保証協会ってなに？──起業家や中小企業にとっての“見えない味方”
「保証協会って聞いたことはあるけど、よくわからない…」
「創業融資に関係あるの？」
そんなご質問をよくいただきます。結論から申し上げますと――
保証協会とは、金融機関と事業者の間に立ち、“信用を補う”公的な機関です。
つまり、銀行などが中小企業や創業者に融資をする際、「返済してもらえなかったら困るな…」というリスクを、保証協会が肩代わりすることで、金融機関が安心して貸せる仕組みを作っているのです。
今回は、創業者や中小企業経営者の方に向けて、「信用保証協会とは何者か？」「何をしてくれるのか？」をやさしく丁寧にご紹介します。
1. 保証協会とは「公的な保証人」
融資を受けるとき、個人で保証人を立てるのはハードルが高いですよね。
でも、そんなとき「あなたに代わって保証しますよ」と言ってくれるのが、信用保証協会という存在です。
正式には「各都道府県に1つずつ設置されている公的機関」で、民間金融機関と提携して中小企業の資金調達をサポートしています。
保証協会がつくことで、銀行側は「万が一返済されなくても、保証協会が立て替えてくれる」と思えるため、創業者や小規模事業者にも安心して貸せるようになるという仕組みです。
2. どんなときに使うの？
保証協会を使う代表的な融資の形が「制度融資」です。
制度融資とは、各都道府県や市区町村が支援している中小企業向け融資制度で、「金利が低い」「保証料の補助がある」「融資枠が大きい」などのメリットがあります。
制度融資では、3者が連携します：
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金融機関（実際にお金を貸す）
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保証協会（保証する）
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自治体（補助金や利子補給などの支援）
創業期の方には、特にこの制度融資が心強い味方になります。
3. 創業者でも利用できる？
はい、保証協会のサポートは、創業前・創業間もない方にも利用可能です。
「創業保証枠」という専用の制度があり、まだ実績がない事業者にも一定の条件を満たせば保証をしてくれます。
具体的には――
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自己資金の有無
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創業計画の内容（収支計画・見込み売上など）
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信用情報（過去の借入や返済状況）
などが見られます。
事業の実現可能性が高く、返済能力が見込めると判断されれば、創業時でも融資実行の道が開けます。
4. 保証協会を利用するとどうなる？
保証協会付き融資には、いくつかの特徴があります：
メリット
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金融機関の審査が通りやすくなる
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無担保・無保証で借りられることがある
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金利が比較的低い（制度融資ならさらに低金利）
デメリット
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別途「保証料」が必要（例：年0.5〜1.0％ほど）
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手続きに時間がかかる（1〜2か月かかることも）
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書類の準備が多め（事業計画書・資金繰り表など）
一見すると手間がかかるように思えますが、「安心して借りられる・長く付き合える」点で、事業の安定には欠かせない選択肢です。
5. 融資の流れと注意点
保証協会を使った融資の大まかな流れは以下の通りです：
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金融機関や専門家に相談
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融資申請書や事業計画書などを作成
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金融機関を通じて保証協会へ申し込み
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保証協会の面談・審査（必要に応じて）
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保証承諾後、金融機関から融資実行
注意点としては、「保証協会はあくまで保証する機関であり、融資そのものは銀行が行う」という点です。両者の審査があるため、二重で時間がかかるケースもあります。
6. 専門家と連携すればスムーズ！
保証協会付き融資は、書類の量も多く、審査の視点も少し特殊です。
だからこそ、創業支援に強い税理士や行政書士などの専門家に相談することで、融資通過率が大きく高まります。
専門家と一緒に作成することで、
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説得力のある事業計画書
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現実的な資金繰り計画
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自己資金の額・管理の工夫
など、プロならではの視点でサポートが受けられます。
7. 保証協会付き融資は“育てる資金調達”にもなる
保証協会付き融資の魅力は、単に「借りられる」ことだけではありません。
「創業期から信用を積み上げていける“育成型の資金調達”」でもあるのです。
たとえば、最初は少額の融資でも、返済をきちんと続けていくことで、「この人はきちんと返済できる人だ」と評価され、次回の融資額や条件が有利になることがあります。つまり、「信用の“実績づくり」になるわけですね。
また、保証協会は「経営支援」の観点からも中小企業をサポートしています。必要に応じて、経営相談や改善提案をしてくれることもあり、資金面だけでなく、成長支援のパートナーにもなり得る存在です。
おわりに──保証協会は「信頼」を形にする存在
「信用がないとお金は借りられない」
これは事実ですが、信用を補ってくれる制度があることもまた、事実です。
保証協会は、あなたの誠実な計画と情熱に「公的なお墨付き」を与えてくれる存在です。
だからこそ、「保証協会付き融資＝安心して借りられる、長く付き合える融資」として、創業期・成長期ともに心強い味方になります。
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この記事を書いた人
中野裕哲／Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授（起業論、ゼミ等）
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援！「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル（事業計画＋融資＋補助金＋会社設立支援）＋起業後の総合サポート（経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関）など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫／Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫（旧国民金融公庫）に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。
