすいので、最新の公式情報を確認しながら、必要に応じて専門家のサポートも受けつつ計画を固めていきましょう。

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多胡藤夫
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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。


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