
創業1年目の設備投資と補助金|制度・枠ごとの違いを整理
創業1年目でも設備投資の補助金は使える?制度と枠ごとの扱いを整理
創業したばかりで機械やシステムを入れたいとき、補助金が使えるのかは最初に知りたいことだと思います。ただ、同じ補助金でも枠や制度によって、創業1年目で申請できるかどうか、決算がいつ必要か、従業員の要件がどうなるかが変わります。この記事では、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠)と中小企業省力化投資補助金(一般型)を中心に、比較の観点を整理します。細かい要件には踏み込まず、どの段階で何を確認するかを見ていきます。
① 結論:制度と枠で「1年目でも可」「1期決算後」「従業員」の扱いが分かれる
結論から言うと、創業1年目でも補助金の対象になるかどうかは、制度と枠によって分かれます。「補助金は創業直後だと使えない」と一律に考えたり、逆に「どの枠でも使える」と考えたりすると、準備の順番を誤りやすくなります。
確認できた範囲では、新事業進出枠は創業後1年未満の事業者が対象外で、最低1期分の決算書が必要とされています。一方、革新的新製品・サービス枠は1年未満の扱いが枠により要件が異なるため、公募要領で確認してください。中小企業省力化投資補助金(一般型)は、従業員0名が対象外になりやすい例として挙げられています。
② 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠):枠ごとの扱い
新事業進出枠は創業1年未満が対象外
新事業進出枠は、既存事業とは異なる新しい市場や高付加価値の事業へ進出する取組を支援する枠です。申請者にとっての新規性と新市場性が問われるため、創業直後の事業では「新しく見える」だけでは足りない点に注意してください。新規設立または創業後1年に満たない事業者は対象外とされており、最低1期分の決算書が必要です。
革新的新製品・サービス枠は枠により要件が異なる
革新的新製品・サービス枠は、自社の技術などを活かして新しい製品やサービスを開発する取組が対象です。単なる設備やシステムの導入だけでは対象になりにくく、新製品・新サービスの開発という目的があるかどうかが分かれ目になります。1年未満の事業者の扱いは枠により要件が異なるため、この記事では断定せず、公募要領で確認してください。
💬 執筆者の三浦から一言
審査する側にいたころから感じていたのは、補助金は枠の名前から入ると遠回りになりやすいということです。まずは投資の規模と、その設備で何を変えたいのかを整理してください。そのうえで創業後の経過と決算の有無を照らすと、比較する候補が自然に絞れます。
③ 中小企業省力化投資補助金(一般型):従業員0人は対象外になりやすい
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、既存事業の人手不足や工程のムダを減らすための設備・システム投資を支援する制度です。新しい事業を始める投資よりも、既存事業の省力化や生産性向上が主題になる点が特徴です。
従業員の面では、従業員0名が対象外になりやすい例として示されています。一人で始めたばかりの個人事業主にとっては、ここが最初の確認事項になります。従業員をどう数えるか、どの時点で何人必要かといった細かい考え方は、公募要領で確認してください。
また、汎用の設備を1つだけ導入する計画は、オーダーメイド性を示せない場合に対象外になりえます。複数の設備やシステムを組み合わせて、省力化の効果を示す計画が必要になります。
④ 賃上げ要件:1年目は計画段階で確認が必要
今回取り上げた制度には、いずれも賃上げに関する要件があり、達成できなかった場合に返還が生じうる制度が含まれています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の両枠では、一人当たりの給与支給総額について年平均で一定以上の上昇が基本要件とされています。中小企業省力化投資補助金(一般型)は、労働生産性の向上計画に加えて賃上げ目標が要件になっています。
創業1年目は、比較できる過去の給与実績が少ないため、賃上げ計画をどの水準で立てるかを計画段階で確認しておく必要があります。数値の算定方法や細かな条件は、公募要領で確認してください。
⑤ 1年目にやっておく準備
1年目の段階で整えておくと、制度を比べたときに迷いにくくなる準備を3つ挙げます。
第一に、決算書の準備です。新事業進出枠では最低1期分の決算書が必要とされているため、創業後の決算の時期を確認し、会計の記録を日頃から整えておく形にしてください。
第二に、従業員の状況の整理です。従業員の有無と今後の採用計画を書き出し、従業員の要件が関わる制度に当てはまるかどうかを確認します。
第三に、事業計画を自分の言葉で組み立てることです。事業計画は申請者自身が作成する必要があり、どの設備で何を変えたいのか、どの段階で賃上げを行うのかを、自分の判断で説明できる状態にしておくことが求められます。交付決定前の発注・契約・購入は対象外とされているため、設備の契約時期も制度ごとに確認してください。
⑥ 申請タイミング早見表
制度ごとに、「創業後の経過」「決算」「従業員」のどの段階で確認が必要になるかを並べました。具体的な月数の目安は制度や公募回によって変わるため、ここでは確認段階のみを示します。
| 制度(枠) | 創業後の経過 | 決算 | 従業員 |
|---|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠) | 創業後1年未満は対象外 | 最低1期分の決算書が必要 | 公募要領で確認 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠) | 枠により要件が異なるため公募要領で確認 | 公募要領で確認 | 公募要領で確認 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 公募要領で確認 | 公募要領で確認 | 従業員0名は対象外になりやすい例 |
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募は、締切が2026年10月30日18時と公募要領に記載されています。締切は公募回ごとに異なるため、日程は公募要領で確認してください。制度は改定されることがあるため、申請前に最新の公募要領や事務局(Jグランツ・各制度の事務局サイト)で必ず確認してください。
⑦ よくある質問
Q. 創業1年目でも使える補助金はありますか
制度と枠によって異なります。新事業進出枠は創業後1年未満が対象外です。革新的新製品・サービス枠は枠により要件が異なるため、公募要領で確認してください。
Q. 従業員がいない場合はどうなりますか
中小企業省力化投資補助金(一般型)では、従業員0名が対象外になりやすい例として示されています。従業員の扱いは制度の細かい条件に関わるため、公募要領か事務局に確認してください。
Q. 賃上げができなかった場合はどうなりますか
制度によっては返還が生じうるため、計画の段階で無理のない水準かどうかを確認しておくと安心です。
まとめ
創業1年目でも設備投資の補助金を使える可能性はありますが、制度と枠によって扱いが大きく分かれます。新事業進出枠は創業後1年未満が対象外で、1期分の決算書が必要です。革新的新製品・サービス枠は枠により要件が異なるため、公募要領で確認が必要です。中小企業省力化投資補助金(一般型)は、従業員0名が対象外になりやすい例です。候補の制度を絞り込んでから、個別の要件を確認する流れで進めてください。
制度は改定されることがあるため、申請前に最新の公募要領や事務局(Jグランツ・各制度の事務局サイト)で必ず確認してください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























