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コラム

入社後すぐ辞める社員を出さないための対策:オンボーディング設計の基本

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入社して数か月で辞める社員を減らす。鍵はオンボーディングの設計

採用にコストと時間をかけて確保した人材が、入社後数か月で離職してしまう——中小企業の経営者・人事担当にとって、この痛手は決して珍しい話ではありません。大卒新入社員の3年以内離職率は近年32%前後で推移し、中途入社者を対象とした調査でも、中小企業の3年以内離職率は30.6%という数字が出ています。約3人に1人が3年以内に辞めていく前提で、採用と定着を設計する必要があるのが現実です。

早期離職を防ぐ最大の打ち手は、入社前から入社後90日までを意識的に設計したオンボーディングです。この記事では、中小企業でも無理なく回せるオンボーディング設計の基本と、入社後すぐ辞める社員を減らすための具体的な対策を整理します。本記事は2026年5月時点の情報をもとに執筆しています。労務関連制度は変更されるため、最新の制度内容は厚生労働省や各専門機関の公式情報をご確認ください。

なぜ新入社員はすぐ辞めるのか——5つの主要原因

1. 求人票と実態のギャップ

求人票に書かれた業務内容と、実際に任される仕事に乖離があると、入社直後から信頼が損なわれます。「未経験者歓迎」と書きながら、入社初日から即戦力扱いされる、給与・残業・休日の条件が説明と違う、配属先や役割が事前に聞いていた話と異なる、といったケースが代表的です。

2. カルチャーフィットの不一致

スキル面でのミスマッチよりも、「会社の雰囲気」「社風」「コミュニケーションのスタイル」に馴染めなかったケースが、早期離職の隠れた主要因です。求人段階で見えなかった人間関係や暗黙のルールが、入社後に直面する形になります。

3. 研修・OJT体制の不足

研修制度が未整備、OJT担当が明確でない、質問できる相手がいない、といった環境では、新入社員は業務に適応する前に心理的に疲弊します。「自分は歓迎されていない」「ここでは育ててもらえない」という感覚は、早期離職に直結します。

4. 期待値の不一致

「3か月で一人前」と言われたのに、初日から成果を求められる。あるいは逆に「最初は見学から」と聞いていたのに、いきなり責任ある業務を任される。期待値が事前に共有されていないと、新入社員は自分の進捗を評価する基準を持てません。

5. 入社後の心理的安全性の欠如

分からないことを質問しづらい、ミスを指摘されるのが怖い、雑談する相手がいない——こうした心理的安全性の欠如は、3か月以内の離職決断につながりやすい要因です。中小企業は人数が少ないぶん、雰囲気の作り方次第で大きく改善できる領域でもあります。

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早期離職の根本原因は、採用段階のミスマッチと、入社後の受け入れ体制の弱さに分かれます。求人原稿・候補者対応・オンボーディングを一気通貫で見直したい場合は、全体設計を持つ専門家と一緒に進めると着手の優先順位がつけやすくなります。

オンボーディング設計の基本:入社前〜90日の4フェーズ

オンボーディングは、入社初日に研修資料を渡すことではありません。内定通知の瞬間から、入社後90日までを4つのフェーズに分けて設計します。

フェーズ1:内定〜入社前(期待値調整と不安解消)

内定が出てから入社までの期間が長いと、候補者は不安に包まれます。月1回のフォローメール、入社前面談、現場メンバーとの顔合わせなどを通じて、「歓迎されている」「自分の役割が明確になっている」という感覚を作ります。期待値(最初の3か月で何を求められるか・何が求められないか)をこの段階で共有しておくと、入社後のギャップが小さくなります。

フェーズ2:入社1〜7日(受け入れ準備とウェルカム設計)

初日のデスク・パソコン・名刺・アカウントは前日までに用意します。初日の半日は経営者・配属先メンバーとの顔合わせ、業務の全体像の説明、社内ルールのオリエンに使い、業務には2〜3日目から段階的に入っていきます。初週の終わりに、上司との15分1on1で「困っていること」を引き出す場を設けると、初動の問題を早期発見できます。

フェーズ3:入社8〜30日(業務オリエンと小さな成功体験)

業務を細かく分解し、「最初の1か月で確実にできるようになる範囲」を明示します。難易度の低いタスクから順に渡し、完了したらフィードバックする。1か月以内に「自分はこの会社で役に立てている」という小さな成功体験を積めると、定着率が大きく変わります。OJT担当を1名明確に決め、質問できる相手が固定されている状態を作ります。

フェーズ4:入社31〜90日(自走化とフィードバック)

30日時点で1回、60日時点で1回、90日時点で1回、上司との面談を設定します。期待値と実態のズレ、業務への不満、キャリア観の変化を構造的に拾います。3か月かけて自走できる業務範囲を広げ、90日終了時に「次の3か月で目指す姿」を一緒に決めると、入社4か月目以降のモチベーションが続きやすくなります。

中小企業でも回せるオンボーディング・チェックリスト

大企業のように大規模な研修プログラムを組まなくても、最低限以下が揃っていれば早期離職の主要因はカバーできます。

  • 入社前:フォロー連絡(月1回)、入社前面談、配属先メンバーとの顔合わせ、入社初日のスケジュール共有
  • 初日:デスク・PC・名刺・アカウントの事前準備、ウェルカムランチ/ミーティング、業務の全体像説明、社内ルール説明
  • 初週:OJT担当の明示、初週末の1on1、社内チャットへの招待、必要書類の提出フォロー
  • 30日:簡易振り返り面談、小さな成功体験の蓄積、業務範囲の明示
  • 60日:中間面談、フィードバックの相互確認、必要なら配属・業務の微調整
  • 90日:本人と上司の振り返り、次の3か月の目標設定、評価・処遇についての共通認識

💬 無料相談のご案内

V-Spiritsでは、大企業人事・採用エージェント・中小企業支援の三つの現場を経験した特定社会保険労務士中野裕哲を中心とした採用定着士チームが、採用・定着に悩む中小企業・個人事業主の方を無料でサポートしています。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、再現性のある仕組みづくりをご支援します。まずはお気軽にご連絡ください。

オンボーディングで失敗する3つの落とし穴

1. 「初日にすべて説明」しようとする

初日に会社の歴史・制度・業務の全てを詰め込むと、新入社員は処理しきれず、結果として何も覚えていない状態になります。情報は「必要なときに必要な分だけ」渡すように、4フェーズに分けて段階的に伝える設計が大事です。

2. OJT担当を「全員でみんなで」状態にする

「みんなで面倒を見よう」と言うと、結果として誰も見ない状態が生まれます。OJT担当を1名明示し、その人が日々の相談窓口になる構造を作ります。担当者の負荷が大きすぎる場合は、業務時間の一部をOJTに公式に割り当てる運用が必要です。

3. 入社後3か月を「お試し期間」扱いにする

「とりあえず3か月見てから判断する」というスタンスは、新入社員にも伝わります。会社が腹を決めて受け入れていない雰囲気を感じ取った人材は、こちらが判断する前に辞めていきます。採用した時点で「定着させる責任」を会社が負うという姿勢を持つことが、結果的に早期離職の最大の予防策です。

まとめ

入社後すぐ辞める社員を出さないためには、採用段階のミスマッチ低減と、入社前〜90日のオンボーディング設計の両輪が必要です。求人票と実態の一致、カルチャーフィットの可視化、研修・OJT体制の整備、期待値の事前共有、心理的安全性の確保——これらを4フェーズに分けて意識的に設計するだけで、早期離職率は大きく下げられます。

労務制度・雇用契約周りの設計、求人原稿の見直し、評価制度との整合などは、専門家と一緒に進めると着手のスピードが上がります。自社の早期離職パターンを診断したい場合は、採用定着支援の専門家への相談を検討してみてください。

中野裕哲 採用定着関係紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など

【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。

同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。

大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。

ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

  • 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
  • 補助金・助成金支援実績600件超
  • ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
  • 無料相談件数は全国から累計3,000件超

この記事を書いた人

坂井 優介(Yusuke Sakai)

起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者

1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。

大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。

現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。

役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援

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