
整骨院の設備投資で融資を使うときに失敗しやすい5つの注意点
整骨院が設備を融資で買う前に知っておきたい失敗パターンと対策
開業から数年が経ち、施術ベッドや物理療法機器の老朽化、新メニュー導入のための機器追加など、設備投資のタイミングを迎える整骨院は少なくありません。まとまった金額になるため、自己資金だけでなく融資の活用を検討する経営者も多いはずです。
ただし、設備投資の融資は「借りられれば終わり」ではなく、見積もりの取り方や資金使途の整理、リースとの比較など、事前に押さえておかないと後悔しやすいポイントがいくつもあります。本記事では、数年経営の整骨院が設備投資で融資を使う際に失敗しやすい5つの注意点を整理します。制度・金利の情報は2026年7月時点のものです。申請前には必ず金融機関・公式情報の最新情報をご確認ください。
数年経営の整骨院が設備投資で融資を使う基本的な考え方
開業したばかりの創業融資とは異なり、数年経営している整骨院が設備更新で融資を受ける場合は、これまでの決算内容や返済実績もあわせて評価されるのが一般的です。裏を返せば、日々の経営がきちんと数字で示せていれば、新規開業時よりも交渉の材料は多いとも言えます。焦って条件を確認しないまま契約に進まないよう、以下の5つの落とし穴を順に見ていきます。
落とし穴①:見積もりの精度不足
「業者に勧められたから」という理由だけで機種・台数を決めてしまうと、金融機関から資金使途の妥当性を疑われることがあります。超音波治療器・低周波治療器・物理療法機器など、導入したい設備ごとに複数社から相見積もりを取り、価格だけでなく機能面でなぜその機種を選んだのかを説明できるようにしておきましょう。積算根拠のある見積書は、審査での説得力を高める材料になります。
落とし穴②:資金使途の整理不足
設備資金として申請する場合、設備そのものの購入費と、据付・搬入などの付帯費用を分けて整理しておく必要があります。また、運転資金と設備資金を混同しないことも重要です。人件費や役員報酬は事業に必要な経費として運転資金の対象になりますが、経営者個人の生活費は運転資金の対象にはなりません。資金使途があいまいなまま申請すると、審査の過程で説明を求められ、手続きが長引く原因になります。
落とし穴③:リースとの比較を怠る
設備投資というと融資が第一候補になりがちですが、リースという選択肢もあります。ただしリースには次のようなデメリットもあるため、メリットだけを見て安易に選ぶのは危険です。
- 連帯保証人が必要になる
- 機器の所有権が持てない
- 契約期間中の中途解約が難しい
- 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い
融資とリースのどちらが有利かは、資産計上の考え方や日々の資金繰りの状況によっても変わります。賃貸借費用の負担も含めて、税理士や金融機関に相談しながら判断することをおすすめします。
落とし穴④:休業リスクを考えないスケジュール
数年経営している整骨院ならではの注意点が、設備入れ替えのタイミングです。新規開業と違い、既存の患者が通院している状態で機器を入れ替えるため、施術スペースが一時的に使えなくなる、納品・設置に日数がかかるなど、営業への影響を見込んでおく必要があります。融資の実行時期と設備の納品スケジュールがずれると、資金だけ先に動いて機器が入らない、という事態にもなりかねません。契約前にベンダーへ納期を確認し、融資実行のタイミングとすり合わせておきましょう。
落とし穴⑤:金利・返済条件の思い込み
「創業融資の記事で見た金利がそのまま使える」と思い込むのも失敗しやすいポイントです。日本政策金融公庫の基準利率は、税務申告を2期以上終えている事業者の場合、2026年6月1日現在で年3.50〜5.20%です。創業期(税務申告2期未了)向けの優遇金利や据置期間の目安は、数年経営の事業者にはそのまま当てはまらないことがあるため、自社がどの区分に該当するかを金融機関に確認したうえで、返済計画を立てることが大切です。
数年経営の整骨院が審査で見られるポイント
設備投資の融資審査では、主に次のような点が見られます。
- 既存事業の決算内容・返済実績(延滞がないか)
- 設備投資による売上・患者数への効果の見込み
- 見積もりの妥当性(相見積もり・積算根拠)
- 資金使途が事業に必要な支出として整理されているか
自己資金の額や割合について、制度上一律の要件が定められているわけではありません。「自己資金は総額の何割必要」といった断定的な情報を目にすることもありますが、必須要件ではなく、あくまで審査の判断材料の一つと捉えておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. 設備資金と運転資金を同時に申請できますか?
A. 目的が異なるため、資金使途ごとに金額を分けて整理したうえで、あわせて申請できる場合があります。詳細は申込先の金融機関にご確認ください。
Q. 見積もりは何社から取ればよいですか?
A. 決まった社数のルールはありませんが、価格と機能の妥当性を説明できるように、複数社から相見積もりを取っておくと安心です。
Q. リース契約中の機器を融資で買い替えることはできますか?
A. 契約内容によって中途解約の可否や違約金の扱いが異なるため、まずは現在のリース契約書の条件を確認し、金融機関に相談しながら進めることをおすすめします。
まとめ
数年経営の整骨院が設備投資で融資を使う際は、見積もりの精度・資金使途の整理・リースとの比較・休業リスクを考えたスケジュール・金利や返済条件の正しい理解という5つの落とし穴を押さえておくことが、審査を通りやすくし、導入後の後悔を防ぐことにつながります。制度や金利は変わりやすいため、本記事の情報は2026年7月時点のものとして参考にし、実際の申請前には金融機関や専門家に最新情報を確認することをおすすめします。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























