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コラム

飲食店の創業融資はいくら借りられる?

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飲食店の創業融資はいくら借りられる?

飲食店の開業を考えるとき、多くの方が最初にぶつかるのが「創業融資でいくら借りられるのか」という疑問です。物件取得や内装工事、厨房設備など、飲食店は開業時にまとまった資金が必要になる一方で、手元の自己資金だけでまかなえるケースは多くありません。この記事では、これから開業する個人事業主・中小企業の方に向けて、飲食店の創業融資で借りられる金額の目安、必要資金の内訳、借入額を左右するポイント、利用できる主な制度までをわかりやすく整理します。

※本記事は2026年6月時点の情報をもとにしています。融資制度の条件は変更されることがあるため、申込時は必ず日本政策金融公庫など公式の最新情報をご確認ください。

飲食店の創業融資はいくら借りられるのが一般的か

制度上の融資限度額は7,200万円

飲食店の創業融資でまず検討したいのが、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)と定められており、制度の枠としては数千万円規模の借入も可能です。

ただし、この7,200万円はあくまで上限額です。創業時、特に飲食店の開業で実際にこの金額が満額認められるケースはまれで、多くは数百万円〜2,000万円程度の範囲で着地します。まずは「枠の上限」と「現実的に借りられる額」は別物だと理解しておきましょう。

実際の調達額は「自己資金の2〜3倍」が目安

創業融資の現場感覚として、借りられる金額は「自己資金の2〜3倍程度」が一つの目安になります。たとえば自己資金が300万円であれば、合計900万円前後(自己資金300万円+融資600万円程度)の資金計画が現実的なラインです。

かつての「新創業融資制度」では、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が要件とされていました。この制度は2024年3月末で取扱いが終了し、現在は形式的な自己資金要件は撤廃されています。とはいえ審査では自己資金の額が引き続き重視されるため、「自己資金ゼロでも上限まで借りられる」と考えるのは禁物です。

飲食店の開業に必要な資金の内訳

借入額を考える前に、まず飲食店の開業にどれくらいの資金がかかるかを把握しておきましょう。主な内訳は次のとおりです。

  • 物件取得費:保証金・敷金・礼金・仲介手数料など。家賃の3~6か月分が目安
  • 内装・外装工事費:スケルトン物件か居抜き物件かで大きく変動する
  • 厨房設備・什器費:コンロ、冷蔵庫、製氷機、食器、テーブルなど
  • 運転資金:開業直後の家賃・人件費・仕入れなど、軌道に乗るまでの当面の資金
  • その他:広告宣伝費、登記費用、当面の生活費

小規模なカフェや個人経営の店であれば総額1,000万円前後、席数の多い居酒屋やレストランでは2,000万〜3,000万円以上かかることもあります。このうち自己資金でまかなえない部分を創業融資で補う、という考え方が基本です。

なお、居抜き物件を活用すれば内装・設備費を大きく抑えられるため、必要な借入額そのものを小さくできます。資金が不安な場合は、物件選びの段階から「いくら借りるか」を意識すると無理のない計画になります。

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借入額を左右する3つのポイント

1. 自己資金の額と貯め方

前述のとおり、自己資金は審査で重視されます。金額そのものに加えて、「コツコツ貯めてきた資金か」という点も見られます。毎月計画的に積み立てた預金通帳は事業への本気度を示す材料になりますが、直前に親族から借りて一時的に増やした資金(いわゆる「見せ金」)はマイナス評価につながりやすいため注意しましょう。

2. 事業計画書の説得力

飲食店の創業融資では、事業計画書の売上予測が現実的かどうかが大きなポイントです。「席数×客単価×回転数×営業日数」といった根拠ある数字の積み上げで売上を示し、原価率・人件費・家賃などの経費を差し引いても返済が可能であることを説明できると、評価が高まります。希望する借入額に見合った返済計画になっているかも必ず確認されます。

3. 経験・スキル

同業種での勤務経験は、飲食店融資において特に重視されます。調理経験や店舗運営・マネジメントの経験があると、事業の実現可能性が高いと判断されやすくなります。未経験での開業の場合は、その分を補う準備(修業期間、開業前研修、信頼できるスタッフの確保など)を計画に盛り込むことが大切です。

飲食店が使える主な融資制度

新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫)

創業融資の中心となる制度です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)です。無担保・無保証人で利用できる枠もあり、創業期の飲食店にとって使いやすい制度です。

生活衛生関連業種向けの融資

飲食店は「生活衛生関連業種」にあたるため、業種特性に合わせた融資制度も用意されています。設備資金を対象とした貸付制度などがあり、自店の開業内容に合った制度を選べる場合があります。どの制度が向いているかは、申込前に確認しておくとよいでしょう。

自治体・信用保証協会の制度融資

各自治体が信用保証協会・金融機関と連携して提供する「制度融資」も選択肢になります。利子補給や保証料補助が受けられる場合があり、日本政策金融公庫の融資と組み合わせて必要資金を確保するケースもあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 自己資金なしでも飲食店の創業融資は受けられますか?

形式的な自己資金要件は撤廃されていますが、現実には自己資金ゼロでの融資はハードルが高くなります。ある程度の自己資金を準備したうえで申し込むのが安全です。

Q. 開業後に追加で融資を受けることはできますか?

可能です。開業後、計画どおりに返済実績を積んでいけば、運転資金や2店舗目の出店資金として追加融資を相談できます。

Q. 融資の審査期間はどのくらいですか?

日本政策金融公庫の場合、申込から融資実行まではおおむね1か月前後が目安です。物件契約や開業スケジュールから逆算して、早めに準備を始めましょう。

まとめ

飲食店の創業融資で借りられる金額は、制度上は最大7,200万円ですが、創業時の実際の目安は「自己資金の2〜3倍程度」です。借入額を増やし、審査を通過するためには、計画的に貯めた自己資金・根拠ある事業計画書・同業種での経験という3つの要素を整えることが重要です。

「自分の場合はいくら借りられるのか」「事業計画書をどう書けばいいか」は、個々の状況によって最適な答えが変わります。資金計画の段階で専門家に相談しておくことで、無理のない借入額と返済計画を描きやすくなります。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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