
予約保証制度とは?|将来の資金需要に備える安心の仕組みを解説
目次
予約保証制度とは?
「予約保証制度」という言葉を聞いたことがある事業主の方はまだ少ないかもしれません。しかし、事業の流れが変化しつつある今、時間的な余裕を持って備えるための仕組みとしてこの制度は非常に価値があります。予約保証制度とは、将来起こり得る資金需要に備えて、あらかじめ信用保証付き融資の保証枠を確保しておく制度です。言い換えれば、“今は必要ないけれど、将来必要になりそうな資金に備えておく”という、リスク管理型の支援制度です。
たとえば、「これから新規取引が決まりそうだが設備投資が半年後になる可能性がある」「自然災害や取引先の倒産など、予測できない事態に備えておきたい」「今は売上が安定しているけれど、将来の成長のために融資枠を先取りしておきたい」といった状況に対応できます。こうした場面では、時間に追われて慌てて準備するより、余裕を持って枠を確保しておくことが大きな違いを生みます。
また、資金繰りが逼迫してからの対応では、審査も厳しく時間もかかるため、その間に取引先や仕入先、従業員への信頼が揺らぐ可能性があります。その点、予約保証制度で「備えた体制」を整えておくことで、事業継続性や取引先・従業員に対する安心感を確保できます。事前準備の「ゆとり」が、事業運営における大きな差になると言えるでしょう。
制度の概要
| 保証限度額 | 2,000万円(小口零細企業保証併用時は500万円) |
|---|---|
| 資金使途 | 事業資金全般(運転・設備・仕入れ等) |
| 保証期間 | 5年以内(事前枠確保から実行までを含む) |
この制度の最大の特徴は「枠を先に確保しておける」点です。通常の融資では、事態が発生してから申請・審査・実行という順序を踏むため、時間的なロスが出ることがあります。予約保証制度では、この審査ステップをあらかじめ済ませておくことで、いざというときの融資実行をスムーズに行いやすくなります。
また、2,000万円という限度額は中小企業規模でも十分に活用できる金額であり、小口零細企業用の併用枠(500万円)も設けられているため、より小規模事業者にも門戸があります。資金使途についても特段クローズドな用途ではなく、事業の運転、設備投資、仕入れ、あるいは事業再構築等にも対応しているため、実務的に使いやすい設計です。保証期間5年という点も、将来の変化を見据えて、一定の猶予・安心を提供しています。
利用要件
この制度を利用するためには、以下の3つの要件を**すべて満たしている**必要があります。
- 同一事業の業歴が3年以上あること → 事業開始から一定の蓄積があることが前提です。
- 申込金融機関との与信取引が1年以上あること → 銀行・信用金庫等が取引先として一定期間経過している必要です。
- 直前期決算での信用保証料率区分が2~9に該当すること → 貸倒れリスク・財務状況が所定水準を満たしている必要があります。
加えて、次に示すようなケースは制度対象外となることがありますので、あらかじめご確認ください。
- 個人事業者で貸借対照表(B/S)を作成していない場合 → 財務内容の確認が難しいため対象外となることがあります。
- 法人成り後、まだ決算期を迎えていない場合 → 業歴・財務実績が確認できないため対象外となることが多いです。
- 保証料率区分が適用できないケース → 財務データに不備がある場合などには審査対象外となることがあります。
したがって、「今すぐ必要」ではない制度ですが、「将来必要になりそうな備え」を前もって整えておくための制度として活用を検討する価値があります。事業が順調であればこそ、予約保証の枠を確保しておくことが、次のステップにつながる“余裕”を生み出します。
貸付中止となる事由
予約保証が確定していても、以下に該当する事由が発生した場合には、実際の融資が中止されたり、保証が取り消されたりするリスクがあります。事前にこの点も理解しておきましょう。
- 所在地(たとえば茨城県など、適用地域)内での事業を継続しなくなった場合 → 事業拠点が移転・廃止された場合等が該当します。
- 返済の延滞・事故報告の提出など、金融事故が発生した場合 → 過去の貸し倒れや延滞履歴があると、保証実行段階で支障をきたす可能性があります。
- 信用状況が著しく悪化し、申込金融機関が融資を行うのが適当でないと判断した場合 → 売上急落・債務超過・行政処分などが該当します。
- 信用保証協会が金融機関に対して融資の中止を申し入れた場合 → 保証機関の監督・判断により保証枠確保が取り消されることがあります。
このように、“予約”とはいえ事前に承認を受けた保証枠であっても、実際の融資実行時まで信用状況・事業継続性が保たれていることが求められます。つまり、日ごろから納税・適時決算・債務返済・事業拡大などの経営実務をきちんと行っておくことが、制度活用の鍵となります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 実際に借入しなくても問題ありませんか?
はい。予約保証制度はあくまで「万一に備えて保証枠を確保しておく」ものであり、実際に融資を借り入れずに期限が来たとしても直ちに不利益が生じるわけではありません。ただし、枠を確保したままでも定期的に更新や条件確認が必要となることがありますので、担当窓口に確認しておくと安心です。
Q2. 保証料はいつ支払いますか?
通常、保証枠予約時点では保証料が発生しないケースが多く、実際に融資を受けた際に保証料が発生する形になります。ただし制度や地域によって異なる場合がありますので、保証協会・金融機関に確認してください。
Q3. 金融機関はどこでもよいですか?
予約保証の対象となる金融機関は、申込者との与信取引が**1年以上**ある銀行・信用金庫・信用組合などです。新規に取引を開始してまもない金融機関では、対象外となることが一般的です。まずは現在取引している金融機関に問い合わせることをおすすめします。
Q4. 制度は誰でも利用できますか?
この制度を利用できるのは、上記の要件を**すべて満たす**事業者に限られます。判断に迷う場合は、取引金融機関・信用保証協会・商工会議所等の商工支援窓口に事前相談することで、自社の活用可能性を確認できます。
Q5. 予約保証を活用した後の手続きは複雑ですか?
予約保証を確保した後、実際に融資を受ける段階では、通常の信用保証付き融資と同様の審査が行われます。事業計画・資金使途・返済能力・担保・保証条件などが問われるため、予約時点から必要書類の整理・事業計画のブラッシュアップを行っておくとスムーズです。
まとめ|備えあれば憂いなし
予約保証制度は、事業が順調な今だからこそ、将来の不測の事態に備えて準備できる“先手の経営”を支える制度です。枠を確保しておくことで、資金需要が発生した際にも慌てず対応できる体制が整い、取引先・従業員・金融機関からの信頼も高まります。
「今は資金に余裕があるが、将来の設備投資や取引拡大に備えたい」「事業が安定期に入ったからこそ次のリスクに備えておきたい」とお考えの方には、まさにタイミングです。まずは現在の事業業歴・金融取引状況・直前決算の状況を確認し、担当金融機関や信用保証協会に相談してみてください。
準備を怠らなければ、次の事態が起きたときにこそ、差がつきます。枠確保を先手として、安心・余裕をもった事業運営を目指しましょう。
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この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


























