
フランチャイズ創業融資の審査に通るには?チェックリスト付き
フランチャイズで開業する際、多くの方が利用を検討するのが日本政策金融公庫の創業融資です。しかし、「フランチャイズ加盟だと審査に通りにくいのでは」という不安を持つ方も少なくありません。結論から言えば、フランチャイズだから不利ということはありません。ただし、通常の創業融資とは異なるチェックポイントがあります。本記事では、フランチャイズ創業融資の審査に通るためのポイントをチェックリスト形式で整理します。
フランチャイズでも創業融資は受けられる
日本政策金融公庫の新規開業資金は、フランチャイズに加盟して開業する場合でも利用できます。公庫は「フランチャイズだから融資しない」という方針は取っていません。
ただし、フランチャイズ開業にはいくつか審査上の特徴があります。公庫には全国のフランチャイズ加盟者の融資実績データが蓄積されており、過去に滞納や撤退が多い本部のブランドに加盟する場合は、審査が慎重になることがあります。
逆に言えば、実績のあるブランドに加盟し、しっかりとした事業計画を提出できれば、独立開業よりもビジネスモデルの説明がしやすい分、審査上のアドバンテージになるケースもあります。
審査で見られる5つのポイント
1. フランチャイズ本部の信頼性
金融機関は、加盟先の本部についても確認します。過去の加盟者の融資返済状況や撤退率のデータが蓄積されているため、実績の少ない本部や問題が多い本部に加盟する場合は、より詳しい説明が求められます。
本部選びの段階で、以下の点を確認しておくと審査でも説明しやすくなります。
- 本部の設立年数と加盟店舗数の推移
- 既存加盟者の平均売上・収益データの開示状況
- 本部が提供するサポート内容(研修・仕入れ・集客支援など)
- 契約書の透明性(ロイヤリティの計算方法、解約条件など)
2. 自己資金の準備
創業融資では、自己資金の額が審査に大きく影響します。目安として、融資希望額の3分の1程度の自己資金があると審査が通りやすくなります。
フランチャイズの場合、加盟金・保証金・内装工事費・設備費などの初期費用が明確に決まっていることが多いため、必要な資金総額が見えやすい利点があります。自己資金でどこまで賄い、融資でどの部分を調達するかを明確に整理しておきましょう。
なお、自己資金がゼロでも融資が絶対に通らないわけではありませんが、ハードルは上がります。コツコツ貯めてきた経緯が通帳から確認できると、ビジネスへの本気度として評価されやすくなります。
3. 事業計画書の具体性
フランチャイズの事業計画書では、「本部の看板に頼っているだけ」と見られないことが重要です。以下の要素を盛り込んでおくと、計画の具体性が伝わります。
- 出店エリアの市場分析(競合店舗数、人口動態、交通量など)
- 本部から提供される売上見込みの根拠と、自分なりの検証
- 日商・月商の計算根拠(客単価 × 来客数 × 営業日数)
- 損益分岐点の試算と黒字化までの見通し
- 返済計画(融資額に対する月々の返済額と利益の関係)
4. 主体性の表現
公庫の面談では、「フランチャイズだから本部がやってくれる」という受け身の姿勢はマイナスに評価されます。あくまでも経営者として事業を運営するのは自分自身だという主体性を示すことが重要です。
具体的には、以下のような点を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- なぜこのフランチャイズを選んだのか(複数のブランドを比較検討した経緯)
- 自分の経験やスキルがこの事業にどう活きるか
- 本部のサポートに加えて、自分独自に取り組むこと
- 開業後の集客や顧客対応をどう考えているか
5. 業界経験の有無と補い方
フランチャイズは未経験の業種でも開業できるのがメリットのひとつですが、融資審査では業界経験の有無が問われます。経験がない場合は、本部の研修制度や開業前の現場研修への参加予定を説明し、知識・スキルを補う計画があることを示しましょう。
前職での経験が直接は関係なくても、マネジメント経験や営業経験などの汎用スキルは評価対象になります。「未経験だから不利」と諦めるのではなく、持っている経験をどう活かすかを整理することが大切です。
フランチャイズ創業融資の準備チェックリスト
融資申請の前に、以下の項目を確認しておきましょう。
本部選び・契約前の確認
- 加盟を検討しているブランドの加盟店舗数と推移を確認したか
- 既存加盟者の平均的な売上・利益データを入手したか
- ロイヤリティの計算方法と支払い条件を理解しているか
- 契約期間・解約条件・競業避止義務を確認したか
- 本部の研修制度・開業サポートの内容を把握しているか
資金計画の整理
- 開業に必要な総資金額(加盟金・保証金・内装・設備・運転資金)を算出したか
- 自己資金の額と、その貯蓄経緯を説明できるか
- 融資希望額と、その使途の内訳を整理したか
- 月々の返済額が営業利益の範囲内に収まっているか
事業計画書の作り込み
- 出店候補エリアの市場調査(競合・人口・交通量)を行ったか
- 売上見込みの根拠を自分で検証したか(本部提供データの鵜呑みでないか)
- 損益分岐点と黒字化の時期を試算したか
- 本部のサポート内容と、自分独自の取り組みを分けて記載しているか
面談の準備
- 「なぜこのフランチャイズを選んだか」を自分の言葉で説明できるか
- 「自分の経験がどう活きるか」を具体的に話せるか
- 「本部任せではない」経営者としての姿勢を伝えられるか
- 売上計画の数字を自分で説明できるか
フランチャイズ創業融資で失敗しやすいパターン
審査に落ちるケースにも共通するパターンがあります。以下に当てはまる場合は、事前に対策を取っておく必要があります。
- 本部の説明会に参加しただけで、自分で市場調査をしていない
- 売上見込みが本部の提供データそのままで、自分なりの検証がない
- 自己資金がほぼゼロで、貯蓄の経緯も説明できない
- 「フランチャイズだから失敗しない」という前提で計画を立てている
- 面談で事業計画の数字を聞かれても答えられない
特に多いのは、「本部がしっかりしているから大丈夫」という説明に終始してしまうケースです。公庫は本部ではなく、申請者本人に融資します。本人が経営者として計画を理解し、リスクも含めて把握しているかを見ています。
専門家に相談するメリット
フランチャイズの創業融資は、独自開業と比べて資金計画が立てやすい反面、「本部との関係性」「ロイヤリティの扱い」「FC特有の審査ポイント」など、独特の注意点があります。
融資支援の実績がある専門家に相談すると、事業計画書の説得力が高まるだけでなく、公庫の面談でどんな質問が来るか、どう答えれば評価されるかを具体的にアドバイスしてもらえます。特に、元公庫職員や元金融機関出身の専門家であれば、審査する側の視点から計画をチェックできるため、合格率を高めることにつながります。
まとめ
フランチャイズ開業でも創業融資は十分に受けられます。審査を通過するために重要なのは、信頼できる本部を選ぶこと、自己資金をできる限り準備すること、事業計画書を具体的に作り込むこと、そして面談で経営者としての主体性を示すことです。
本記事のチェックリストを活用して、融資申請の準備を一つずつ進めてみてください。不安がある場合は、融資支援の専門家に早い段階で相談しておくと、準備の漏れを防ぐことができます。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























