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原価管理システムの補助金は数字づくりが先|建設業が申請書の前にそろえる決算書の値

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原価管理システムの補助金は数字づくりが先|建設業が申請書の前にそろえる決算書の値

建設業が原価管理システムに補助金を使うとき、申請書に書く数字を先に用意する4ステップ

工事ごとの利益は現場の感覚で見えている。けれども原価の内訳は、決算のときに顧問税理士がまとめてくれる数字を見ているだけ。従業員10人から30人ほどの工務店や専門工事会社では、そういう状態は珍しいことではありません。

その状態で原価管理システムの見積を取ると、どうしても製品の比較から入ってしまいます。ところが補助金の申請書が見ているのは、入れる製品の機能ではなく、自社の数字がどう伸びるかという説明です。そして、その説明の起点になるのは導入したあとの数字ではなく、いま手元にある決算書の数字です。順番を逆にすると、見積がそろったのに申請書が書けないという止まり方をします。

この記事では、原価管理システムの導入で補助金を使う建設会社が、制度を絞り込む前にそろえておく数字と、その作り方を4つの手順に分けて整理します。

制度を選ぶ前に、申請書が求めている数字を確かめる

建設業の原価管理システムで候補になる制度は複数ありますが、どれも共通して「事業計画の期間中に、この指標をこれだけ伸ばす」という形の要件を置いています。たとえば新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠では、公募要領1.0版(令和8年6月)で次の水準が基本要件として示されています。

  • 付加価値額:事業計画期間(3年から5年)で年平均成長率 プラス4.0%以上
  • 一人当たり給与支給総額:年平均成長率 プラス3.5%以上
  • 事業場内最低賃金:毎年、地域別最低賃金にプラス30円以上の水準

ここでいう付加価値額は、営業利益と人件費と減価償却費を足したものです。伸び率で書く要件なので、起点となる現在の金額が出ていないと、目標そのものが立てられません。申請の直前に慌てて組み立てる種類の数字ではない、というのが最初の分かれ目です。

ステップ1 直近の決算書から、いまの付加価値額を出す

最初にやるのは、直近の決算書から営業利益・人件費・減価償却費を拾って合計することです。金額そのものは決算書に載っているので、新しく計算をする作業ではありません。

ただし、人件費として何をどこまで含めるかは会社ごとの科目の立て方で変わります。建設業では現場の作業員の労務費が完成工事原価の側に入っていることが多く、販売費及び一般管理費の人件費だけを拾うと実態より小さく出ます。どの科目を集めるかは顧問税理士に確認してください。

ステップ2 工事別に、原価を4つに割ってみる

次に、直近で完了した工事を数件選び、その原価を材料費・労務費・外注費・経費の4つに割ってみます。ここで割り切れない費目が出てきたら、それが原価管理システムを入れたあとに最初に効く場所です。

建設業は外注費の比率が高く、しかも支払が工事の完了時期とずれます。工事別の利益がいつ確定するのかが見えていないと、システムに何を入力させるかという設計も決まりません。逆に言えば、この作業は補助金のためだけの作業ではなく、製品を選ぶための材料にもなります。

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ステップ3 減る作業時間を、金額に置き換える

申請書に「集計作業が楽になります」と書いても、付加価値額の伸びにはつながりません。誰が、どの作業に、月に何時間を使っているのかを先に書き出し、そのうち何時間が減るのかを見積の根拠と結びつけます。

そのうえで、空いた時間を何に振り向けるのかまで書きます。工事を年に1件多く受けられるようにするのか、これまで外注に出していた積算や写真整理を社内で引き受けるのか。振り向け先が決まって初めて、営業利益や人件費の動き方として説明できる形になります。

ステップ4 入れたあとに毎年出す数字を、誰が出すか決める

賃上げに関する要件は、達成できなかった場合に返還が生じうる形で設計されています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠でも、中小企業省力化投資補助金(一般型)でも、未達時の返還が想定されています。

これは裏を返すと、3年から5年のあいだ、毎年同じ数字を出し続ける作業が続くということです。誰が集計して、いつ社内で確認するのかを導入前に決めておかないと、初年度の報告で止まります。原価管理システムを入れる会社であれば、その集計そのものはシステム側で回せる場合が多いので、担当と時期を決めるところまでを導入計画に含めておく形になります。

要件の数字は、制度ごとに形が違います

候補になる制度の要件を、伸ばす指標という一点だけで並べると次のようになります。上限額や対象経費ではなく、計画に書く数字の形が違うという見方です。

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠:付加価値額 年平均プラス4.0%以上と、一人当たり給与支給総額 年平均プラス3.5%以上の両方
  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):労働生産性を年平均プラス4.0%以上伸ばす3年から5年の計画
  • デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金):導入目的が業務効率化に結びついていること。通常枠の高額側では賃上げ計画の策定と表明が実質的な前提になります
  • 小規模事業者持続化補助金:販路開拓が主題の制度で、伸び率の要件とは組み立てが異なります。建設業は「製造業その他」に当たり、常時使用する従業員20人以下が対象です

指標の名前が違えば、決算書から拾う科目も変わります。制度を先に決めてから数字を作るのではなく、ステップ1と2でそろえた数字を見てから、どの指標なら説明が立つ制度なのかを選ぶ順番のほうが手戻りが出ません。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

年平均プラス4.0%という水準は、事務局で申請書を見ていた立場から言うと、率だけが書かれていても読み手には届きません。起点の金額がいくらで、何年後にいくらになるのかが金額で並んでいると、率は結果として出てきます。決算書から拾える数字なので、見積より先に用意できる部分です。

見積を依頼する前に決めておきたい3項目

ここまでの数字がそろったら、製品の見積を依頼する段階に入ります。依頼の前に、次の3つを社内で決めておくと、届いた見積をそのまま申請書の材料に使えます。

  1. どの工事から入れるか:全社で一斉に切り替えるのか、公共工事だけ、あるいは一定金額以上の工事だけを対象にするのか。範囲が決まらないと導入費用も効果額も動きます
  2. 入力する人と入力の時点:現場で日次に入れるのか、事務所で週次にまとめるのか。ここが決まっていないと、システムの構成も研修の必要量も変わります
  3. 契約と発注の時期:交付決定の前に行った発注・契約・購入は対象外として扱われます。採択の通知だけでは事業を始められないため、見積の有効期限と工事の繁忙期を見ながら時期を置きます

まとめ

原価管理システムの補助金は、製品を決めてから制度を探す進め方だと、申請書の段階で止まりやすくなります。先に用意するのは、直近の決算書から出した付加価値額と、工事別に4つへ割った原価の実物です。この2つがあれば、どの制度なら説明が立つのかも、システムに何を任せるのかも同時に決まります。

なお、制度の内容や公募の回次は変わります。本記事は2026年8月時点で確認した内容にもとづいており、申請の際は各制度の最新の公募要領をご確認ください。決算書の科目の扱いについては顧問税理士に、申請の進め方については専門家にご相談ください。

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フリーダイヤル 0120-335-523
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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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