
離職率が高い会社の特徴と数値の見方:業界平均との比較
「またひとり辞めてしまった」「採用してもすぐにいなくなる」——こうした悩みを抱える中小企業は少なくありません。離職率は、会社の状態を映す重要なバロメーターです。ただし、数字を単独で見ても判断を誤りやすく、業界平均と比べて初めて「自社が本当に高いのか」が見えてきます。この記事では、離職率の計算式と見方、離職率が高い会社に共通する特徴、そして改善の第一歩を、中小企業・個人事業主の現場感に合わせて解説します。なお、雇用関連の制度や統計は変わりやすいため、本記事は執筆時点の一般的な考え方として参考にしてください。
離職率とは?まず計算式と見方を押さえる
離職率とは、一定期間にどれだけの従業員が退職したかを示す割合です。一般的には「ある期間の離職者数 ÷ 起算日の在籍者数 × 100」で計算します。たとえば期初に20人いて、1年間で3人辞めれば離職率は15%です。
注意したいのは、計算の「期間」や「対象者」の取り方で数字が変わる点です。新卒だけ、中途だけ、正社員だけといった切り口で見ると、全体平均では見えなかった問題が浮かび上がることがあります。まずは自社の離職率を、入社年次・雇用形態・部署別に分解して把握することが出発点です。
離職率が高い会社に共通する特徴
離職が続く会社には、いくつかの共通点があります。自社に当てはまるものがないか確認してみてください。
入社後の受け入れ・教育が整っていない
採用には力を入れても、入社後の受け入れ(オンボーディング)が場当たり的だと、早期離職が増えます。最初の数週間で「放置された」「聞ける人がいない」と感じた新人は、定着前に離れていきます。試用期間中の離職が多い会社は、ここに原因があるケースが目立ちます。
評価・賃金への納得感が低い
頑張っても評価されない、何を基準に給与が決まるのか分からない——こうした不透明さは、静かに不満を蓄積させます。近隣の同業他社と比べて条件が見劣りする場合は、より転職を後押ししやすくなります。
人間関係・マネジメントに問題がある
退職理由の本音として最も多いものの一つが、上司や職場の人間関係です。特定の管理職の下でだけ離職が集中している場合は、個人の問題ではなくマネジメントの仕組みを見直すサインです。
業務量と人員がミスマッチしている
慢性的な人手不足で一人ひとりの負担が重い職場は、疲弊から離職が起き、その穴埋めでさらに負担が増える悪循環に陥りがちです。忙しさが定着を阻害し、定着しないからまた忙しくなる構図です。
業界平均との比較で「自社の高さ」を正しく見る
離職率は業界によって水準が大きく異なります。宿泊・飲食サービス業や小売業は構造的に高めで、製造業やインフラ系は低めになる傾向があります。つまり同じ15%でも、平均が低い業界では「高い」、平均が高い業界では「標準的」と評価が変わります。
自社の数字を評価するときは、厚生労働省の「雇用動向調査」などで公表される産業別の離職率を参照し、同じ業界・近い規模の水準と比べてください。全体平均ではなく、新卒3年以内の離職率など、自社が課題と感じる層に絞って比較すると、打ち手が見えやすくなります。数字が平均より明確に高い場合は、前章の「特徴」に照らして原因を切り分けていきます。
離職率を下げるために最初に手をつけること
離職率の改善は、思いつきの施策を並べるよりも、原因の特定と優先順位づけから始めるのが近道です。まずは退職者へのヒアリングや在籍社員へのアンケートで「なぜ辞めるのか」を可視化し、入社後の受け入れ、評価の納得感、マネジメントのうち、どこがボトルネックかを見極めます。そのうえで、効果が出やすく着手しやすい施策から順に手をつけます。
とはいえ、自社だけで原因を客観的に切り分け、仕組みとして定着させるのは簡単ではありません。採用と定着の両面を、実績のある型に沿って整理したい場合は、専門家の伴走支援を活用するのも有効です。
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V-Spiritsの採用定着支援サービスでは、給与・条件の競合リサーチ、求人原稿の改善、応募後24時間以内の初動対応など、採用がうまくいく会社が実践している型を全国2,000社超の支援実績をもとに採用定着士が伴走で組み立てます。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、5ステップで仕組み化します。
よくある質問(FAQ)
Q. 離職率は何%を超えたら危険ですか?
A. 一律の危険ラインはありません。業界平均や自社の過去推移と比べて明確に高い、または特定の層・部署に偏っている場合は注意が必要です。
Q. 小さな会社で母数が少ないと、離職率はどう見ればいいですか?
A. 数人の出入りで率が大きく動くため、率だけでなく人数や理由そのものを丁寧に見ます。一人ひとりの退職理由を記録し、傾向を追うことが重要です。
Q. 採用と定着、どちらを先に手当てすべきですか?
A. 入れても辞める状態では採用コストが流出し続けます。多くの場合、まず離職を止める定着策と並行して採用を見直すのが現実的です。
まとめ
離職率は、計算式だけでなく業界平均や自社内の層別比較とあわせて見ることで、初めて意味のある指標になります。離職が続く会社には、受け入れ体制・評価の納得感・人間関係・業務量といった共通の特徴があり、まずは原因を可視化して優先順位をつけることが改善の第一歩です。自社だけで切り分けが難しいと感じたら、採用と定着の両面に詳しい専門家に早めに相談し、再現性のある仕組みづくりに取り組むことをおすすめします。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。
同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。
大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。
ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。
- 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
- 補助金・助成金支援実績600件超
- ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
- 無料相談件数は全国から累計3,000件超
この記事を書いた人
坂井 優介(Yusuke Sakai)
起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者
1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。
大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。
現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。
役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援




























