
工場のCO2削減に使える補助金は?「省力化投資補助金(一般型)」でできること・対象・申請の要点
工場のCO2削減というと、省エネ設備の更新や再エネ導入を思い浮かべがちです。一方で、自動化・最適化(省力化)によって「ムダな稼働」「不良・手戻り」「停止ロス」を減らし、結果としてエネルギー使用量=CO2排出量を下げるアプローチもあります。
ここで紹介する「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」は、脱炭素専用の補助金ではありません。しかし、工場の工程を省力化して生産性を上げる投資は、エネルギー原単位の改善につながりやすく、CO2削減の実務と相性が良いケースがあります。本記事では、公募要領に基づき「自社が使える補助金かどうか」を役員視点で判断できるよう、要点を整理します。
省力化投資補助金(一般型)とは?目的と“支援の中心”
本事業の目的は、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等が、IoT・ロボット等のデジタル技術を活用した「専用設備」を導入する際の経費の一部を補助し、省力化投資を促進して付加価値額・生産性向上を図り、賃上げにつなげることです。
ポイントは「汎用品をそのまま導入」よりも、現場に合わせた専用設計=オーダーメイド性が重視される点です。公募要領では、オーダーメイド設備を「ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一または複数の生産工程を自動化するために、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム」と定義しています。
自社は対象?最初に確認すべき「対象事業者」と「対象外」
対象になりうる事業者(ざっくり結論)
補助対象事業の基本概要として、対象事業者は「生産・業務プロセス、サービス提供方法の省力化を行う者」とされています。
工場で言い換えると、例えば次のような投資が検討対象になりやすいです。
・検査工程の自動化(画像検査など)
・搬送・仕分けの省人化(ロボット・自動搬送等)
・稼働データ収集・分析による工程最適化(停止ロス削減、段取り短縮)
対象外でつまずきやすい:みなし大企業
中小企業に見えても、一定の条件に当てはまると「みなし大企業」とされ補助対象外になります。代表例として、同一の大企業が発行済株式等の1/2以上を所有、または大企業が2/3以上を所有、あるいは大企業の役員・職員を兼ねる者が役員総数の1/2以上を占める場合などが示されています。
また、親会社が議決権の50%超を有する子会社がある場合、親会社と子会社を「同一法人」とみなし、原則いずれか1社しか申請できないなど、グループ関係の制限もあるため注意が必要です。
いくら出る?補助上限額・補助率・事業実施期間
役員が投資判断をするうえで重要な数字は、まずここです。
補助上限額(従業員数別)
・5人以下:750万円(特例適用時 1,000万円)
・6~20人:1,500万円(同 2,000万円)
・21~50人:3,000万円(同 4,000万円)
・51~100人:5,000万円(同 6,500万円)
・101人以上:8,000万円(同 1億円)
補助率
・中小企業:1/2(特例適用時 2/3)
・小規模企業者・小規模事業者、再生事業者:2/3
事業実施期間
交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)です。
何に使える?対象経費と「必須条件」(誤解が多いポイント)
対象経費の全体像
対象経費は、機械装置・システム構築費(必須)に加え、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費などが挙げられています。
必須条件:機械装置・システム構築費が“必須”
この補助金は「機械装置・システム構築費」が必須枠に位置づけられています。
工場の現場目線では、装置単体ではなく、制御・検査・搬送・管理システムを含めた“工程の自動化・最適化”の設計がカギになります。
最大の注意点:交付決定前の経費は対象外(事前着手不可)
補助対象経費は「交付決定を受けた日付以降に契約(発注)等を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限る」と明記されています。
さらに、補助対象外経費として「交付決定前に発生した経費(いかなる理由であっても事前着手は認められません)」とされています。
つまり、検討段階で「先に発注して、あとから補助金申請」は基本的にできません。設備投資のスケジュールは、交付決定前提で組み直す必要があります。
申請の流れ:役員が押さえるべき準備と落とし穴
電子申請が前提:GビズIDプライムが必要
本事業の申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要で、ID取得に一定期間を要するため早めの取得が推奨されています。
また、申請はGビズIDプライム取得のうえ、電子申請システムで行う旨が記載されています。
不備で落ちるのが一番もったいない
応募時に提出する事業計画書は審査委員会が評価し、優れた計画が採択されます。
一方で、書類不備があると差し戻しとなり、指定された訂正期限までに不備解消できない場合は不採択になると明記されています。
外部支援を受ける場合の記載義務
認定経営革新等支援機関や専門家等の外部支援を受ける場合、支援者の名称・報酬・契約期間を事業計画書に必ず記載する必要があり、未記載が判明した場合は虚偽として不採択や採択取消、返還等の対象になり得るとされています。
工場のCO2削減にどう効く?「省力化×脱炭素」の実務的な考え方
この補助金はCO2削減を直接の目的とした制度ではありませんが、工場の省力化投資は、結果としてCO2削減に寄与しやすいケースがあります。
・不良・手戻り削減:作り直しが減り、電力・燃料・材料のムダが減る
・停止ロス削減:立上げや空運転が減り、稼働エネルギーが下がる
・最適運転:稼働データを基に工程の平準化が進み、ピーク電力や間接負荷(空調等)も下がりやすい
・稼働時間見直し:省人化で「必要時間だけ稼働」に寄せる判断がしやすい
役員目線では、「人件費」だけでなく「エネルギーコストの削減(=CO2削減)」まで含めて投資回収を組むと、意思決定がスムーズになります。
採択後に困らないための注意点(資産の扱い・現地調査)
補助事業で取得する資産は、補助金適正化法に基づき売却・転用・破棄等の財産処分に制限があり、転売や目的外使用等がある場合は国庫返納が必要になると注意喚起されています。
また、補助金交付額確定にあたり現地調査が行われ、補助対象設備や証憑類の確認ができない場合は当該設備等が補助対象にならない旨も記載されています。
採択後は「書類と現物が一致している状態」を維持できるよう、社内の管理体制を作っておくのが安全です。
3分でできる「自社が使えるか」チェックリスト
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対象事業者に当てはまる(生産・業務プロセス等の省力化を行う)
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みなし大企業に該当しない/グループ制限に抵触しない
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機械装置・システム構築費を含む省力化投資を計画している(必須枠)
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発注・契約は交付決定後にできる(事前着手しない)
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GビズIDプライムを取得し、電子申請の準備ができる
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外部支援がある場合、支援情報を事業計画書に正しく記載できる
まとめ:工場のCO2削減は「省力化補助金」も候補に入れると選択肢が広がる
工場のCO2削減は、省エネ設備更新だけが手段ではありません。工程の自動化・最適化による省力化投資は、生産性向上と同時にエネルギー使用量を下げやすく、CO2削減にもつながりやすい領域です。
「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」は、IoT・ロボット等を活用した専用設備導入を支援する制度であり、補助上限額・補助率・事前着手不可などのルールを押さえたうえで、投資計画と申請準備を進めることが重要です。
【無料相談のご案内】
弊社では、元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが補助金支援を行っております。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。


























