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創業計画書 記入例 士業の書き方|公庫書式テンプレート&ポイント解説

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創業計画書 記入例 士業の書き方|公庫書式テンプレート&ポイント解説

税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、弁護士、中小企業診断士など、いわゆる「士業」で独立開業を考える方は少なくありません。資格を取得し、勤務時代の経験を積んだあと、自分の事務所を構えたい——そんなとき、開業資金として日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業融資を検討する方が多くいらっしゃいます。

本記事では、公庫の創業計画書を士業開業向けに書く場合の具体的な記入例と、押さえておくべきポイントを項目別に解説します。これから独立を検討している有資格者の方や、勤務時代の顧客を引き継いで開業する方の参考になれば幸いです。

士業の創業計画書はどう書けばいいのか

士業は他の業種と比べると、初期投資が比較的少なく、在庫リスクもありません。一方で、収益モデルが顧問契約(継続収入)とスポット案件(一時収入)の組み合わせで成り立っており、契約獲得のスピードが事業の安定性を左右します。

公庫の創業計画書では、こうした士業特有の収益構造と顧客獲得計画を、業界外の融資担当者にもわかる形で説明する必要があります。

士業ビジネスの典型的な構造

  • 主な収入源:顧問報酬(月額固定)+スポット案件(決算・申告・許認可・年末調整等)
  • 主な経費:事務所家賃・人件費・通信費・会費・専門書籍・損害賠償保険
  • 初期投資:事務所物件取得費・OA機器(PC・複合機)・什器・看板・ホームページ制作費
  • 回収条件:請求書ベースで月末締め翌月末払いが一般的

創業計画書(公庫書式)の9つの記入項目

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴等
  3. 取扱商品・サービスの内容
  4. 取引先・取引関係等
  5. 従業員
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し(月平均)
  9. 自由記述欄

【士業開業向け】創業計画書の記入例とポイント

1. 創業の動機

記入例(税理士の場合):

「税理士法人で8年間勤務し、中小企業の月次顧問・決算申告・税務調査対応を中心に150社以上の関与経験を積みました。前職では大企業向けの案件が多く、個人事業主や小規模法人へのきめ細かいサポートに限界を感じていました。地元◯◯エリアには起業家・小規模事業者向けに『気軽に相談できる税理士』が少ないことに着目し、月額顧問報酬を抑え、相談しやすい税理士事務所を立ち上げたいと考え独立を決意しました。」

ポイント:業界経験+顧客への課題認識+差別化コンセプトの3点を具体的に書きます。

2. 経営者の略歴等

勤務先・在籍期間・担当業務・担当顧客数・専門分野・保有資格を時系列で書きます。士業の場合、登録資格(税理士登録、社労士登録等)の取得時期・登録番号、合格年度、専門分野(法人税・相続税・労務・補助金等)が信用判断の重要要素になります。

3. 取扱商品・サービスの内容

記入例(税理士事務所):

  • 月次顧問業務(個人事業主):22,000円〜/月 — 売上構成比:30%
  • 月次顧問業務(法人):33,000円〜/月 — 売上構成比:50%
  • 決算申告業務(スポット):100,000円〜 — 売上構成比:15%
  • 創業支援パック(融資・補助金・記帳):50,000円〜 — 売上構成比:5%

セールスポイント:「クラウド会計ソフト対応」「LINEでの簡易相談無料」「創業融資・補助金支援とのワンストップ」「料金体系の明確化」など、競合との違いを具体的に書きます。

4. 取引先・取引関係等

販売先:「一般法人・個人事業主」と書きつつ、可能であれば内定済みの顧客(前職時代に独立を後押ししてくれた顧問先など)の存在を記載すると評価が上がります。

回収条件:「月末締め翌月末払い」など、業界慣行に沿った条件で記載します。顧問報酬は口座振替や請求書払いが一般的です。

仕入先:士業はモノの仕入れがほぼないため、PC・複合機・専門ソフト(会計ソフト・申告ソフト等)の購入先や、加入予定の専門家賠償責任保険などを記載します。

5. 従業員

多くの士業事務所は1人開業から始まり、業務が増えてきたらパート事務員を採用するパターンです。「初年度:代表1名/2年目:事務スタッフ1名(パート)採用予定」など、段階的な拡大計画を書きます。

6. お借入の状況

個人としての借入を漏れなく記載します。住宅ローン・自動車ローン・カードローンなど、隠さず書きます。

7. 必要な資金と調達方法

記入例(必要な資金):

  • 設備資金:220万円
    • 事務所物件取得費(保証金・礼金等):80万円
    • OA機器(PC・複合機・モニター等):50万円
    • 会計ソフト・申告ソフト初期費用:30万円
    • 什器・備品(デスク・チェア・書棚等):30万円
    • ホームページ制作・名刺・看板:30万円
  • 運転資金:180万円(家賃・通信費・会費・生活費の6か月分)
  • 合計:400万円

記入例(調達方法):

  • 自己資金:100万円
  • 日本政策金融公庫からの借入希望:300万円

ポイント:士業は初期投資が他業種より少ない傾向にあるため、運転資金(特に「軌道に乗るまでの生活費」を含む)を厚めに見積もる方が安全です。

8. 事業の見通し(月平均)

記入例(軌道に乗った後の月平均):

  • 売上高:80万円(顧問15件×平均月額33,000円+スポット案件30万円)
  • 売上原価:5万円(外注費・印紙代等)
  • 経費:家賃10万円/通信費2万円/会費(税理士会等)3万円/専門書籍・研修費2万円/その他5万円
  • 利益:53万円

顧客獲得の積み上げ根拠(必須):

  • 1か月あたりの新規顧客獲得:1〜2件(紹介・ホームページ・SNS経由)
  • 軌道達成までの期間:開業後10〜12か月で顧問15件目標
  • 初期顧客の確保:前職時代に独立を後押ししてくれた顧問先2〜3件が内定済み

9. 自由記述欄

強み・差別化・将来構想を補足します。「2年目以降のスタッフ採用」「専門分野(相続税・国際税務・補助金等)への特化」「他士業との連携体制構築」など、事業拡大の構想を簡潔に書きます。

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士業の創業計画書でよくある5つの落とし穴

  1. 顧客獲得の根拠が不明確:「前職の人脈で何とかなる」では弱い。具体的な内定済み顧客と新規獲得チャネルを書く
  2. 運転資金(生活費)が薄い:士業は軌道に乗るまで時間がかかるため、6〜12か月分の生活費を運転資金に含めて見積もる
  3. 専門分野が曖昧:「何でもできる」より「これに強い」と打ち出した方が、ターゲット顧客への訴求力が高まる
  4. 顧問報酬の単価設定が現実離れ:地域相場・競合相場を調査せずに高めの単価で計算すると、計画通りに進まない
  5. 同業者との競合分析が不足:商圏内の同業事務所の数・特徴・料金体系を調査していない計画は説得力に欠ける

採択されやすい創業計画書のコツ

  • 顧問契約の積み上げ計画を月別で示す:1か月目〜12か月目までの顧問件数・スポット案件数を表で見える化
  • 初期顧客の確度を示す:前職時代から関係のある内定済み顧客を具体的に書く
  • 専門分野の打ち出し:「相続税専門」「補助金特化」「IT業界特化」など、ターゲットを絞った差別化
  • 他士業との連携:提携先(弁護士・司法書士・社労士等)があれば記載し、ワンストップ対応の体制を示す
  • 集客チャネルの明示:ホームページ・SNS・紹介・士業会の経由など、新規顧客獲得の手段を具体化

まとめ

士業開業時の創業計画書は、初期投資の少なさよりも「軌道に乗るまでの運転資金」と「顧客獲得計画の確度」が問われます。前職の人脈・専門分野・差別化コンセプトを具体的な数字と顧客獲得計画に落とし込むことで、融資担当者に「この事務所は安定的に運営できる」と評価してもらいやすくなります。

制度や公庫書式は変更されるため、申込前に必ず最新の公式情報を確認してください。書類のブラッシュアップや面談対策が不安な場合は、士業向けの創業融資支援に強い専門家への相談も検討すると良いでしょう。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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