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コラム

動物病院の循環器診療とエコー導入に使える補助金|投資の目的別に3つの入口を整理【2026年度】

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心エコー導入で循環器診療を立ち上げる動物病院の補助金の選び方

高齢の犬や猫で心雑音を指摘されるケースが増え、心エコーを入れて循環器を自院で診られるようにしたい。そう考えて補助金を調べ始めると、動物病院向けの制度一覧か、他院の循環器科の紹介ページばかりが並びます。そのあいだにある「循環器の診療体制を立ち上げる投資に、どの制度をどう当てるか」という話は、ほとんど見当たりません。

ここでつまずく理由ははっきりしています。国の補助金には「循環器診療の強化」という目的区分が存在しないからです。申請書では、その投資を制度側が用意している別の目的に置き換えて書くことになります。置き換え先によって、補助の下限額も、事業を終える期限も、求められる数字も変わります。この記事では2026年度時点の公募要領をもとに、置き換え先の候補を3つに整理します。

「循環器を強化したい」は、そのままでは申請書に書けません

補助金の制度は、機器の種類ではなく投資の目的で分かれています。心エコーという同じ1台を入れる場合でも、それを「売り方を変えるための投資」と書くのか、「新しい診療サービスを開発する投資」と書くのか、「検査から診断までの工程を作り替える投資」と書くのかで、乗る制度が変わります。

逆に言うと、機器の見積書を先に取ってから制度を探すと順番が逆になります。金額だけを見て制度を選ぶと、下限額に届かなかったり、その制度が求める成果の出し方と自院の狙いがずれたりします。先に決めるのは、循環器を診られるようにすることで何を変えたいのか、という一文です。

入口1:売り方を変える投資として出す(小規模事業者持続化補助金)

常時使用する従業員が5人以下の動物病院であれば、小規模事業者持続化補助金が候補になります。第20回公募(公募要領 第7版・2026年5月27日公開)では、補助率は3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3)、補助上限は基本50万円です。インボイス特例と賃金引上げ特例の両方の要件を満たした場合に、最大250万円まで上乗せされます。

機械装置等費が対象経費に含まれるため、心エコーの本体をここに載せる組み立てはできます。ただし、この制度の主題は販路開拓です。飼い主に循環器を診られることを知らせるための広報やウェブ関連の費用も対象になりますが、それぞれ交付申請額で30万円(税込)の上限があり、広報費だけ、ウェブ関連費だけの申請は認められていません。

申請には商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書が要ります。第20回の様式4の発行受付は2026年12月4日で締め切られ、それ以降の依頼は理由を問わず受け付けられません。申請受付締切は2026年12月15日17時です。

入口2:新しい診療サービスの開発として出す(革新的新製品・サービス枠)

投資額が持続化補助金の枠に収まらない場合、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠が次の候補になります。補助下限は100万円、補助上限は従業員規模別で、1〜5人なら750万円です。補助率は中小企業者が2分の1、小規模企業・小規模事業者は3分の2です。機械装置・システム構築費は単価10万円(税抜)以上が条件になります。

この枠でいちばん気をつけたいのが、公募要領1.0版(令和8年6月)に書かれた2つの除外規定です。ひとつは「単なる設備・システム導入は対象外」、もうひとつは「同業で既に相当程度普及している新製品・新サービスの開発は対象外」というものです。

心エコーによる循環器診療は、二次診療施設だけでなく一次診療の現場にもすでに広がっています。「心エコーを導入して循環器診療を始めます」という書き方は、この2つの規定に正面からぶつかります。この枠で通すのであれば、機器を入れること自体ではなく、その先で自院が何を新しく提供するのか、なぜそれが自院にとって開発と呼べるのかを、診療の設計として書き切る必要があります。

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入口3:検査から診断までの工程を作り替える投資として出す(省力化一般型)

3つ目が中小企業省力化投資補助金(一般型)です。補助上限は1億円で、3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が求められます。設備投資は単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れることが条件です。

ただしこの制度は、単価の条件を満たすだけでは足りません。対象になるのは、情報通信技術やロボット等を活用した「オーダーメイド性のある設備」です。汎用の設備を単体で導入するだけの事業は対象外とされており、複数の設備を組み合わせてより高い省力化効果を出す場合や、導入環境に応じて周辺機器や搭載する機能が変わる場合に、オーダーメイド設備とみなされます。

循環器の場合、心エコー本体だけを入れる計画では、この線を越えられません。検査の予約から画像の保存、記録の共有までを含めて工程として組み直すのであれば、この枠での説明が立ちます。なお、保険診療の経費との重複を理由とした対象外規定は第6回公募要領の改訂で撤廃されていますが、動物医療は公的医療保険の外にあるため、この論点は前提として関係しません。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

採択された時点で話が終わると受け取られがちですが、賃上げの目標を満たせなかったときの扱いは制度ごとに違います。2026年度の整理では、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金と省力化投資補助金の一般型は返還が生じうる側、省力化投資補助金のカタログ注文型は減額で収まる側です。制度を選ぶ段階で、この差まで見ておくと後が楽になります。

補助が効かない費用を先に外してから予算を組みます

3つの入口はいずれも、機械装置・システム構築費が対象経費の主軸です。裏を返すと、循環器を診られるようにするための費用のうち、かなりの部分は自己負担で残ります。獣医師やスタッフが読影と評価をできるようになるまでの研修や、その時間にあたる人件費は、これらの制度の対象経費区分に入っていません。汎用の情報機器も基本的に対象外です。

外部の力を借りる場合も上限があります。革新的新製品・サービス枠では、専門家経費は補助対象経費総額の5分の1(1日1人あたり5万円)まで、外注費は4分の1までで、事業の主たる内容そのものを外注することは認められていません。読影を全面的に外部へ委ねる形は、この枠の考え方と合いにくくなります。

もうひとつ見落としやすいのが期限です。革新的新製品・サービス枠の補助事業実施期間は交付決定日から10か月以内(採択発表日からは12か月以内)です。循環器の症例が積み上がるまでの時間と、この10か月は別物です。補助事業として区切るのは機器の導入と工程の整備までで、症例の蓄積はその後の話として計画を分けておくと、実績報告の段階で困りません。

まとめ:先に決めるのは制度名ではなく投資の目的です

心エコーの導入で循環器診療を立ち上げる投資は、制度側にそのままの受け皿がありません。売り方を変える投資として持続化補助金へ、新しい診療サービスの開発として革新的新製品・サービス枠へ、検査から診断までの工程を作り替える投資として省力化投資補助金(一般型)へ。この3つのどれで説明するかを先に決めると、下限額と期限と求められる数字が自動的に決まります。投資額が750万円を超え、既存の診療とは別の市場に出ると説明できる場合には新事業進出枠という選択肢もありますが、公募要領では単なるメニュー追加は該当しないとされています。

本記事の数字は2026年8月時点で確認できた公募要領に基づくものです。公募回によって要件も期日も変わりますので、申請前には最新の公募要領で確認したうえで、自院の計画に合う枠を選んでください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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