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コラム

システム開発会社の創業融資:受注前でも審査は通るか

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システム開発会社の創業融資|受注前でも審査は通る?通すための4つのポイント

「システム開発会社を立ち上げたいが、まだ受注が決まっていない。この状態で創業融資は受けられるのか?」——これは、エンジニアや受託開発出身の方が独立・法人化を考えるときに必ずぶつかる疑問です。結論から言えば、受注前でも創業融資を受けることは十分に可能です。ただし、売上の裏付けが弱い分、計画の組み立て方と見せ方に工夫が必要になります。この記事では、システム開発会社が受注前の段階で創業融資を通すための具体的なポイントを、日本政策金融公庫の制度を踏まえて解説します。

システム開発会社は受注前でも創業融資を受けられるのか

受注前でも創業融資は受けられます。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、これから事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の事業者を対象としており、すでに売上が立っていることは必須条件ではありません。審査では、現時点の受注状況そのものよりも、事業計画の実現可能性と返済の見通しが重視されます。

とくにシステム開発やWeb制作のような無形サービス業は、在庫や大型設備を持たず初期投資が比較的小さいため、必要な資金の使いみちを明確に説明できれば、受注ゼロの段階でも前向きに評価されるケースは珍しくありません。

なぜ「受注前」は不利と思われがちなのか

受注前が不安視されるのは、売上の根拠が「予定」や「見込み」にとどまり、客観的な裏付けが弱く見えるためです。金融機関は貸したお金が返ってくるかを判断するため、返済の原資となる売上の確からしさを重視します。受注済みの契約書があれば説得力は増しますが、無い場合は別の角度から実現可能性を示す必要があります。

言い換えれば、受注前であること自体が問題なのではなく、「受注が取れる根拠を説明できないこと」が問題なのです。ここを埋められれば、受注前でも審査は十分に通ります。

受注前でも審査を通すための4つのポイント

1. 自己資金の形成過程を示す

2024年の制度改正で新規開業・スタートアップ支援資金の自己資金要件は撤廃されましたが、実務上、自己資金は今も重要な評価要素です。大切なのは金額だけでなく「どうやって貯めたか」。毎月コツコツ積み立てた通帳の履歴は、計画性と返済意欲の証明になります。一方、申込直前にまとまった額が入金された「見せ金」と疑われる資金はマイナスに働きます。

2. 実務経験と事業計画の整合性を示す

システム開発会社の場合、代表者がどんな言語・領域で何年開発してきたか、どの規模のプロジェクトを担当したかが大きな武器になります。これまでの実務経験と、これから手がける事業内容が一本の線でつながっていることを示せると、計画の信ぴょう性が一気に高まります。

3. 受注見込み・パイプラインを具体化する

契約書がなくても、「前職時代の取引先から引き合いがある」「業務委託の打診を受けている」「知人経由で初年度に見込める案件がある」といった具体的なパイプラインは有効です。可能であれば、見込み先(社名は伏せても可)・想定単価・着手時期をリスト化し、口頭ではなく書面で示しましょう。基本合意書やメールのやり取りがあれば、それも裏付けになります。

4. 返済原資の根拠を数字で示す

月々いくら返済し、その原資をどの売上から捻出するのかを具体的な数字で示します。エンジニア1人あたりの稼働単価×稼働率×人数で月商を組み立てると、開発会社の収益構造として説明しやすくなります。希望的観測ではなく、控えめでも根拠のある数字を置くことが信頼につながります。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫法人営業の小峰を中心とした専門家チームが、幅広い融資を含む資金調達支援・起業支援・経営支援を行っております。「何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」を押さえる

受注前の創業融資でまず検討したいのが、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、2024年3月に新創業融資制度が整理・統合され、自己資金要件が撤廃されました。無担保・無保証人での利用も選択でき、創業期の経営者にとって使いやすい制度です。

システム開発業のように開発期間が長く、売上の発生まで時間がかかる業態では、返済期間を長めに設定して毎月の返済負担を抑えると資金繰りが安定します。運転資金は長期の返済が可能なため、黒字化までの「食いつなぎ」期間を見据えた計画を立てましょう。金利・返済期間などの最新条件は、必ず日本政策金融公庫の公式情報で確認してください。

システム開発会社の事業計画書で押さえるべき数字

無形サービス業の事業計画書は、数字の作り方で評価が分かれます。最低限、次の要素を盛り込みましょう。

  • 月商の根拠:エンジニアの人数 × 想定稼働単価 × 稼働率で算出する
  • 受注パイプライン:見込み案件の一覧と着手予定時期
  • 原価と粗利:外注費・人件費を踏まえた利益構造
  • 資金使途:開発用PC・ソフトライセンス・当面の人件費など、使いみちの内訳
  • 返済計画:黒字化までの月別資金繰りと返済原資

「受注が読みにくいビジネスをどう数字で説明するか」が腕の見せどころです。強気の売上計画より、保守的でも筋の通った計画のほうが審査では評価されます。

よくある質問(FAQ)

Q. 一度も法人の売上実績がなくても申し込めますか?
A. 申し込めます。新規開業・スタートアップ支援資金はこれから創業する人も対象です。実績の代わりに、実務経験と事業計画で実現可能性を示します。

Q. フリーランスから法人成りする場合、個人時代の実績は使えますか?
A. 使えます。個人事業主としての取引実績や確定申告の数字は、売上の裏付けとして有力な材料になります。

Q. 自己資金が少なくても受注前で融資は通りますか?
A. 自己資金要件は撤廃されましたが、少なすぎると返済力・計画性の面で不利になりがちです。形成過程を説明できる自己資金を用意するのが望ましいです。

まとめ

システム開発会社は、受注前であっても創業融資を受けることは十分に可能です。ポイントは、受注実績の不足を「自己資金の形成過程」「実務経験との整合」「受注パイプラインの具体化」「返済原資の数字」で補い、計画の実現可能性を客観的に示すこと。とくに無形サービス業は数字の作り方で評価が変わるため、保守的でも根拠のある事業計画書を準備することが審査通過の近道です。受注前の段階だからこそ、早めに専門家へ相談し、計画の精度を高めておくことをおすすめします。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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