
プレス機の補助金は「買い替え」で落ちやすい|対象外になる4つの分かれ目
プレス機・ベンダー導入で補助金の審査に落ちる4つの分かれ目
「プレス機の補助金」で検索すると、機械商社や金型メーカー、工業会が発信する「使えます」型の記事が並びます。しかし、これらの多くは制度の存在を紹介するにとどまり、板金・プレス加工を営む町工場が自社の投資が対象になるかを自分で判定できる材料までは示していません。同じプレス機・ベンダーの導入でも、対象になるかどうかは投資の中身次第で分かれます。
この記事では、老朽化したプレス機・ベンダーの更新や、多品種小ロット対応のための入れ替えを検討している中小製造業向けに、実際につまずきやすい4つの分かれ目を整理します。情報は2026年8月時点のもので、公募回や公募要領の改定によって条件が変わるため、申請時は必ず最新の情報をご確認ください。
1. 「動力プレス機械の自主検査に関する助成」と設備投資の補助金を混同していませんか
「プレス機 補助金」で検索すると、設備の導入を支援する補助金の解説記事に混じって、労働安全衛生法に基づく特定自主検査に関する助成の情報が表示されることがあります。これは動力プレス機械の定期的な自主検査にかかる費用を対象にした制度で、プレス機やベンダーそのものの購入・更新を支援する制度とは目的も申請先も異なります。検索結果の見出しだけで「プレス機に使える補助金」とひとくくりにせず、自社が探しているのが設備投資の支援なのか、安全管理にかかる検査費用の助成なのかを、まず区別してから制度を絞り込む必要があります。
メーカーや商社が発信する解説記事は「使えます」という結論を先に示す構成が多く、対象外になる条件まで踏み込んで書かれることは多くありません。ここから先は、実際に対象外と判定されやすい条件を1つずつ確認していきます。
2. 老朽プレス機の更新を「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」で検討する場合の注意点
省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)の対象設備例には、工作機械やプラスチック加工機械と並んでプレス機械が明記されています。老朽化した既存プレス機を高効率な設備に更新する投資は、この制度の対象範囲に入り得ます。設備単位型(従来枠)の補助上限は1億円、補助率は3分の1以内です。数字を出すときは、このように事業区分名を必ず添える必要があります。事業区分によって上限・補助率・対象経費が大きく異なるためです。
注意したいのは、設備単位型は原則として「更新」が中心という点です。新規導入・増設・予備設備・将来用設備・中古品は対象になりにくく、更新前後で用途が同じであることも求められます。あわせて、省エネ率10%以上、省エネ量1キロリットル以上、または経費あたり省エネ量1キロリットル/千万円以上のいずれかを満たす必要があり、単に「古いプレス機を新しくする」というだけでは対象にならず、省エネ効果を数値で示せるかどうかが問われます。交付決定前の契約・発注も対象外なので、見積の段階から交付決定のタイミングを意識しておく必要があります。
💬 執筆者の三浦から一言
審査員として申請書を見ていた立場から言うと、省エネ・非化石転換補助金は事業区分ごとに上限も補助率も対象経費もまったく違う制度です。プレス機の更新を検討する際も、区分をひとつに決めてから対象設備や数字を確認する順番のほうが、あとで計画を組み直す手間が減ります。
3. 「多品種小ロット対応の新型プレス機」を新製品開発だと考えてしまう落とし穴
多品種小ロット化に対応するために、段取り替えが速い新型プレス機やベンダーを導入したいという相談は多くあります。この投資を新製品・新サービスの開発と位置づけて、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠を検討する場合、補助上限は従業員規模別に1〜5人750万円、6〜20人1,000万円、21〜50人1,500万円、51人以上2,500万円で、大幅賃上げ特例を適用した場合の最大値は3,500万円です。上限額は従業員規模により異なり、これらの金額はいずれも最大の従業員規模と特例を満たした場合の最大値である点に注意してください。補助下限は100万円です。
この枠で対象外になりやすいのが、新製品・新サービスの開発を伴わない単なる設備・システム導入と、既存製品・サービスの生産等プロセス改善です。多品種小ロットに対応できる設備に入れ替えること自体は、既存事業の生産プロセスの改善に位置づけられやすく、これだけでは本枠の対象にならない可能性があります。プレス機の入れ替えをきっかけに、これまで作れなかった新しい製品を開発する計画まで具体化できるかどうかが分かれ目になります。投資の入り口を「設備更新」ではなく「新製品開発」から説明できるように、事業計画の組み立て方自体を見直す必要があります。
4. 汎用プレス機・ベンダーを単体で導入する計画が、中小企業省力化投資補助金(一般型)で通らなかった理由
既存事業の省力化・生産性向上を目的に、中小企業省力化投資補助金(一般型)を検討するケースもあります。補助上限は1億円で、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ導入することが要件です。ただし対象になるのは「オーダーメイド性のある設備」で、単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外とされています。プレス機やベンダーを1台入れ替えるだけの計画は、この単価要件を満たしていても、それだけでは対象になりません。
オーダーメイド性があるとみなされるのは、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合や、導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合です。プレス機単体ではなく、搬送・検査・段取り替え支援といった周辺機器と組み合わせた構成にできるかどうかが、この制度で通るかどうかの分かれ目になります。なお、既製のカタログ登録製品をそのまま導入する場合は、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)のほうが制度設計として合うことがあります。カタログ注文型の補助上限は1,500万円(大幅賃上げ計画を盛る場合)で、販売事業者との共同申請が前提です。
💬 執筆者の三浦から一言
パソコンなどの汎用品が基本的に補助金の対象にならないのと同じ考え方で、プレス機やベンダーの単体入れ替えも対象外と判定されやすい制度があります。審査で問われているのは設備の名前ではなく、周辺機器まで含めた導入計画全体の組み方そのものだと感じています。
申請前に確認しておきたい3つの視点
プレス機・ベンダーの投資で補助金の対象外を避けるには、次の3点を先に自分で確認しておくと判断が早くなります。1つ目は、更新前後で用途が同じ「更新」と言えるか、それとも新規導入・予備機・中古機に当たるか。2つ目は、投資の先に新製品・新サービスの開発があるか、それとも既存の生産プロセスの改善にとどまるか。3つ目は、プレス機を単体で導入する計画か、周辺機器と組み合わせたオーダーメイド性のある構成にできるかです。この3つの分岐を先に押さえておけば、どの補助金が候補になり得るかを自分である程度絞り込めます。制度ごとの数字や要件は公募回によって変わるため、最終的な可否は必ず最新の公募要領で確認してください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























