
整体とマッサージ、フランチャイズ加盟前に見極める融資スケジュールの立て方
フランチャイズ本部の資料には「開業資金〇〇万円から」というモデルケースが示されていることが多く、そこだけを見て加盟を検討し始める方は少なくありません。しかし、整体・リラクゼーションのフランチャイズと、あん摩マッサージ指圧師やはり師・きゅう師、柔道整復師のような国家資格を前提にしたフランチャイズとでは、開業までに踏む段取りの数も、いつ物件を押さえ、いつ融資を申し込むべきかのタイミングも変わってきます。
この記事では、自分が加盟しようとしているのがどちらのモデルかを先に判定したうえで、加盟契約・物件確保・資格や届出の確認・融資申込という流れをチェックリストとして整理します。資格や届出の詳しい手続きにはあえて踏み込まず、確認すべき順序に絞って解説します。
まず判定する。加盟しようとしているのはどちらのモデルか
整体・リラクゼーション系のフランチャイズは、国家資格を前提としない業態が中心です。一方、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師や柔道整復師といった国家資格、そしてそれに伴う施術所の届出が前提になるフランチャイズもあります。名称に「マッサージ」と付いていても、無資格で運営できる整体系のサービスを指している場合と、国家資格保有者による施術所を指している場合の両方があるため、加盟を検討している本部の業態がどちらに当たるかを、契約前の段階で確認しておく必要があります。
この区分によって、開業までに必要な準備の中身が変わります。区分の判断や、資格・届出の要否そのものについては、本部の説明だけで判断せず、所轄の保健所や本部の担当窓口に直接確認することをおすすめします。

💬 執筆者の小峰から一言
V-Spiritsではこれまでに712件(2026年6月時点)の創業融資支援を行ってきました。うちフランチャイズ支援は85件で11.9%、美容関連は101件で14.2%を占めており、整体・マッサージのようなフランチャイズ加盟案件にも実務で携わってきた実感があります。
モデルによって変わる、開業までの段取りの数
整体・リラクゼーション系のフランチャイズであれば、加盟契約と物件確保、内装・設備の準備を経て開業に進むのが一般的な流れです。一方、国家資格と施術所の届出が前提になるモデルでは、資格を持つ人材の確保や、施術所としての届出の完了を待つ工程が加わります。どの段階を誰が担当し、いつまでに完了させるかによって、物件を契約するタイミングや、融資を申し込むタイミングも前後します。
資格や届出まわりの具体的な書類の書き方や申請手続きは、行政書士など専門家の領域にあたる部分も含まれます。ここでは段取りの数が増えるという一般論にとどめ、詳細は所轄の保健所と加盟予定の本部の両方に確認する前提で進めます。
融資申込はどのタイミングで動くか
創業融資の審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。ただし、審査に必要な準備には時間がかかるため、加盟契約から開業までの流れの中で、いつ融資を申し込むかを先に決めておくことが重要です。以下の順序で確認すると、段取りの抜け漏れを防ぎやすくなります。
- ①加盟契約を結ぶ前に、本部が示す開業資金のモデルケースを確認し、自分の自己資金でどこまで賄えるかを大まかに把握する
- ②加盟しようとしているモデルが整体・リラクゼーション系か、国家資格・届出が前提のモデルかを判定する
- ③物件を契約するタイミングと、資格者の確保や届出の完了見込みを本部とすり合わせる
- ④創業計画書や見積書など、融資申込に必要な書類の準備を始める
- ⑤書類が整った段階で融資を申し込む
申請から融資実行までは、書類提出後おおむね3週間〜1か月が目安です(2026年6月1日現在)。書類の準備期間を含めると、合計でおよそ2か月を見ておくと安全です。国家資格・届出が前提のモデルでは、資格者の確保や届出の完了を待つ工程がこのスケジュールに重なってくるため、余裕を持った段取りが必要になります。
資金計画の基本になる数字
以下の数字はいずれも2026年6月1日現在の情報です。制度や利率は変更されることがあるため、申し込み時点の最新情報は日本政策金融公庫や申請先で確認してください。
日本政策金融公庫の創業融資でよく使われる制度が「新規開業・スタートアップ支援資金」です。2024年3月までは「新規開業資金」という名称でしたが、2024年4月から現在の名称に改称・拡充されました。あわせて存在していた「新創業融資制度」は2024年3月に廃止されています。融資限度額は7,200万円で、うち運転資金は4,800万円です(制度による)。
基準利率は創業期(税務申告を2期終えていない時期)に利用する場合で年3.45〜5.15%です。創業期の方が利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性がありますが、この引下げは無担保・有担保を問わず対象になります。ただし適用可否は利用する制度や審査・条件により異なるため、必ず下がると考えず申請先で確認してください。元金返済の据置期間は5年以内で設定され、据置中は利息のみの支払いとなります。
自己資金については、額や割合の要件は制度上決まっていません。ただし自己資金の額は審査の重要な判断材料になるため、多いほど有利になりやすい傾向があります。創業前に自費で取得した資格や設備、備品の購入、テストマーケティング費用などは、一定範囲で自己資金として評価されることがあるため、領収書を保管しておくとよいでしょう。
未経験で加盟する場合、審査でどう補うか
会社員から施術未経験のまま加盟を検討している場合、事業計画書の中でどう経験不足を補うかが審査のポイントになります。同業のメンターから定期的に助言を受けているといった対策や、経理・専門技術を業務委託でプロに任せるといった対策は、経営そのものへの関与としては弱く、有効なカバー策とは言えません。より説得力を持たせるには、事業経験者を役員として迎えるなど、事業運営に直接関わる体制を整えることが有効です。

💬 執筆者の小峰から一言
また、創業融資は事業として創業した実績がなくても申し込めますが、決算書をまったく見ないわけではありません。新しく設立した会社であっても、一期でも決算が締まっていればその決算書が確認されます。また、代表者が別に会社を経営している場合は、その会社の決算書も確認の対象になります。
個人事業主が今の事業をそのまま法人化する、いわゆる法人成りの場合は、原則として創業融資の対象外になり、通常の融資の扱いになります。一方で、個人事業主が営んでいる事業とは別の新しい事業を行う法人を新たに設立する場合は、その新法人にとっては創業にあたるため、創業融資を使うことができます。加盟を機に法人を新設する場合は、どちらに当たるかを事前に整理しておくと安心です。
よくある質問
Q. 自己資金は面談時点で全額入金しておくべきですか
A. はい、原則として面談の時点で口座に入金し、その経緯を説明できる状態にしておきます。
Q. 否決された直後にすぐ再申請してもよいですか
A. 原因を解消しないまま再申請しても、結果が変わるとは限りません。自己資金の不足や事業計画の説得力不足、未経験に対する備えの弱さなど、否決の理由を具体的に洗い出し、そこを改善したうえで申請し直すことが大切です。
まとめ
フランチャイズで整体・マッサージ院の開業を検討する際は、開業資金の金額だけでなく、自分が加盟しようとしているのが整体・リラクゼーション系か、国家資格・届出が前提のモデルかを先に判定することが、融資申込のスケジュールを立てるうえで欠かせません。資格や届出の詳細は所轄の保健所や本部に確認しながら、加盟契約・物件確保・融資申込の順序を整理し、無理のない段取りで開業準備を進めてください。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























