
フォークリフトは省力化投資補助金で買える?対象になるケース・ならないケースを解説
「省力化投資補助金を使ってフォークリフトを導入できないか」というご相談は、製造業・倉庫業・建設業などの中小企業から多く寄せられます。人手不足で荷役作業の負担が大きく、設備で省力化したいというニーズは切実です。結論からお伝えすると、 運転手が乗って操作する一般的な(汎用の)フォークリフト単体は、省力化投資補助金の対象になりにくいのが実情です。一方で、買い方や設備の選び方を工夫すれば、補助金を活用できる余地もあります。
この記事では、起業・中小企業の補助金支援を行う専門家の視点で、フォークリフトと省力化投資補助金の関係を整理します。なお本記事は2026年6月時点の公募情報をもとにしており、補助金の要件は公募回ごとに見直されます。実際の申請にあたっては必ず最新の公募要領と事務局の公式情報をご確認ください。
結論:単体の汎用フォークリフトは原則として対象になりにくい
省力化投資補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助金)には、大きく「カタログ注文型」と「一般型」の2つの枠があります。どちらの枠で考えても、市販の汎用フォークリフトをそのまま購入する用途では、補助対象として認められにくいと考えておくのが現実的です。理由は後ほど詳しく説明しますが、フォークリフトが「省力化に特化した設備」というより「幅広い現場で使える汎用機械」と評価されやすいためです。
ただし、これは「フォークリフトに関わる投資は一切補助金が使えない」という意味ではありません。無人で動く搬送設備や、自社の現場に合わせて設計した省力化システムであれば、一般型で対象になる可能性があります。「フォークリフトそのもの」ではなく「荷役作業をどう省力化するか」という発想に切り替えることがポイントです。
そもそも省力化投資補助金とは(一般型とカタログ注文型)
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者が、省力化につながる設備やシステムを導入する際の費用の一部を補助する制度です。枠によって対象や手続きが大きく異なります。
カタログ注文型
国(事務局)が「省力化の効果がある」と認めた製品があらかじめカタログに登録されていて、その中から選んで導入する枠です。清掃ロボット・配膳ロボット・自動調理機器などが代表例で、申請手続きが簡素化されているのが特長です。逆に言うと、カタログに登録されている製品しか対象になりません。一般的な汎用フォークリフトは、現状この製品カタログの想定とはなじみにくい設備です。
一般型
自社の課題に合わせて設計・導入する、オーダーメイドの機械装置やシステムが対象になる枠です。機械装置、工具・器具、専用ソフトウェア、情報システムの購入・構築などが補助対象になり、2026年6月時点では1件あたり単価50万円(税抜)以上の設備投資が必要とされています。カタログ型より自由度が高い反面、審査項目が多く、省力化の効果を事業計画で具体的に示す必要があります。
一般型の補助上限額や補助率の目安は次のとおりです(いずれも2026年6月時点。公募回・賃上げの取り組み状況により変わります)。
- 補助上限額:従業員5人以下で750万円(賃上げ要件達成で1,000万円)〜、従業員規模が大きいほど引き上がり、最大で1億円程度まで
- 補助率:中小企業は原則2分の1(小規模事業者は3分の2)。一定額を超える部分は補助率が下がる設計
- 賃上げ要件:給与支給総額の年平均成長率や最低賃金の引き上げなどを満たすと、上限額が上乗せされる
こうした要件は毎回の公募で細かく調整されます。フォークリフトに限らず、補助金の対象になるか・補助額がいくらになるかは、導入する設備と事業計画次第で変わる点を押さえておきましょう。判断に迷う場合は、早い段階で補助金に詳しい専門家に相談すると、対象になりにくい設備に時間をかけてしまう失敗を避けられます。
フォークリフトが対象になりにくい3つの理由
1. 汎用性が高く「目的外使用」になり得る
省力化投資補助金では、補助対象を「省力化に資する設備」に絞っています。汎用フォークリフトは荷役以外にもさまざまな用途に使え、事業の本来目的以外でも利用できてしまうため、「汎用性が高く目的外使用になり得る設備」として対象から外れやすい傾向があります。
2. 「省力化の効果」を数値で示しにくい
一般型では、その設備を入れることでどれだけ人手・工数が削減できるかを、客観的な根拠とともに示す必要があります。フォークリフト単体は「作業をラクにする道具」ではあっても、従来から多くの現場で使われている標準的な機械のため、「この投資によって新たに省力化が実現する」という説明が組み立てにくいという難しさがあります。
3. 公道を走る車両・既存の代替手段がある設備は除外されやすい
補助金では、ナンバーを取得して公道を走行する車両は対象外とされるのが一般的です。構内専用のフォークリフトであっても、「車両」というカテゴリーで見られると慎重に判断されます。最終的に対象となるかどうかは公募要領の定義と事務局の判断によるため、ここでも公式情報の確認が欠かせません。
省力化投資補助金で「狙える」買い方・考え方
フォークリフトそのものではなく、「荷役・搬送作業の省力化」という課題に視点を移すと、補助金を活用できる可能性が見えてきます。
- 無人搬送車(AGV・AMR)への置き換え:人が乗って運転するフォークリフトではなく、自動で走行・搬送するロボットは省力化効果を説明しやすく、一般型で検討する余地があります。
- 自動倉庫・自動ピッキングシステムの一部として導入:搬送・格納の工程をシステムとして設計し、その中に省力化設備を組み込む形であれば、オーダーメイド設備として評価されやすくなります。
- 省力化効果を事業計画で具体化する:「1日◯時間かかっていた荷役作業を◯%削減する」といった形で、導入前後の工数を数値で示す準備をしておくことが重要です。
いずれの場合も、「どの設備を、どんな省力化目的で導入するのか」をセットで設計することが採択の鍵になります。設備の見積もりを取る前に、補助金の枠組みと自社の課題を突き合わせておくと、後戻りが少なくなります。
フォークリフト導入で使える可能性のある他の制度
省力化投資補助金でフォークリフトが対象になりにくい場合でも、目的によっては別の支援策が選択肢になります。たとえば、生産性向上や新たな設備投資を目的とする「ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり補助金)」など、ほかの補助金で要件に合致するケースもあります。ただし、それぞれ対象経費・補助率・スケジュールが異なり、フォークリフト単体の購入はどの制度でも慎重に判断される点は共通しています。
また、補助金は原則として「後払い(精算払い)」です。採択されても、いったんは自己資金や融資で設備代金を立て替える必要があります。設備投資の資金繰り全体を見渡したうえで、補助金・融資・自己資金をどう組み合わせるかを早めに設計しておくと安心です。
よくある質問
Q. 中古のフォークリフトでも省力化投資補助金の対象になりますか
原則として、補助金の対象設備は新品(未使用品)が前提です。中古設備は対象外とされることが多く、汎用フォークリフトという点と合わせて、対象になりにくいと考えておくのが無難です。
Q. リースで導入する場合はどうなりますか
リースの扱いは制度や公募回によって異なります。リース会社との共同申請が求められるなど条件が付くこともあるため、購入とリースのどちらが有利かは、補助金の要件と自社のキャッシュフローの両面から検討する必要があります。
Q. 申請すれば必ず採択されますか
いいえ。省力化投資補助金は審査があり、申請しても採択されないことがあります。「必ず通る」という制度ではないため、省力化の効果や事業計画の説得力を高めることが大切です。
まとめ
運転手が操作する汎用のフォークリフト単体は、省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型のいずれも)では対象になりにくいのが実情です。汎用性の高さ、省力化効果の説明のしにくさ、車両としての扱いといった点が主な理由です。一方で、無人搬送車(AGV・AMR)や自動倉庫システムなど、「荷役・搬送作業をどう省力化するか」という観点で設備を設計すれば、一般型で活用できる可能性は残ります。
補助金の要件は公募回ごとに変わるため、本記事の内容は2026年6月時点の目安としてご理解いただき、実際の申請前には必ず最新の公募要領と事務局の公式情報をご確認ください。「自社のこのケースは対象になるのか」を見極めたい場合は、補助金に詳しい専門家に早めに相談することをおすすめします。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























