
整体サロンを一人で開業する費用と融資の組み立て方
「整体サロンを一人で開業したいが、いくら用意すればいいのか分からない」「自己資金だけで足りるのか、融資はいくらくらい借りられるのか」――一人開業を考える整体師の方から、こうした相談をよく受けます。この記事では、整体サロンの一人開業でかかる初期費用の目安と、日本政策金融公庫の創業融資でどこまでカバーできるかを、よくある疑問へのQ&A形式で整理します。
Q. 整体サロンを一人で開業する場合、初期費用はいくらかかりますか
A. 開業する場所・形態によって大きく変わります。目安として次の3パターンに分けて考えると、資金計画が立てやすくなります。
| 開業形態 | 初期費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自宅の一室を使う | 数十万円程度〜 | 家賃・敷金礼金がかからず、初期費用を最も抑えやすい。反面、自宅と事業の切り分け・集客導線の確保が課題になりやすい |
| マンション・アパートの一室を借りる | 100万円前後〜 | 家賃を抑えた物件であれば、施術ベッドなどの設備費を含めても比較的少ない資金で開業しやすい |
| 路面の店舗物件を借りる | 200万円〜400万円台 | 敷金・礼金・内装・看板など初期費用の項目が増える分、視認性や集客力は高めやすい |
いずれの形態でも、施術ベッド・タオル類・消耗品・予約管理システム・広告宣伝費などは共通してかかる費用です。開業する場所を先に決めるのではなく、「毎月の家賃・返済額をどこまで負担できるか」から逆算して形態を選ぶと、開業後の資金繰りに無理が出にくくなります。
Q. 開業資金は日本政策金融公庫の創業融資でどのくらい借りられますか
A. 一人開業の整体サロンで代表的な選択肢は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)ですが、これは制度上の上限であり、実際の融資額は事業計画や自己資金の状況などをふまえた審査で決まります。無担保・無保証人で借入できるのが原則で、創業した実績がなくても事業計画書と自己資金をもとに審査される点が、整体師としての実務経験はあっても事業主としては未経験、という方にとって心強いポイントです。
基準利率は2026年6月1日時点で、無担保・創業期(税務申告を2期終えていない場合)で年3.45〜5.15%です。創業期の方は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の利率引下げが適用される可能性がありますが、これは案内文上の一般的な説明であり、実際の適用可否は審査・条件によって変わるため「必ず下がる」とは限りません。金利・条件は変わることがあるため、申請時は必ず最新の公式情報を確認してください。
Q. 自己資金はどのくらい用意すればよいですか
A. 制度上、自己資金の額や割合について明確な要件は定められていません。ただし自己資金の金額は審査の重要な判断材料になり、多いほど審査で有利になりやすい傾向があります。「総額の何分の1が必須」という決まりはない点をふまえたうえで、面談時点で口座に確認できる状態にしておくことが基本です。
また、開業前に自費で取得した施術関連の資格取得費用や、すでに購入した施術ベッド・機材の費用、テストマーケティングの費用などは、「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがあります。該当しそうな支出がある場合は、領収書を必ず保管しておきましょう。
Q. 融資の返済期間・据置期間はどのくらいですか
A. 新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の目安は、設備資金が返済期間20年以内、運転資金が原則10年以内です。いずれも据置期間(元金の返済を待ってもらえる期間)を5年以内で設定でき、据置期間中は利息のみの支払いで済みます。開業直後は集客が安定するまで売上が読みにくいため、この据置期間をうまく使えるかどうかが、開業後のキャッシュフローの余裕に直結します。
Q. 施術ベッドなどの設備は融資とリース、どちらで用意すべきですか
A. 融資で購入すれば設備は自分の所有物になりますが、リースには初期費用を抑えられるメリットがあります。一方でリースには次のようなデメリットもあるため、資金計画と合わせて検討する必要があります。
- 連帯保証人が必要になる
- 機器の所有権が持てない
- 契約期間中の中途解約が難しい
- 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い
融資とリースのどちらが有利かは、資産計上の考え方や資金繰りの状況によっても変わるため、賃貸借費用の負担も含めて税理士や金融機関に相談しながら判断することをおすすめします。
Q. 一人開業でも創業融資の審査に通りやすくするコツはありますか
A. 事業計画書の作り込みが審査結果を大きく左右します。整体師としての施術経験があっても、事業主としての「創業した実績」自体はないケースが多いため、次のような点を計画書で具体的に示すことが重要です。
- ターゲット層と客単価、月間の想定施術件数から売上を積み上げで算出していること
- 家賃・材料費・広告費などの固定費・変動費を項目ごとに整理していること
- 自己資金の準備状況(面談時点で口座に確認できる状態)を明確にしていること
資金使途についても注意が必要です。運転資金には人件費や役員報酬は含められますが、開業者自身の生活費(家賃・食費など事業と直接関係のない個人的支出)は運転資金の対象になりません。生活費と事業資金を明確に分けて計画書を作成しましょう。
まとめ
整体サロンの一人開業は、自宅・マンション一室・路面店舗のどの形態を選ぶかで初期費用が大きく変わります。日本政策金融公庫の創業融資は、無担保・無保証人で利用できる可能性がある心強い選択肢ですが、金利や自己資金の考え方には誤解が生じやすいポイントもあります。制度・金利は変わることがあるため、本記事の数字は執筆時点(2026年7月)の情報として参考にしつつ、申請前には必ず最新の公式情報を確認してください。V-Spiritsグループはこれまでに治療院(整骨院・鍼灸等)を含む712件(2026年6月時点)の創業融資支援実績があり、一人開業ならではの資金計画づくりもサポートしています。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























