
整体院開業に必要な資金と融資の活用方法
整体院の開業を考えるとき、最初の壁になるのが「いくら必要なのか」「その資金をどう用意するのか」という問題です。整体院は飲食店や小売店に比べれば少ない資金で始められる一方、開業形態や設備のかけ方しだいで必要額は大きく変わります。本記事では、整体院開業にかかる資金の内訳と相場、日本政策金融公庫の創業融資の活用方法、審査を通すためのポイントまでを、これから独立する個人事業主の方にもわかりやすく整理します。
整体院の開業資金は「設備資金」と「運転資金」に分けて考える
開業資金を考えるときは、まず大きく2種類に分けると整理しやすくなります。事業を始めるまでの先行投資となる「設備資金」と、開業してからの毎月の経費にあたる「運転資金」です。創業融資を申し込む際も、この2区分で資金計画を立てるのが基本になります。
設備資金の主な項目
- 物件取得費(敷金・礼金・保証金・仲介手数料)
- 内装・外装の工事費
- 施術ベッド・チェア・矯正機器などの機材・備品
- 看板・ホームページ・予約システムの制作費
運転資金の主な項目
- 家賃・水道光熱費・通信費
- 広告宣伝費(チラシ・Web広告など)
- タオル・オイルなどの消耗品費
- 軌道に乗るまでの自分や家族の生活費
開業直後は売上が安定しないため、運転資金は最低でも3〜6か月分を見込んでおくと安心です。設備にお金をかけすぎて手元資金が尽きると、集客が軌道に乗る前に資金繰りが行き詰まってしまいます。
開業形態別の資金目安
整体院の必要資金は、どこで開業するかによって大きく変わります。代表的な3パターンの目安は次のとおりです。
- 自宅開業:10万円〜数十万円程度。物件取得費がかからず、最も低リスクで始められます。
- マンション・アパートの一室:家賃10万円以内の物件であれば、敷金・礼金やベッドなどの備品を揃えても100万円以内が目安です。
- 店舗物件(路面店など):内装にこだわると200万円以上が一般的。立地の良い物件ほど取得費・家賃ともに高くなります。
骨盤矯正やEMSなど大型機器を導入するスタイルでは設備資金がさらに膨らみます。まずは自分の開業スタイルを固め、実際に見積もりを取って必要額を試算することが大切です。
整体院開業に使える創業融資|日本政策金融公庫を中心に
自己資金だけで開業資金をまかなえない場合、中心となる選択肢が創業融資です。なかでも新規開業者が無担保・無保証人で利用しやすいのが、日本政策金融公庫の融資制度です。
新規開業・スタートアップ支援資金(旧・新規開業資金)
2024年度の制度改正により、従来の「新創業融資制度」は廃止され、「新規開業・スタートアップ支援資金」に統合されました。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、整体院のような小規模開業であれば、この枠で必要資金を十分にカバーできます。
自己資金はどのくらい必要か
制度改正で自己資金要件は原則撤廃されましたが、審査においては自己資金の額が引き続き重視されます。日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査によると、開業時の自己資金は平均279万円で、資金調達額に占める割合は平均22.9%でした。一般的には「必要資金の2〜3割」が一つの目安とされ、たとえば500万円を借りる場合は150万円程度の自己資金を準備しておくと審査で有利になりやすいです。
このほか、自治体と信用保証協会による制度融資も併用候補になります。複数の選択肢を比較しながら、自分の開業計画に合った調達方法を選びましょう。
創業融資の審査を通すためのポイント
整体院は無形のサービス業で、自分一人の技術が売上の源泉になる事業です。融資審査では、その事業が続いていくかどうかを見られます。次の点を押さえておきましょう。
- 自己資金をコツコツ貯めてきた履歴を通帳で示す(直前に入金した「見せ金」は逆効果)
- 整体・施術の実務経験や保有資格をアピールし、事業の継続性を示す
- 既存客・紹介・地域・Webなど、集客の具体策を計画に落とし込む
- 返済可能性が伝わる、現実的な売上計画を立てる
「必ず借りられる」という方法はありません。経験・自己資金・計画の3点で説得力を高めることが、結果的に審査通過への近道になります。
事業計画書(創業計画書)で押さえること
公庫の審査の中心になるのが創業計画書です。資金使途(設備資金・運転資金の内訳と見積もり)と、その調達方法を具体的な数字で示します。売上は「客単価×1日の来店数×営業日数」で根拠立てて積み上げるとよいでしょう。整体院は自分一人の労働時間によって売上の上限が決まりやすいため、無理のない来店数で計画を組むことが信頼につながります。
よくある質問
整体院の開業に資格は必要ですか
整体は国家資格がなくても開業できます。ただし無資格であっても、施術の技術や経験は審査・集客の両面で問われます。柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などの国家資格があれば、信頼性はより高まります。
自己資金ゼロでも融資は受けられますか
制度上は申し込み自体が可能です。しかし現実には自己資金ゼロは審査で不利になりやすいため、少額でも自己資金を準備し、事業計画の精度を高めておくことが重要です。
補助金と融資は併用できますか
併用は可能です。ただし補助金は原則として後払いのため、支給までのつなぎ資金として融資が必要になるケースも少なくありません。資金繰り全体を見ながら組み合わせを検討しましょう。
まとめ
整体院は開業形態しだいで10万円台から200万円超まで、必要資金に大きな幅があります。まずは設備資金と運転資金に分けて必要額を見積もり、自己資金で足りない部分を創業融資で補うのが基本の進め方です。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を軸に、自己資金と事業計画書の精度を高めれば、整体院のような小規模開業でも融資は十分に狙えます。資金計画や創業計画書の作り込みに不安がある場合は、早めに専門家へ相談することが、開業を成功させる近道になります。
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融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























