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コラム

自社サービスを始める受託開発会社向け、補助金の枠の比較ガイド

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受託開発会社が自社サービス化を目指すときの補助金、枠の選び方

システム・ソフトウェアの受託開発を続けてきた会社が、自社サービスの開発に乗り出そうとするとき、最初に迷うのが補助金の枠選びです。2026年度は「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合され、公募要領上の正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。この制度には革新的新製品・サービス枠と新事業進出枠という2つの枠があり、どちらに当てはまるかで、使える経費の区分や事業の進め方の前提が変わります。この記事では、受託の売上を保ちながら自社サービスを立ち上げる前提で、枠の選び方と、開発費・資金計画の数字の組み方を整理します。

革新的新製品・サービス枠と新事業進出枠、何が違うか

革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力等を活かして顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービスを開発する取組を対象にした枠です。単なる設備・システムの導入や、既存の製品・サービスの生産プロセス改善、同業で既に相当程度普及している開発は対象外とされています。受託開発で積んできた技術やノウハウを使って新しいサービスを形にする取組は、この枠の対象性質に近づきます。

一方、新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠です。対象になるには、新たに提供する製品等が申請者にとって新規性を持ち、その市場も申請者にとって新しい市場である必要があります。日本初・世界初である必要はなく、あくまで申請者自身にとっての新規性が基準です。受託という業態そのものから離れて、自社サービスの提供という新しい市場に進出する、という位置づけで説明したい場合は、こちらの枠の対象性質に近づきます。

自社サービス化は、どちらの枠に近いか

両枠の性質を並べると、次のようになります。

枠 対象となる取組の性質 補助上限 補助事業実施期間
革新的新製品・サービス枠 自社の技術力を活かした新製品・新サービスの開発 従業員規模により異なる。最大2,500万円、大幅賃上げ特例適用時は最大3,500万円 交付決定日から10か月以内
新事業進出枠 申請者にとって新規性のある製品・市場への進出 従業員規模により異なる。最大7,000万円、大幅賃上げ特例適用時は最大9,000万円 交付決定日から14か月以内

受託開発の延長として新サービスを開発するなら革新的新製品・サービス枠、受託という業態から離れて自社サービス提供という新しい市場に進出する位置づけで説明するなら新事業進出枠、という整理になります。新事業進出枠では、新市場性(社会的に普及・認知度が低いこと)または高付加価値性(同分野で高水準の高付加価値化・高価格化)のいずれかで、新規事業として筋が通るかどうかが審査の軸になります。

開発費の計上と売上の立ち上がりをどう見込むか

対象経費を見ると、革新的新製品・サービス枠は機械装置・システム構築費が必須かつ主軸の経費です。受託開発会社が自社サービスのシステムを開発する場合、このシステム構築費に開発費を計上しやすい形になります。新事業進出枠は、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須経費で、建物費が対象になるのはこの枠だけです。

どちらの枠も、外注費は補助対象経費総額の4分の1が上限で、取組の主たる内容を外注することは認められていません。自社で開発を担う受託開発会社にとっては、もともと内製で進める計画になりやすいため、この上限が制約になりにくい組み方です。

売上の立ち上がりについては、両枠とも事業計画期間の付加価値額を年平均4.0%以上伸ばす計画が基本要件に含まれます。自社サービスの売上が初年度からすぐに立ち上がる前提ではなく、受託の売上を土台にしながら、自社サービスの売上を段階的に積み上げていく計画にして、全体の付加価値額の伸びをつくる組み方が現実的です。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

自社サービス化の構想がまだ小さいうちは、投資額も小さく見積もりがちですが、どちらの枠にも補助下限があります。革新的新製品・サービス枠は100万円、新事業進出枠は750万円が下限で、これに届かない規模の投資は枠に乗りません。開発費を見積もる段階で、まずこの下限をクリアできる規模かどうかを確認しておくと、枠選びで迷う時間が減ります。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

受託の売上が落ちる期間の資金計画をどう考えるか

自社サービスの開発にエンジニアの時間を割くと、その分だけ受託の受注に回せる稼働が減り、開発期間中は受託の売上が一時的に落ちる可能性があります。補助金は事業を実施したあとに交付される仕組みのため、開発にかかる費用を先に自社で立て替える前提で資金計画を組む必要があります。

補助事業実施期間は、革新的新製品・サービス枠が交付決定日から10か月以内、新事業進出枠が交付決定日から14か月以内です。新事業進出枠の方が実施期間が長く、その分、受託の売上が落ちる期間も長く見込んでおく計画になりやすい点は、枠を選ぶ際の判断材料のひとつになります。

資金計画では、受託の既存売上と自社の手元資金でどこまで開発期間を持たせられるか、どの時点から自社サービスの売上を計画に乗せ始めるかを、数字で先に決めておくことが土台になります。具体的な調達方法まで検討する段階になったら、事業計画全体を専門家に見てもらうと、計画の抜けを早い段階で確認できます。

枠選びの比較表

比較軸 革新的新製品・サービス枠 新事業進出枠
対象となる取組 自社の技術力を活かした新製品・新サービスの開発 申請者にとって新規性のある製品・市場への進出
対象経費の必須区分 機械装置・システム構築費 機械装置・システム構築費 または 建物費
新規性の判定軸 既存事業の延長で新製品・新サービスを開発しているか 新市場性または高付加価値性で新規事業として説明が立つか
補助上限 従業員規模により異なる。最大3,500万円(大幅賃上げ特例適用時) 従業員規模により異なる。最大9,000万円(大幅賃上げ特例適用時)
補助事業実施期間 交付決定日から10か月以内 交付決定日から14か月以内

まとめ

受託開発会社が自社サービス化を考えるとき、既存の技術の延長として新サービスを開発するなら革新的新製品・サービス枠、受託という業態から離れて新しい市場に進出する位置づけなら新事業進出枠が、それぞれ対象性質に近い枠です。どちらの枠で進めるかは、開発費の計上の仕方や事業実施期間にも関わるため、事業計画を固める段階で専門家に確認しておくと、枠選びの判断がしやすくなります。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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