
飲食店が使える補助金を用途別に解説|開業・厨房設備・集客・省力化で活用できる2026年度の制度ガイド
「老朽化した厨房機器を入れ替えたい」「人手不足を自動化で乗り切りたい」「開業資金や集客の費用をできるだけ抑えたい」——飲食店を経営していると、設備投資や販路開拓のたびにまとまった費用が必要になります。こうした費用の一部を国や自治体が支援してくれるのが補助金です。本記事では、飲食店が活用しやすい主要な補助金を用途別に整理し、申請前に押さえておきたいポイントまでわかりやすく解説します。個人経営の店舗から多店舗展開を目指す方まで、自店に合う制度を見つける手がかりにしてください。
なお、補助金の金額・対象経費・公募スケジュールは年度ごとに見直されます。本記事は執筆時点(2026年6月)の一般的な情報をもとにしているため、実際の申請にあたっては必ず各補助金の最新の公募要領で詳細をご確認ください。
飲食店が補助金を使う前に知っておきたい基本
補助金は、申請すれば自動的にもらえるお金ではありません。多くの制度は「事業計画を審査し、採択された事業者だけが対象になる」仕組みです。人気のある補助金では採択率が一定水準にとどまることもあり、計画の練り込みが結果を大きく左右します。
また、補助金は原則として後払い(精算払い)です。いったん自己資金や融資で費用を立て替え、事業が完了して報告を済ませた後に補助分が入金される流れが一般的です。そのため「補助金が決まったから資金は不要」とはならず、つなぎの資金繰りまで含めて計画することが欠かせません。開業時や大型投資の場面では、補助金と創業融資を組み合わせて考えるのが現実的です。
補助金には、設備投資を支える経済産業省系の制度と、雇用・人材を支える厚生労働省系の助成金があります。本記事では主に飲食店の設備投資・集客・省力化に使える経済産業省系の補助金を中心に紹介します。
用途別|飲食店が活用しやすい主要な補助金
1. 厨房設備の更新・新商品開発に|新事業進出・ものづくり補助金
革新的な設備投資や新たな商品・サービスの開発や新たな市場への挑戦を支援する制度です。飲食店では、急速冷凍機やブラストチラーを導入して冷凍商品の通販事業に乗り出す、セントラルキッチンを整備して多店舗の品質を均一化する、といった「新しい価値づくり」につながる投資と相性が良い補助金です。また、比較的補助額が大きい一方、付加価値額の向上などの目標設定が求められ、事業計画の作り込みが重要になります。なお、この分野の制度は年度によって名称や枠組みが再編されることがあるため、申請時には最新の公募要領で対象を確認してください。
2. 人手不足・省力化に|中小企業省力化投資補助金
人手不足の解消に向けた省力化設備の導入を支援する制度です。飲食店で関心が高い、券売機・セルフレジ・自動釣銭機、配膳ロボット、モバイルオーダー(テーブルオーダー)システムなどは、この補助金の趣旨に合致しやすい投資です。注文・会計・配膳といった定型業務を機械に任せることで、限られたスタッフをホールの接客や調理に集中させられます。慢性的な採用難に悩む店舗にとって、有力な選択肢になります。
3. 集客・販路開拓・店舗改装に|小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓を後押しする、比較的申請しやすい補助金です。ホームページやLPの制作、チラシ・看板・メニュー表の作成、テイクアウトやデリバリーを始めるための窓口設置や軽微な店舗改装など、集客と売上づくりに直結する取り組みに使いやすいのが特徴です。補助額は前述の制度より小さめですが、個人経営の飲食店が最初に検討しやすい制度といえます。
自店に合う補助金の選び方
制度が複数あると「どれを使えばいいのか」と迷いがちですが、出発点はいつも「何を実現したいか」です。やりたいことを先に決め、それに合う補助金を当てはめる順番で考えると、ミスマッチを防げます。
- 設備で新しい価値を生みたい(冷凍商品化・セントラルキッチンなど)→ ものづくり補助金
- 人手不足を自動化で解消したい(券売機・配膳ロボット・モバイルオーダー)→ 省力化投資補助金
- 集客や販路を広げたい(HP・チラシ・テイクアウト導入)→ 小規模事業者持続化補助金
- 新しい事業分野に挑戦したい(食品製造・EC・新業態)→ 新事業進出補助金
なお、汎用的なパソコンやタブレット本体など、その事業以外にも一般的に使える物品は補助対象外となるのが通例です。補助金ごとに対象経費の範囲が細かく定められているため、購入を予定している設備が対象になるかは、事前の確認が重要です。
補助金申請を成功させるためのポイント
採択される計画には共通点があります。第一に、補助金の趣旨(生産性向上・販路開拓・省力化など)と自店の取り組みが一本の線でつながっていること。第二に、現状の課題・導入する設備・期待される効果が、できるだけ具体的な数字で示されていること。第三に、補助金が出なくても事業を進められる資金計画になっていること(後払いのため)です。
また、申請には決算書や見積書、事業計画書など複数の書類が必要で、公募期間も限られています。「公募が始まってから準備を始めると間に合わない」というのはよくある失敗です。導入したい設備が固まった段階で、早めに準備を始めましょう。
なお、補助金で取得した資産や受け取った補助金の会計・税務上の取り扱いについては、課税対象となる場合があるなど注意すべき点があります。具体的な処理は個別事情によって異なるため、詳細は税理士などの専門家にご相談ください。
補助金と融資を組み合わせて資金計画を立てる
前述のとおり補助金は後払いが基本です。たとえば厨房設備を導入し、その一部が補助される場合でも、設備代金はいったん全額を支払う必要があります。この立て替え資金や、開業初期の運転資金を確保する手段として活用されるのが、日本政策金融公庫などの融資です。
開業時や大型投資の場面では、「補助金で投資負担を軽くしつつ、融資で手元資金を厚くする」という組み合わせが王道です。どちらも事業計画書がカギになるため、補助金と融資をまとめて支援できる専門家に相談すると、計画づくりから資金繰りまで一貫して進められます。
よくある質問(FAQ)
Q. 開業前でも飲食店の補助金は使えますか?
制度によって異なります。開業後の事業者を主な対象とする補助金が多い一方、創業者向けの枠や自治体独自の開業支援制度が用意されている場合もあります。開業のタイミングと使いたい制度の要件が合うか、事前の確認が必要です。開業資金そのものは、補助金よりも創業融資で確保するのが一般的です。
Q. 複数の補助金を同時に使えますか?
同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることは原則できません。ただし、対象となる経費や事業が異なれば、別々の補助金を活用できる場合があります。組み合わせ方には専門的な判断が必要なため、計画段階で相談すると安心です。
Q. 申請は自分でもできますか?
制度上は事業者自身での申請も可能です。ただし、採択される事業計画書の作成には一定のノウハウが必要で、本業と並行して準備するのは負担が大きいのも事実です。採択率を高めたい場合や時間を確保したい場合は、専門家の支援を活用する方法があります。
まとめ
飲食店が使える補助金は、厨房設備の更新や新商品開発、新分野進出(新事業進出・ものづくり補助金)、人手不足対策(省力化投資補助金)、集客・販路開拓(小規模事業者持続化補助金)など、用途ごとに整理して考えるとわかりやすくなります。大切なのは「やりたいこと」を起点に制度を選び、後払いを前提とした資金計画を立てることです。
制度は年度ごとに変わり、対象経費や要件も細かく定められています。「うちの設備投資は対象になる?」「どの補助金が合う?」と迷ったら、補助金と融資の両面に詳しい専門家に早めに相談することが、採択への近道です。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























