
整骨院の受付・会計は補助金の対象になるのか省力化の判断軸を整理
施術者が1〜2名という小規模な整骨院・接骨院では、受付対応や会計処理、予約管理といった事務作業が、施術そのものの時間を圧迫しやすくなります。こうした事務作業の省力化に使える制度として候補に挙がるのが、中小企業省力化投資補助金です。この制度には「カタログ注文型」と「一般型」の2種類があり、どちらが使えるのか、そもそも対象になるのかという判断軸がはっきりしないまま検討を始めてしまうケースが少なくありません。本記事では、施術者が少ない院の事務負担から逆算して、対象になるかどうかの分かれ目を整理します。
整骨院の受付・会計・予約は補助金の対象になるのか
結論から言うと、受付・会計・予約の省力化を目的とした投資は、中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型または一般型の対象になる可能性があります。ただし、どちらの制度も「省力化に資する機器・システムであること」が前提であり、導入する機器の種類や構成によって対象になるかどうかが変わります。
保険診療の施術機器と、受付・会計の機器は分けて考える
整骨院・接骨院は保険診療に類する施術を扱う業種であることから、「保険診療に関わる業種は補助金の対象になりにくい」という印象を持たれがちです。実際、経済産業省・中小企業庁系の補助金では、保険診療にかかる経費・機器は原則として対象外とされています。しかし、この対象外の考え方が指しているのは、施術や診療そのものに使う機器です。券売機や自動受付端末、会計・予約のためのシステムといった事務作業の効率化機器は、施術に使う機器とは性質が異なります。とはいえ、この「施術機器と事務機器の切り分け」がすべての制度で明文化されているわけではないため、実際の対象区分は最新の公募要領や事務局への確認を通じて判断することをおすすめします。
使える可能性があるのは2つの制度
中小企業省力化投資補助金には、カタログ注文型と一般型という2つの型があります。どちらも人手不足への対応と生産性向上を目的としていますが、対象になる設備の性質が異なります。
カタログ注文型の対象イメージ
カタログ注文型は、公的に登録された省力化製品のカタログから選んで導入するタイプです。補助上限は、大幅な賃上げ計画を盛り込む場合で1,500万円です。対象経費は、カタログに登録された省力化製品本体費と、据付・設定・運用支援などの付帯費用にあたります。ただし、中小企業等が販売事業者と共同で申請することが前提になっており、単独での申請は原則できません。既製の券売機や自動受付システムのように、カタログに掲載されている製品をそのまま導入する場合は、こちらの制度が候補になります。
一般型の対象イメージ(オーダーメイド性がカギ)
一般型は、自社の課題に合わせて設備やシステムを組み合わせる、オーダーメイド寄りの投資を支援する制度です。補助上限は従業員規模によって異なり、5人以下は750万円(大幅賃上げ特例で1,000万円)、6〜20人は1,500万円(特例2,000万円)と段階的に上がります。整骨院・接骨院の多くは従業員数が少ないため、まずは5人以下の上限を目安に検討することになります。対象経費は、専用の機械装置や検査工具、専用ソフト・情報システムの構築費が必須経費にあたり、運搬費や専門家経費、補助事業専用のクラウドサービス利用費などがその他の経費として認められています。
施術者1〜2名の院で「対象になるか」の判断軸
施術者が1〜2名という体制では、大規模な設備投資よりも、受付・会計・予約の負担をどう減らすかが現実的な投資目的になります。ここで重要になるのが、投資額の目安と、一般型特有のオーダーメイド性の判定基準です。
投資額の目安
一般型では、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ導入することが申請要件の一つです。整骨院・接骨院のような小規模院であれば、従業員規模別の上限表のうち5人以下750万円(特例1,000万円)の枠が現実的な目安になります。カタログ注文型は共同申請が前提になるため、販売事業者側がカタログ製品として展開している受付・会計システムを導入する場合に検討する流れになります。
単体導入はNG、組み合わせでオーダーメイド性を示す
一般型で判断が分かれやすいのが、オーダーメイド性の有無です。単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外とされており、単価50万円以上という条件を満たしていても、それだけでは足りません。対象になるのは、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果を生み出す場合、または導入環境に応じて周辺機器や構成する機能が変わる場合です。受付端末と会計システム、予約システムを組み合わせて一体的に導入する計画であれば、この基準に近づけやすくなります。一方、受付端末だけを単体で導入するような計画は、一般型では対象外と判断されやすい組み方です。
受付・会計・予約のどこが省力化にあたるか
受付・会計・予約という3つの業務領域のうち、どこに投資すると省力化として評価されやすいのかを整理します。
受付(券売機・自動受付端末)
来院時の受付対応を券売機や自動受付端末に置き換える投資は、省力化の典型的なイメージに近い領域です。カタログに掲載された既製品であればカタログ注文型、院の運用に合わせて他のシステムと組み合わせるのであれば一般型の対象整理に近づきます。
会計(会計処理のシステム化)
会計処理のシステム化も、受付と同様に省力化の対象として検討しやすい領域です。会計システムを単体で入れるだけでなく、受付端末や予約システムと連携させる構成にすることで、一般型のオーダーメイド性の基準に近づけやすくなります。
予約の位置づけ
予約システムは、単独での省力化効果が分かりにくい領域です。受付・会計と連携させ、来院から会計までの一連の流れを省力化する計画の一部として位置づけると、投資の目的が説明しやすくなります。
カタログ注文型と一般型、整骨院ならどちらが合うか
- 既製のカタログ掲載製品をそのまま導入したい場合は、カタログ注文型が候補になります。ただし販売事業者との共同申請が必要です。
- 受付・会計・予約を組み合わせて院の運用に合わせたシステムを構築したい場合は、一般型が候補になります。ただし単体導入は対象外になりやすく、組み合わせの設計を先に固める必要があります。
- 従業員規模が小さい整骨院・接骨院では、一般型の上限額も段階的に抑えられているため、投資規模を無理に大きくする必要はありません。
判断が分かれやすいポイントのまとめ
整骨院・接骨院が中小企業省力化投資補助金を検討する際に判断が分かれやすいのは、次の3点です。1つ目は、受付・会計・予約の機器が施術機器とは別扱いになるかどうかという区分の確認です。2つ目は、カタログ掲載製品をそのまま使うのか、組み合わせて独自の構成を作るのかという制度選択です。3つ目は、単体導入ではなく複数設備を組み合わせてオーダーメイド性を示せるかどうかです。
申請前に確認すべきこと
対象経費や上限額、オーダーメイド性の判定は公募回ごとに見直されることがあり、保険診療に類する業種の扱いも版によって解釈が異なる場合があります。実際に申請を検討する段階では、最新の公募要領を確認したうえで、中小企業診断士など補助金に詳しい専門家や制度の事務局に相談し、自院の投資計画がどの対象経費・要件に当たるのかを確認することをおすすめします。
💬 執筆者の三浦から一言
小規模事業者持続化補助金は、保険診療にかかる経費を経費区分を問わず対象外と明記しています。一方で省力化投資補助金は扱いが異なります。「保険診療に関わる業種だから一律NG」と思い込むと、本来対象になり得る投資まで検討から外してしまいます。制度ごとに確認してから判断したほうが安全です。
よくある質問
Q. 受付・会計システムだけを導入する場合、一般型の対象になりますか
単体の汎用設備を導入するだけでは、一般型のオーダーメイド性の基準を満たしにくいとされています。受付・会計・予約を組み合わせる、または院の運用に応じて構成を変える計画にすることで、対象になりやすくなります。
Q. カタログ注文型は自院だけで申請できますか
カタログ注文型は、中小企業等が販売事業者と共同で申請することが前提になっており、単独での申請は原則できません。導入を検討している販売事業者がカタログ製品を扱っているかどうかを確認する必要があります。
Q. 保険診療にかかる機器と判断された場合はどうなりますか
保険診療にかかる経費・機器は原則として対象外とされています。受付・会計・予約のシステムは事務作業の効率化機器であり、施術そのものに使う機器とは異なる整理になりますが、最終的な対象区分は最新の公募要領や事務局への確認が必要です。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























