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コラム

動物病院の内視鏡・腹腔鏡導入|補助金の見積漏れと導入後の維持費

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内視鏡・腹腔鏡を院内で回すまでに、補助金でまかなえる費用とまかなえない費用

内視鏡や腹腔鏡の見積を取り始めると、金額の大きさに対して補助金の話が先に出てきます。ただ、申請の相談で計画が止まるのは、スコープ本体が対象になるかどうかではありません。本体と同時に必要になる周術期の設備をどこに置くか、そして補助が終わったあとに毎年出ていく費用を計画のどこで受けるか、この2点です。

ここでは、開業から数年が経ち、これまで二次診療施設へ紹介していた検査や手術を院内で完結させたいと考えている一次診療の動物病院を想定して、申請前によく聞かれる質問の形で整理します。数字は2026年度の公募要領1.0版(令和8年6月・初版発行2026年6月29日)にもとづく、執筆時点の情報です。

Q1. 内視鏡・腹腔鏡の導入は、どの制度で申請することになりますか

候補になるのは、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の2つの枠です。院内の診療内容を広げる投資として、革新的新製品・サービス枠と新事業進出枠のどちらで出すかを最初に決めます。

  • 革新的新製品・サービス枠:補助下限100万円、補助上限は従業員規模別で1〜5人750万円、6〜20人1,000万円、21〜50人1,500万円、51人以上2,500万円。大幅賃上げ特例の適用時はそれぞれ850万円、1,250万円、2,500万円、3,500万円まで拡大します
  • 新事業進出枠:補助下限750万円、補助上限は1〜20人2,500万円、21〜50人4,000万円、51〜100人5,500万円、101人以上7,000万円。大幅賃上げ特例の適用時はそれぞれ3,000万円、5,000万円、7,000万円、9,000万円まで拡大します

補助率はいずれも中小企業者で2分の1です。獣医師2〜3名の体制であれば、革新的新製品・サービス枠なら上限750万円、新事業進出枠なら下限750万円が起点になります。新事業進出枠は下限が750万円ですから、スコープ1台分の投資額では枠に届かない場合があります。投資の総額が枠の下限と上限のどこに収まるかを、見積を集める前におおまかにでも置いておくと、後戻りが減ります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

審査する側にいたころから、呼び名のズレで探し方を間違える相談をよく受けました。2026年度は、ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合されて「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」になり、旧名は枠の名前に置き換わっています。2つの別制度として比べようとすると、公募要領にたどり着けません。

Q2. スコープ本体の見積だけを揃えれば足りますか

足りません。内視鏡検査も腹腔鏡手術も全身麻酔が前提になるため、症例を安定して受けるには、麻酔器・生体情報モニタ・人工呼吸器といった周術期の設備が本体と同じタイミングで必要になります。この部分が手薄なままだと、機器はあるのに受けられる症例が限られ、計画で見込んだ件数に届かないという形で後から効いてきます。

制度側の扱いを見ると、機械装置・システム構築費は単価10万円(税抜)以上が条件です。麻酔器や生体情報モニタは単価としてはこの水準を超えることが多く、経費区分そのものは同じ枠に収まります。問題は金額ではなく、事業計画の中で「この投資が何を可能にするのか」を説明するときに、本体だけを並べると説明が細くなることです。院内で完結させたい診療の流れを、麻酔の導入から覚醒までの一続きで書き、そこに必要な機器を並べる順番にすると、投資の必然性が読み手に伝わります。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

Q3. 補助が終わったあとに毎年かかる費用は、どこで見ておけばよいですか

スコープは消耗する機器です。軟性鏡の屈曲部やチャンネル、鉗子類は使用回数に応じて劣化しますし、光源やプロセッサも保守契約の対象になります。導入した年ではなく、2年目、3年目に定額で出ていく費用として計画に置く必要があります。

ここで確認しておきたいのが、対象経費として列挙されているものの範囲です。革新的新製品・サービス枠で挙がっているのは、機械装置・システム構築費を主軸として、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。導入後の保守料や修理費は、この列挙の中に単独の区分として置かれていません。つまり、毎年発生する維持費は、補助を受けたあとの自院の負担として残る前提で見ておくのが自然です。

補助事業の実施期間は、革新的新製品・サービス枠で交付決定日から10か月以内(採択発表日からは12か月以内)です。この期間が終わったところから、維持費だけが続きます。見積を依頼する段階で、本体価格と並べて年間の保守料と想定される修理費の目安を出してもらっておくと、次の質問に答えやすくなります。

Q4. 付加価値額と賃上げの要件に、この2つはどう効いてきますか

全枠共通の基本要件として、付加価値額は事業計画期間(3〜5年)で年平均成長率4.0%以上、一人当たり給与支給総額は年平均成長率3.5%以上が求められます。事業場内最低賃金についても、毎年、地域別最低賃金プラス30円以上の水準が要件です。給与と最低賃金の要件は、未達の場合に返還の対象になります。

この2つの要件は、Q2とQ3で挙げた話と直結します。周術期の設備が足りずに受けられる症例が伸びなければ、付加価値額の伸びが計画に届きません。維持費を見込まずに計画を作ると、売上が伸びても手元に残る額が想定より薄くなり、給与を計画どおり引き上げる原資が細ります。数字の要件は申請書の中だけの話ではなく、導入後3〜5年の運営の話として書き切れるかどうかが問われます。

なお、大幅賃上げ特例で上限を引き上げる場合は、給与支給総額が年平均6.0%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金プラス50円以上という、さらに高い水準になります。上限額の大きさだけを見て特例を選ぶと、達成の負担が数年にわたって残ります。

Q5. 「保険診療にかかる経費は対象外」という説明は、動物病院にも当てはまりますか

この説明は、公的医療保険(診療報酬)と国の助成が重複することを避ける趣旨のものです。経済産業省・中小企業庁系の補助金では、保険診療にかかる経費・機器は原則として補助対象外とされ、例外的に対象になり得るのは中小企業省力化投資補助金(一般型)とデジタル化・AI導入補助金の2つとされています。

獣医療は公的医療保険の給付対象ではなく、飼い主が加入するペット保険は民間の保険です。したがって、人の医療機関向けの記事に出てくる「保険診療は対象外」という説明を、そのまま自院に当てはめて申請をあきらめる必要はありません。ただし、対象になるかどうかは法人格・診療の内容・公募回によって判断が変わりますので、最新の公募要領と質疑応答集で自院の条件を確認したうえで進めてください。

まとめ

内視鏡・腹腔鏡の補助金は、本体が対象になるかどうかで結論が出るものではありません。麻酔と周術期のモニタリングまで含めて「どこまで揃えば症例が回るのか」を先に決めること、そして補助が終わったあとに残る保守料と修理費を計画に織り込むこと、この2つが揃って初めて、付加価値額4.0%と給与3.5%の要件を数年にわたって満たせる計画になります。制度の数字は改定されますので、申請の直前に公募要領で確認してください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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