
ファイバーレーザー加工機の補助金は見積書の仕分けから始めます
二酸化炭素レーザー加工機やタレットパンチプレスからファイバーレーザー加工機への更新・増設を検討すると、見積書には本体価格だけでなく、受電・電気設備の増強工事、集塵機、チラー、コンプレッサー、基礎工事、自動材料供給装置やパレットチェンジャーといった付帯費用が並びます。補助金の制度名を先に選んでしまうと、後から対象外の費用が計画に混ざっていることに気づき、申請の組み立てをやり直す事態になりかねません。この記事では、見積書を対象経費と対象外経費に仕分けたうえで制度を選び、発注の順番を決めるまでの手順を整理します。
見積書に必ず乗る周辺費用を先に洗い出します
本体価格だけを見て予算感をつかむと、実際に導入する段階で受電設備の増強工事や集塵機、チラーなどの周辺費用が想定より膨らみ、補助金の申請額や対象範囲とずれてしまうことがあります。まず見積書全体を、本体の機械装置、電気・受電まわりの工事、集塵やチラーなどの付帯設備、基礎工事、自動化のための周辺装置に分けて一覧にすることが、制度選びの前提になります。
ステップ1 見積を対象経費と対象外経費に仕分けます
対象になりやすい費目
中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象経費は、専用機械・装置、検査工具、専用ソフト・情報システム、そして導入と一体になった軽微な据付・改良等を含む機械装置・システム構築費が必須です。運搬費や技術導入費、知的財産権等関連経費、専門家経費、クラウドサービス利用費もあわせて対象になります。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠でも、機械装置・システム構築費が必須かつ主軸で、単価10万円(税抜)以上のものが対象です。技術導入費や知的財産権等関連経費はそれぞれ補助対象経費総額の3分の1が上限、外注費は4分の1が上限(主たる内容の外注は不可)、専門家経費は5分の1が上限(1日1人5万円)と、費目ごとに上限が決まっています。
対象外になりやすい費目
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠では、機械装置・システム構築費が必須かつ主軸である一方、汎用パソコンやスマートフォン、車両、家賃、建物の単なる購入等は対象外と明記されています。中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象経費も、導入と一体になった「軽微な」据付・改良までが範囲です。受電設備を新たに引き込むような大掛かりな電気工事や、基礎の打ち直しを伴う工事は、この「軽微な据付」の範囲を超えやすく、対象外として扱われやすい構造になっています。見積の中でこれらの工事費がどの程度の規模になっているかを、着工前に業者へ確認しておく必要があります。
周辺機器を組み合わせて対象性を示します
中小企業省力化投資補助金(一般型)で対象になるのは、専用性の高い設備です。汎用設備であっても、複数の設備を組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合、または導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数・機能が変わる場合には、対象になり得ます。反対に、汎用設備を単体で導入するだけの計画は対象外です。ファイバーレーザー加工機であれば、本体と集塵機、チラー、自動材料供給装置やパレットチェンジャーを組み合わせ、自社の生産ラインの構成に合わせて導入する計画として示すことが、対象性を示す道筋になります。集塵機だけを単独で入れ替えるような計画では、この判定基準を満たしにくくなります。
ステップ2 見積の性格で制度を選びます
既存事業の省力化が目的なら
すでに稼働している板金加工の現場で、人手をかけずに生産性を上げる目的であれば、中小企業省力化投資補助金(一般型)が選択肢になります。補助上限は1億円です。前述のとおり、汎用設備の組み合わせや構成変更でオーダーメイド性を示す事業計画が必要になるため、本体と周辺機器をどう組み合わせるかを見積の段階から意識しておくと、計画書に落とし込みやすくなります。
新製品・新サービスの開発を伴うなら
ファイバーレーザー加工機の導入によって、これまで受けられなかった精密加工や新しい素材への対応など、新製品・新サービスの開発につながる場合は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠が選択肢になります。補助上限は従業員規模により異なり、1〜5人は750万円、6〜20人は1,000万円、21〜50人は1,500万円、51人以上は2,500万円です。給与支給総額や事業場内最低賃金の大幅な引き上げを計画に盛り込む大幅賃上げ特例を適用した場合は、それぞれ850万円、1,250万円、2,500万円、最大3,500万円まで引き上がります。ここでいう最大3,500万円は、最大規模の企業が特例を適用した場合の上限であって、すべての申請者に一律で適用される金額ではありません。補助下限は100万円で、これを下回る規模の投資は対象になりません。補助率は中小企業者が2分の1、小規模企業・小規模事業者・再生事業者や地域別最低賴金引上げ特例の適用時は3分の2です。
この枠は「新製品・新サービスの開発」を伴わない単なる設備導入では対象になりません。同業他社ですでに相当程度普及している開発や、既存製品・サービスの生産プロセスの改善だけにとどまる計画も、この枠では対象外です。既存の二酸化炭素レーザー機を単純にファイバーレーザー機へ置き換えるだけの計画であれば、この枠よりも中小企業省力化投資補助金(一般型)のほうが制度の趣旨に合いやすくなります。
なお事業計画は申請者自身が作成することが前提です。外部の専門家にすべて任せて作成した計画は、不採択や採択後の取り消しの対象になり得ます。
💬 執筆者の三浦から一言
審査の現場でよく見かけたのは、汎用のパソコンや事務機器を並べただけの計画です。専用性のない汎用品は基本的に対象になりにくく、周辺機器をどう組み合わせて自社の生産ラインに合わせるかまで書き込めているかどうかで、通る計画とそうでない計画がはっきり分かれていました。
ステップ3 発注の順番を決めます
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠では、交付決定前に発注・契約・購入した経費は、理由に関係なく対象外になります。国や自治体の別の制度と重複して受給することもできません。見積を取ってすぐに機械を発注してしまうと、採択されても補助を受けられなくなるため、次の順番で進める必要があります。
一つ目に、複数社から見積を取り、本体価格と周辺費用を対象経費・対象外経費に仕分けます。二つ目に、その仕分けをもとに事業計画を作成し、申請します。三つ目に、採択発表を待ち、交付決定の通知を受け取ります。四つ目に、交付決定を受けてから、本体機械と周辺機器をあわせて発注します。この順番を守らないと、どれだけ計画の中身が良くても補助を受けられなくなるため、見積の有効期限と申請スケジュールの兼ね合いを事前に業者と相談しておくことが実務上のポイントになります。
💬 執筆者の三浦から一言
見積が固まった勢いでそのまま発注してしまう相談を、審査の現場でも見てきました。交付決定前の発注・契約・購入は理由を問わず対象外になるため、良い条件の見積が出たときほど、交付決定を待たずに動きたくなる場面ほど、その一歩を止められるかどうかで結果が分かれます。
ステップ4 申請前に確認するチェックリスト
- 本体価格と周辺費用(受電・電気工事、集塵機、チラー、コンプレッサー、基礎工事、自動材料供給・パレットチェンジャー等)を対象経費・対象外経費に仕分けたか
- 周辺機器を本体と組み合わせ、構成が変わる計画としてオーダーメイド性を示せているか
- 既存事業の省力化が目的か、新製品・新サービスの開発を伴うかで、制度を選び分けたか
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠を使う場合、補助下限100万円を下回っていないか
- 事業計画を申請者自身が作成しているか(外部への丸投げになっていないか)
- 交付決定前に発注・契約・購入をしていないか
まとめ
ファイバーレーザー加工機の導入は、本体だけでなく受電・電気工事や集塵機、チラーといった周辺費用が必ず見積に乗ります。見積を対象経費と対象外経費に仕分け、既存事業の省力化か新製品・新サービスの開発かで制度を選び、交付決定を待ってから発注するという順番を守ることが、申請をやり直さないための近道になります。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























