
飲食店開業の資金繰り対策|創業融資を使うべき理由と申込みの流れ
飲食店の開業では、内装や厨房設備の導入といった設備投資が重く、食材や什器の仕入も開業前から先行して発生するため、まとまった資金をあらかじめ用意しておく必要があります。創業融資を使わずに自己資金だけで開業すると、開業後の資金繰りがショートしてしまう実例が他社の失敗談として数多く見られます。一方で、在職中からできる準備もあります。この記事では、飲食店特有の資金繰りの落とし穴と、創業融資を活用した準備の進め方を解説します。
飲食店開業に創業融資を借りるべき理由
飲食店の開業では、創業融資を使うことをまず検討します。理由は、飲食店という業種特有の資金の構造にあります。内装工事や厨房設備の導入といった設備投資の金額が大きくなりやすいうえ、開業前から食材や什器の仕入が先行して発生するため、自己資金だけでは開業時点で資金が不足しやすいためです。
土地や建物の取得は設備資金にあたる支出であり、創業融資の対象になります。物件を取得する前提で検討している場合は、物件を押さえる前に申込先へ相談しておくと、資金計画と物件取得のタイミングがずれずに進められます。融資限度額は制度によって定められていますが、必要な金額は店舗の規模や業態によって変わるため、まずは自分の開業計画に必要な資金を洗い出すところから始めます。
💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言
資金使途の妥当性という観点では、業種に対して過剰なスペックの設備は引っかかることがあります。飲食店の厨房機器も同じで、高級であること自体より、その店の規模や客数に見合っているかどうかが見られています。開業計画を立てる段階から、この視点を持っておくと計画の説明がしやすくなります。
飲食店が開業後に資金繰りショートしやすいタイミング
「飲食店 開業 失敗」で検索すると、資金計画や原価の見立ての甘さが原因で、開業から比較的早い時期に資金が尽きた事例が数多く見つかります。共通しているのは、開業前に立てた収支の見通しと、開店後の資金の動きにずれが生じている点です。
飲食店で資金が尽きやすいのは、大きく2つのタイミングです。1つは開業直後です。食材や什器の仕入は前払いで発生する一方、開業したばかりの店は客数や売上が安定しないため、支出が先行して資金が薄くなります。もう1つは季節や曜日による繁閑差が大きい時期です。繁忙期の売上を前提に固定費を組んでいると、閑散期に入った途端に資金繰りが厳しくなります。
資金繰りショートを防ぐための具体策
資金繰りショートを防ぐには、開業直後の仕入の前払いや季節による繁閑差を踏まえ、運転資金を厚めに見積もっておくことが基本です。何ヶ月分あれば安心という一律の基準はないため、自店の仕入サイクルと繁閑差を数字に落として見積もります。
あわせて、家賃や人件費のように売上に関係なく発生する固定費と、食材原価のように売上に連動して増減する変動費を分けて把握します。飲食店は変動費の比率が高い業種のため、原価率をどの水準で見込むかが資金繰りの見通しを左右します。資金繰り表は業種によって重視する点が異なりますが、飲食店なら仕入の支払いサイクルと売上の入金サイクルのずれを月単位で追える形にしておくと、資金が薄くなる月を事前に把握できます。
在職中にできる準備
創業融資は制度上、自己資金の額や割合について決まった要件はありません。ただし自己資金の額は審査の重要な判断材料になるため、在職中の収入から計画的に貯めておく価値があります。自己資金は面談時点で口座に確認できる形にしておきます。
飲食店の開業には食品衛生責任者や防火管理者といった資格が必要になるため、在職中から取得の準備を進めておけます。あわせて、独立後に取引する仕入先の候補や、開業後に来店してもらえそうな顧客との関係づくりも、在職中の人脈を生かして少しずつ進められます。
在職中の個人が新たに法人を設立して飲食店を始める場合、その法人にとっては創業にあたるため、創業融資の対象になります。すでに個人で営んでいる事業をそのまま法人化する法人成りとは別の話であり、両者は区別して考える必要があります。
店舗物件を探す準備も、在職中から始められます。V-Spiritsグループ代表・中野裕哲の著書『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』によると、飲食店では150件の物件を検討すべきといわれ、1社あたり5件の紹介として30社を回れば150件の情報が揃うとされています。仲介会社の見極めは最初の1週間にどれだけ情報を流してくれるかで行い、気になった物件は現地を見に行くことが勧められています。
書類の準備は、申込から融資実行までの目安であるおおむね3週間〜1か月に加え、創業計画書や見積書を整える期間を含めて、合計2か月程度を見込んでおくと、退職のタイミングと資金の準備がかみ合いやすくなります。
創業融資の申込タイミングと審査で見られるポイント
申込から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月が目安です。準備期間を合わせると合計2か月程度を見込む必要があるため、開業予定日から逆算し、在職中のうちに準備を進めて、退職の前後どちらで申込むかを検討します。
自己資金については、額や割合の決まった要件はありませんが、審査の重要な判断材料になります。面談では、飲食業での勤務経験や勤務年数、役職といった実務経験、自己資金をどのように貯めてきたかという形成過程、売上・原価・人件費の根拠や返済原資を含む事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合、信用情報などをもとに判断されます。
💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言
返済力が乏しいという理由だけで減額されるわけではありません。返済は返済期間の中で調整される話であり、まずは事業計画そのものの中身が固まっているかどうかが見られています。数字の根拠を積み上げて示すことが、審査側には伝わりやすい形になります。
よくある失敗パターンとその回避法
「飲食店 開業 失敗」で語られる事例には、飲食店特有の失敗のパターンが繰り返し現れます。ここでは3つに整理します。
①原価率の見立てが甘い
食材原価の把握が甘いまま価格設定をしてしまい、想定より利益が残らないパターンです。回避には、仕入先ごとの単価と使用量を積み上げて原価を数字で示し、事業計画の中で根拠として説明できる状態にしておくことが有効です。
②営業許可・関連届出の準備遅れ
保健所の飲食店営業許可などの手続きが後手に回り、開業予定日がずれ込んで、その間の家賃や人件費といった固定費だけが先行して発生するパターンです。回避には、開業までのスケジュールに許可・届出の手続き期間を組み込み、申込タイミングの逆算に反映させることが必要です。
③オーナー自身が現場に立たず理想の店を追求する設計
自己資金に余裕があるオーナーが、理想の店を作ろうとして料理人を雇い、自身は現場に立たない設計にした結果、人件費が重くなり収益を圧迫するパターンです。回避には、人件費の根拠を事業計画の中に具体的に落とし込み、自身の斯業経験をどう生かすのかをあわせて説明できるようにしておくことが有効です。
飲食店の開業資金で迷ったらV-Spiritsの無料相談へ
飲食店の開業資金や創業融資の進め方に迷ったときは、無料相談を利用できます。事業計画書の作り方や面談で聞かれる論点の整理、必要書類の考え方など、申込みを控えた読者自身の準備を後押しする内容です。V-Spiritsグループはこれまでに712件(2026年6月時点)の創業融資支援に携わっており、そのうち飲食は135件で全体の19.0%を占めています。
よくある質問
Q. 自己資金はいくら用意すればよいですか。
A. 制度上、自己資金の額や割合について決まった要件はありません。ただし自己資金の額は審査の重要な判断材料になるため、額や割合の決まりはなくても、多いほど有利になりやすいという前提で準備を進めます。
Q. 在職中に法人を設立して飲食店を始める場合も創業融資は使えますか。
A. はい。個人で営んでいる事業をそのまま法人化する法人成りは原則として創業融資の対象外ですが、在職中の個人が新たに法人を設立して飲食店を始める場合は、その法人にとって創業にあたるため、創業融資の対象になります。
Q. 店舗物件はどのように探せばよいですか。
A. V-Spiritsグループ代表・中野裕哲の著書によると、飲食店では150件の物件を検討すべきといわれ、1社あたり5件の紹介として30社を回れば150件の情報が揃うとされています。仲介会社の見極めは最初の1週間の連絡量で行い、気になった物件は現地を見に行くことが勧められています。
Q. 申込から融資実行まではどのくらいかかりますか。
A. 書類提出後おおむね3週間〜1か月が目安です。創業計画書や見積書などの準備期間を含めると、合計2か月程度を見込んでおくと安心です。
Q. 据置期間はどのくらい認められますか。
A. 元金返済の据置期間は5年以内の範囲で認められることがあります。適用される据置期間や利率は審査のうえ金融機関が決定するもので、申込む側が自由に設定できるものではありません。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























