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コラム

借金があっても創業融資は通るか【専門家が解説】

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借金があっても創業融資は通るか【専門家が解説】

「住宅ローンや車のローン、奨学金が残っている」「クレジットカードのリボ残高がある」――こうした借金を抱えたまま、これから事業を始めようとする方は少なくありません。借金があるだけで日本政策金融公庫の創業融資は通らないのでは、と不安に感じる方も多いはずです。

結論からお伝えすると、借金があっても創業融資が通る可能性は十分にあります。ただし、何の借金がいくらあるか、返済の状況はどうか、その借金を抱えた状態で創業後にきちんと返済を続けられる事業計画になっているか――この点が審査でしっかりと見られます。本記事では、起業直後の個人事業主・経営者の方向けに、借金がある状態で創業融資を通すための考え方と準備のポイントを整理します。

※本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。金利・限度額・対象条件などは日本政策金融公庫等の公式情報を必ずご確認ください。

結論:借金があっても創業融資は通る可能性は十分にある

日本政策金融公庫の創業融資制度は、これから事業を始める方・始めて間もない方を対象とした制度であり、「借金がある人は申し込めない」という入り口の制限はありません。実際に、住宅ローンや奨学金を抱えながら創業融資を受けて事業を始めている経営者は珍しくありません。

ただし、すべての借金が同じように扱われるわけではない点には注意が必要です。借入の種類・残高・返済の状況・過去の延滞履歴によって、審査での見方は大きく変わります。

金融機関は「借金」をどう見ているのか

審査で参照される信用情報

日本政策金融公庫や信用保証協会・銀行は、申込者の信用情報を信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターなど)を通じて確認します。ここには、クレジットカード・カードローン・住宅ローン・自動車ローン・奨学金など、ほとんどの借入情報と返済履歴が記録されています。

審査担当者は、現在の借入残高や毎月の返済額だけでなく、過去5年〜10年程度の返済履歴・延滞の有無まで含めてチェックする傾向にあります。

借入の種類による見方の違い

  • 住宅ローン・自動車ローン・奨学金:用途が明確で計画的な借入と見られやすく、延滞がなければ大きなマイナス材料にはなりにくい
  • クレジットカードのリボ・キャッシング・カードローン:使途が見えにくく、件数や残高が増えると家計に余裕がない印象を与えやすい
  • 消費者金融からの借入:件数が多い、または直近に新規借入がある場合、生活が苦しい状態が続いているのではと見られることがある

審査で重視されるポイント

毎月の返済額と家計負担

借入残高そのものよりも、毎月の返済額が家計にどれくらい負担をかけているかが重要視されます。家計収支表をもとに、毎月の収入に対する返済負担が大きすぎないかを確認されることが一般的です。

過去の延滞・債務整理の履歴

過去に長期延滞・債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)の履歴がある場合、信用情報に記録されている期間中は審査が厳しくなる傾向にあります。一般的に、延滞情報は完済から5年程度、債務整理情報は5〜10年程度残るとされており、この期間が過ぎているかどうかが一つの目安になります。

借入の使途と現在の管理状況

借入の使途が明確で、毎月の返済が遅延なく続けられているかが見られます。直近にカードローンの新規借入や限度額の引き上げが行われている場合は、家計が苦しくなっている兆候として確認されることがあります。

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借金がある人が創業融資を通すために準備すべきこと

1. 自分の信用情報を取り寄せて事前に確認する

CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターは、本人開示請求でいつでも自分の信用情報を取り寄せることができます。費用は1機関あたり1,000円程度が目安です。申込前に自分の情報を確認しておくことで、「身に覚えのない延滞情報が残っていた」「完済済みのはずの借入が残債として記録されている」といったズレを事前に把握できます。

2. 整理できる借入は事前に整理する

カードローンやリボ残高など、整理しやすい借入は申込前に繰り上げ返済・完済しておくと、家計の負担と件数を減らすことができます。「すでに完済し、残債ゼロ」の状態にしてから申し込むほうが、毎月の返済負担を抑えた事業計画を示しやすくなります。

3. 自己資金と事業計画書で返済能力を示す

借金があるかどうか以上に重視されるのは、創業後にしっかり返済できる事業計画になっているかという点です。自己資金(コツコツ貯めた預金)の積み立て履歴、創業計画書(売上計画・経費計画・資金繰り表)、現職での実績や取引先見込みなどを通じて、毎月の返済原資を確保できる見通しを示すことが大切です。

審査で不利になりやすいケースと対処法

過去5年以内に長期延滞・債務整理の履歴がある

信用情報に事故情報が残っている期間中は、創業融資の審査は厳しくなりやすいのが実情です。この場合は、事故情報が消えるタイミングまで自己資金を増やしながら準備期間にあてる、もしくは家族からの借入・出資など他の資金調達手段を組み合わせるといった選択肢を検討するのが現実的です。

カードローン・リボの残高が大きい

毎月の返済額が大きい状態のまま申し込むと、創業融資の返済原資が確保できないと判断されることがあります。可能な範囲で残高を圧縮してから申し込むことが望ましいでしょう。

申込直前にカードローンを新規借入している

申込直前の新規借入は、家計が苦しいサインとして見られやすい傾向にあります。創業準備期は新規借入を控え、生活費の見直しと自己資金の積み増しに切り替えるのがおすすめです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 奨学金が残っていても創業融資は通りますか?

A. 奨学金は計画的な借入として扱われやすく、延滞がなければ大きなマイナス材料にはなりにくいとされます。残高と毎月の返済額を、創業後の収支計画に組み込んで申告すれば問題ないケースが多いです。

Q2. 配偶者の借金は審査に影響しますか?

A. 申込者本人の信用情報が審査対象となるため、配偶者の借金が直接審査に出ることは原則ありません。ただし、家計全体の収支に影響している場合は、生活費・返済計画の説明のなかで考慮しておくほうが望ましいでしょう。

Q3. ブラックリストでも創業融資は通りますか?

A. 信用情報に事故情報が残っている期間中は、審査通過は難しいのが実情です。事故情報が消えるまでの期間を準備期間として活用し、自己資金を増やしておくことをおすすめします。

まとめ

借金があるからといって、創業融資の道がすべて閉ざされるわけではありません。重要なのは、「どんな借金が・いくら・どんな返済状況であるか」と「創業後にきちんと返済を続けられる事業計画が描けているか」の2点です。

まずは自分の信用情報を取り寄せ、整理できる借入は事前に整理する。そのうえで、自己資金の積み立て履歴と説得力のある創業計画書で返済能力を示す。この準備を踏むことで、借金がある状態でも創業融資の通過可能性を大きく高めることができます。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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