
「人手不足を解消するためにAIを導入したい」「業務をDX化して生産性を上げたい」「データを活用した新事業を立ち上げたい」――中小企業や個人事業主が、AI・DX投資への期待を高めています。一方で、AIツールやデータ基盤の導入には数十万円〜数百万円の投資が必要なケースが多く、補助金を上手く使いたいという相談が増えています。
本記事では、起業直後の個人事業主や中小企業が、AI・DX投資で活用できる主な補助金と、投資内容に応じた制度選びの考え方を整理します。
AI・DX投資に補助金活用が広がる背景
- 人手不足の構造化:採用が難しい時代に、AI・ロボット・自動化システムで「人がやらなくていい仕事」を減らすニーズが高まっている
- 業務プロセスの再設計:紙・Excel・電話中心の業務をデータ駆動に置き換える「DX化」が中小企業でも本格化している
- AIの実用化:生成AI・画像認識AI・需要予測AIなど、中小企業でも導入できる価格帯のサービスが増えている
- 投資負担の重さ:AI・DX投資は「導入したら終わり」ではなく運用コストも継続的に発生するため、初期投資の一部を補助金で軽減したいニーズが強い
こうした背景から、AI・DX投資を支援する補助金は近年、中小企業の関心が最も集まる領域の一つになっています。
AI・DX投資に使える主な補助金
2. デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
中小企業・小規模事業者が、業務効率化やDX、AI活用に向けたITツールを導入するための補助金です。ソフトウェア、クラウドサービス、業務システム、セキュリティ対策などの導入と相性が良く、AI・DX投資を進める際に検討しやすい代表的な制度です。既製品のツールを導入するのにはうってつけの補助金です。
- 通常枠:事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援する類型。業務効率化、顧客管理、在庫管理、予約管理、受発注管理、データ分析などのITツール導入に活用しやすい
- インボイス枠:インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェア等の導入を支援する類型。経理・請求・決済まわりのデジタル化を進めたい事業者に向いている
- セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃や情報漏えいリスクへの対策を目的としたITツール導入を支援する類型。ネットワーク監視、セキュリティサービス、インシデント対策などに活用できる
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠:複数の中小企業・小規模事業者等が連携して、地域DXや生産性向上に取り組む場合に利用できる類型。商店街、地域団体、業界団体などでの共同導入と相性が良い
- 活用例:AIチャットボット、顧客管理システム、予約管理システム、在庫管理システム、受発注システム、会計ソフト、決済システム、データ分析ツール、需要予測ツール、セキュリティ対策ツールなど
- ポイント:対象となるITツールは原則として事務局に登録されたものを利用し、登録済みのIT導入支援事業者と連携して申請を行う必要がある。導入後にどの業務がどれだけ効率化され、生産性向上につながるかを具体的に示すことが重要
1. 中小企業省力化投資補助金
人手不足に悩む中小企業がIoT・ロボット・AI連携設備などを導入するための制度で、AI・DX投資との相性が良い代表的な補助金です。
- 一般型:カタログにないオリジナルの機械・システム・AI導入を行う場合に利用できる類型。複数機器・システムを統合した包括的な省力化プロジェクトも対象
- 活用例:AI連携の制御システム、画像認識による検品自動化、需要予測AIによる発注最適化、AIチャットボットによる顧客対応自動化、配送ルート最適化AI、複数機器を統合した省力化ラインなど
- ポイント:「何人分の作業を、どれだけ削減できるか」を具体的な数字で示すことが採択のカギ
2. ものづくり補助金
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」。生産性向上に資す る革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業 を支援する制度で、独自AI開発・データ基盤構築で活用例があります。
- 対象になりやすい使い道:新サービスの業務に生かすAIシステム・独自データ基盤の構築、AIを組み込んだ新製品・新サービスの開発、
- ポイント:単なる既製品AI導入ではなく、自社業務との連携や革新性を事業計画書で論理的に示す必要がある
3. 新事業進出補助金
既存事業の強みを活かして新市場・新分野に進出する事業計画を支援する制度です。AI・DXを軸にした新事業立ち上げに向きます。
- 向いているケース:AIを使った新サービス立ち上げ、データ活用型ビジネスモデルへの転換、デジタル新事業の立ち上げに伴う大型投資
- 対象経費:システム構築費、外注費、機械装置費、広告費など幅広く対象になり得る
4. 業務改善助成金(厚生労働省)
事業場内最低賃金を引き上げる中小企業・小規模事業者向けの助成金です。賃上げと生産性向上投資をセットで考えるときに使えます。
- 対象:賃金引上げを実施し、生産性向上のための設備投資(AI連携の業務システム、自動化ツール、データ分析ツールなど)を行う事業者
- ポイント:補助金ではなく「助成金」のため、要件を満たせば原則受給可能。賃上げ実施が前提条件
5. 自治体独自のDX補助金
都道府県・市区町村が独自に運営しているDX・デジタル化補助金もあります。地域内事業者のDX促進、中小企業のAI導入支援、デジタル人材育成支援など、テーマは多岐にわたります。本社所在地の自治体ホームページで最新の公募情報を必ず確認してください。
【無料相談のご案内】
弊社では、元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが補助金支援を行っております。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
投資内容別の補助金の選び方
パターン1:既製AIツールの導入
市場に出回っているAIツール・SaaSをそのまま導入する場合は、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金) が候補になります。手続きが比較的シンプルで、小規模な投資から始めやすいのが特徴です。「人手不足の解消」「定型業務の自動化」を目的にした投資と相性が良いです。
パターン2:自社業務に合わせたカスタムAI開発
既製品では対応できない自社業務に合わせたAIシステム・データ基盤を開発する場合は、ものづくり補助金や省力化投資補助金の一般型が向きます。「自社の業務独自性」「革新性」「生産性向上の数字」を事業計画書で示すことが採択のポイントです。
パターン3:AI・DXを軸にした新事業立ち上げ
既存事業の枠を超えて、AI・データ活用型の新事業を立ち上げる場合は、新事業進出補助金の検討余地があります。「既存事業の何が活きるか」「新事業の市場性」「投資後の事業見通し」を論理的に示す必要があります。
パターン4:賃上げと一体でのDX投資
賃上げを実施した上でDX設備投資を行う場合は、業務改善助成金も併用候補になります。中小企業全体の人件費負担と設備投資を、両方の制度でカバーする組み立てが可能です。
申請前に必ず確認すべきポイント
- 公募要領を最新版で確認する:AI・DX関連の制度は、毎年のように対象範囲・補助率・要件が見直される。必ず最新版を確認
- 事業計画書で「経営課題→解決策→効果」を示す:AIやDXの説明ではなく、「何の経営課題を、どう解決し、どれだけ効果が出るか」を数字で示すことが採択につながる
- 交付決定前の発注は対象外:交付決定前の契約・支払いは原則として補助対象外。スケジュール管理が甘いと採択後に経費認定されない
- 運用コストも含めて投資判断する:AI・DXは導入後の運用・保守・改善が継続的に必要。月額利用料・運用人件費まで含めた投資判断が必要
- 後払いの仕組みを理解する:補助金は事業完了・支払い後に交付。AI・DX投資費を一旦立て替える必要がある
AI・DX投資の補助金活用でよくある失敗
- 「AI導入そのもの」を目的にしている:手段が目的化すると採択されにくい。「何の業務を、どう変えるか」を最初に決めるのが採択の起点
- 事業計画書がツールのスペック説明になっている:機能や性能の羅列ではなく、「導入後の業務・売上・人員配置がどう変わるか」を経営の言葉で書く必要がある
- 運用設計が抜けている:AI・DXツールを入れても、運用ルールや教育体制がなければ効果は出ない。研修・運用設計までセットで計画する
- 補助金の趣旨と投資内容がずれている:省力化投資補助金で「販促目的のシステム」を申請しても採択されにくい。制度の趣旨と投資の方向性を合わせる
よくある質問
Q. 個人事業主でもAI・DXの補助金は使えますか?
はい、多くの補助金は中小企業・小規模事業者であれば個人事業主でも対象になります。特に省力化投資補助金(カタログ注文型)は、個人事業主が比較的取り組みやすい制度です。
Q. 生成AI(ChatGPTなど)の利用料は補助金で賄えますか?
制度や公募回により対象範囲が異なります。単体のサービス利用料の継続的な支払いは対象外になることが多い一方で、業務システムに組み込んでカスタマイズした生成AI機能の構築費は、ものづくり補助金などで対象になる場合があります。最新の公募要領で要確認です。
Q. クラウドサービスの利用料はどこまで対象になりますか?
制度によって対象範囲・対象期間が違います。事業実施期間内の一定期間分のクラウド利用料が対象になるケースが多く、長期間の継続利用料は対象外です。詳細は制度ごとの公募要領で確認してください。
Q. 補助金が入金されるまでの資金はどう準備すればいいですか?
自己資金で立て替えるか、日本政策金融公庫や民間金融機関の融資、自治体の補助金つなぎ融資制度などを活用するのが一般的です。AI・DX投資は数百万円規模になることもあるため、資金繰り計画を最初に組んでおくことが重要です。
まとめ
AI・DX投資に使える補助金は、省力化投資補助金・ものづくり補助金・新事業進出補助金・業務改善助成金・自治体DX補助金など、選択肢が複数あります。重要なのは「自社の経営課題を起点にして」「投資の趣旨に合った制度を選ぶ」ことです。AIやDXは手段であって目的ではないため、事業計画書では「何の業務を、どう変え、どれだけ効果が出るか」を経営の言葉で書くことが採択のポイントになります。
「自社のAI・DX投資はどの補助金が向いているのか」「事業計画書をどう書けば採択されやすいか」と迷う場合は、一度専門家に相談すると、申請の方向性と投資計画の組み立て方を整理しやすくなります。
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弊社では、元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが補助金支援を行っております。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























