
起業準備の1年を「気持ち・試す・相談・退職準備」の4期間で区切って考える
起業準備の1年は、月ごとのタスクより先に「構造」をつかむと進めやすい
起業準備のスケジュールを調べると、構想を練る、市場を調査する、資金の計画を立てる、必要な届出を済ませるといった項目が、月ごとに並んだ表で紹介されていることが多いはずです。ただ、平日は仕事で埋まっている役職者の立場からすると、月別のタスク表を見ただけでは、どこから手をつければいいのか、むしろつかみにくくなることがあります。
この記事では、月ごとの細かいタスクを並べる前に、1年という期間を「気持ちの整理」「小さく試す」「家族・専門家への相談」「退職の準備」という4つのテーマに区切って捉える考え方を紹介します。それぞれのテーマがどの順で積み上がっていくかという構造をつかんでおくと、自分がいまどの段階にいるかを見失いにくくなります。
半年〜1年という準備期間の目安をどう捉えるか
準備期間の目安として半年から1年という数字が示されることが多いですが、この長さそのものにこだわる必要はありません。大事なのは期間の長さではなく、4つのテーマをどの順で通過するかという流れのほうです。忙しさの度合いによって各期間が前後しても、気持ちの整理から始まり、退職の準備で終わるという大きな流れを保てていれば、進み方として無理は少なくなります。
1〜3か月目:気持ちを整理し、情報を集める期間
最初の3か月は、起業というテーマに対する自分の気持ちを整理しながら、関心のある分野の情報を広く集める期間として位置づけます。まだ何かを決める段階ではなく、なぜ起業を考えているのか、何にモヤモヤしているのかを言葉にしてみる時期です。
平日にできること・週末にまとめてやること
平日は、通勤時間や休憩時間を使って関心のある分野の情報を眺めたり、気になったことをメモに残したりする程度に留めます。まとまった時間が必要な市場調査や、自分の考えをじっくり書き出す作業は週末にまとめて行う、という分け方にすると、平日の仕事に支障が出にくくなります。この段階では、調査の量や完成度を気にするより、無理なく続けられるペースを見つけることのほうを優先してよいはずです。
💬 執筆者の三浦から一言
最初の3か月で形にしようとすると息切れしやすいので、この時期はメモを増やすくらいの気持ちで十分だと思います。平日は眺めるだけ、週末に少し書き出す、というくらいの温度差をつけておくと、仕事との両立がやりやすくなるはずです。
4〜6か月目:小さく試してみる期間
気持ちの整理と情報収集が一通り進んだら、次の3か月は、考えている構想を小さな範囲で試してみる期間にあてます。大きく動く前に、実際に手を動かしてみて、想定と現実のズレがないかを確認する時期です。
在職中でもできる範囲で試すという考え方
在職中は使える時間も限られるため、試す内容は最初から大がかりなものにせず、今の仕事や生活に支障が出ない範囲に絞っておくと進めやすくなります。試した結果がうまくいかなくても、その段階で分かったことは次の判断材料になりますので、結果そのものより、試してみて何が分かったかを記録しておくことのほうが役に立ちます。
7〜9か月目:家族と専門家に相談する期間
気持ちの整理と小さな試行を経たこの時期は、自分の中だけで考えを進めるのではなく、家族や専門家といった周囲の人に相談を始める期間として位置づけます。これまでの月別スケジュールでは見落とされがちですが、家族との対話は他のタスクに埋め込むのではなく、独立した時期として意識しておいたほうが進めやすくなります。
家族との対話を「いつ」行うかを先に決めておく
家族がいる場合、起業を考えていることをいつ、どのタイミングで伝えるかは、タスクのひとつとして後回しにされやすい部分です。7〜9か月目というこの時期に「家族と話す」という時間を先に決めておくと、気持ちの整理や試行の結果を踏まえたうえで、具体的な相談ができるようになります。一度で結論を出そうとせず、状況を共有する回数を重ねていく、くらいの気持ちで進めても構いません。
専門的な判断が必要になった場合(1セクションで専門家へ)
資金の計画や必要な届出、税務や労務にかかわる判断は、分野や状況によって事情が大きく異なるため、本記事の範囲では踏み込みません。この時期までに構想や試行の内容がある程度固まってきたら、税理士や中小企業診断士など、それぞれの専門家に具体的な状況を相談しながら進めるという段取りになります。
10〜12か月目:退職の準備を進める期間
最後の3か月は、これまでの気持ちの整理、試行、相談を踏まえて、退職に向けた準備を進める期間です。この時期になって初めて退職という選択が具体的に見えてくる、という進み方のほうが、途中で気持ちが揺れたときの軌道修正がしやすくなります。
退職のタイミングは、気持ち・家族との対話・準備の進み具合で考える
退職の手続き自体については会社ごとの規定に沿って進めるものですので、ここでは触れません。ここで扱いたいのは、気持ちの整理がどこまで済んでいるか、家族との対話がどこまで進んでいるか、試行の結果をどう受け止めているか、という3つの材料を合わせて、退職のタイミングを考えるという一般的な視点です。どれか一つが整っていない状態で退職を急ぐより、3つの材料を見ながらタイミングを探るほうが、気持ちの面でも落ち着いて動けます。
💬 執筆者の三浦から一言
退職の時期だけを先に決めてしまうと、後の材料がそろわず焦ることがあります。気持ち、家族との対話、試した結果の3つを並べて見てから日付を決める、という順番のほうが、後から振り返っても納得しやすいと感じています。
スケジュールが前後しても、4つのテーマの順番は崩さない
ここまで月数を区切って説明してきましたが、実際の進み方は仕事の忙しさや家庭の事情によって前後するのが自然です。1〜3か月目で気持ちが整理しきれず長引くこともあれば、4〜6か月目の試行が思うように進まないこともあります。月数が目安からずれても、気持ちの整理から始まり、試す、相談する、退職の準備をするという4つのテーマの順番そのものは崩さないようにしておくと、どの段階に戻って考え直せばいいかが分かりやすくなります。
【無料相談のご案内】
弊社は、V-Spiritsグループ代表の中野裕哲を中心に、中小企業診断士・元補助金審査員の三浦をはじめとした専門家チームが、業種を問わない幅広い起業・新規事業のご相談に対応しております。何から始めればいいかわからないという段階でも、適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひ一度ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。
まとめ:1年を4つの期間に区切ると、何から手をつけるか迷わなくなる
起業準備の1年は、月ごとの細かいタスクをひとつずつ追いかけるより、「気持ちの整理」「小さく試す」「家族・専門家への相談」「退職の準備」という4つの期間に区切って捉えたほうが、平日が忙しい役職者でも進めやすくなります。期間の長さや月数は目安として考え、4つのテーマの順番を保つことを優先すれば、途中で忙しさに振られても、自分がいまどの段階にいるかを見失いにくくなるはずです。




























