
リース・割賦・レンタルの違いを融資と比べて選ぶ開業前の設備調達判断軸
開業の準備を進めていると、設備をどう手に入れるかで足が止まることがあります。リース・割賦・レンタルという3つの方法に加えて、創業融資で設備資金としてまとめて調達する方法もあり、どれが自分に合うのか迷いやすいところです。この記事では、3方式と融資を同じ土俵で比べながら、使う期間の見込みと事業の先の読みにくさという軸から選び方を整理します。あわせて、開業前の段階で気をつけたい点と、契約前に確認しておきたい項目も見ていきます。
リース・割賦・レンタルの違いをひとことで言うと
3つの方法は、設備を「持たずに使う」か「分割で持つ」かという違いで整理すると分かりやすくなります。リースは、月々の支払いで設備を使い、契約期間が終わると返却したり再契約したりする方法です。割賦は、設備を分割払いで購入する方法で、支払いが終わると所有権が自分のものになります。レンタルは、短期間だけ必要な分だけ借りる発想が中心で、契約期間はリースより短く設定されることが多いです。どの方法も、設備を自分のお金でまとめて買わずに使い始められる点は共通していますが、所有権が残るタイミングと、契約期間の長さが異なります。
例えば、調理器具や内装設備のように使う期間がはっきり決まっていない場合と、特定の業務に長く使う専用設備とでは、向いている方法が変わってきます。
開業前はそのまま契約できないことがある
ここで見落としやすいのが、開業前・創業前の個人が、そのままリースや割賦の契約者になれるとは限らない点です。契約先は、事業の実績や税務申告の状況などを確認したうえで契約の可否を判断するため、開業したばかりの段階では審査が通りにくい場合があります。レンタルは契約期間が短い分、比較的利用しやすいケースもありますが、これも契約先の判断によって変わります。
開業前は事業の実績を示す書類が整っていないことが多く、契約先が可否を判断しにくい、という事情が背景にあります。開業前に設備調達の方法を決めるときは、「希望する方法で本当に契約できるか」を早い段階で確認しておくと、計画の立て直しにあわてずに済みます。
リース・割賦・レンタルと、融資で調達する場合を並べて比較する
設備の調達方法は、リース・割賦・レンタルの3方式だけで考えるのではなく、創業融資で設備資金としてまとめて調達する場合とも並べて比べておくと、選択の幅が広がります。比べる軸は大きく3つです。ひとつは、最初にまとめて必要になる資金の大きさです。融資は設備費用をまとめて借りる形になり、リース・割賦・レンタルは支払いが分散します。ふたつめは、支払いや返済が続く期間の長さです。みっつめは、使い終わったときや返済が終わったときに、設備の所有権がどうなるかです。この3つの軸で並べてみると、「どちらが得か」ではなく「自分の状況にどれが合うか」という比較になりやすくなります。
創業融資で設備資金として調達する場合、新規開業・スタートアップ支援資金を利用する例では、設備資金の返済期間は20年以内、据置期間は5年以内という枠が示されています。これは制度上の上限であって、申込者が自由に選べる数値ではありません。実際に適用される返済期間や据置期間は、審査のうえで金融機関が決定します。
一方でリースには、初期費用を抑えて設備を使い始められるメリットがある反面、次のようなデメリットもあります。
- 連帯保証人が必要になることがある
- 設備の所有権を持てない
- 契約期間中の中途解約が難しい
- 故障時の修理負担が借主側になる契約が多い
融資とリースのどちらが合うかは、資産として設備を持ちたいかどうかや、資金繰りの状況によっても変わります。賃貸借費用の負担も含めて、申込先や専門家の話を聞きながら判断すると、見落としを減らせます。
💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言
公庫で支店長をしていたころ、設備投資の融資相談では、その設備が本当に必要かを必ず確認していました。リースや中古品に置き換えられるものは、それで十分と判断されることもあります。使う期間が読めない設備ほど、一つの方法に決め打ちせず他の選択肢と比べておくと、話がまとまりやすくなります。
使う期間の見込みから選ぶ判断の手順
ここまでの比較を踏まえると、選び方は「どの方式が得か」ではなく、「その設備をどれくらいの期間、どれくらい確信を持って使うか」から考えると整理しやすくなります。
まず、その設備をどのくらいの期間使う見込みかを考えます。短期的に使うのか、事業を続けるかぎり長く使い続ける設備なのかによって、向いている方法が変わってきます。
次に、事業そのものの先の見通しがどれくらい立っているかを考えます。開業して間もない段階では、売上や必要な設備の規模がまだ変わる可能性があります。開業したばかりの時期は、想定していた用途や使う頻度が、実際に事業を始めてから変わることもあります。見込みが変わりやすい段階ほど、契約期間を柔軟に見直せる方法を優先して考えておくと、後からの調整がしやすくなります。
使う期間が短く、事業の先もまだ読みにくい設備は、契約期間を短く見直しやすいレンタルを軸に考えると、状況が変わったときに対応しやすくなります。
長く使うことがほぼ決まっている設備は、創業融資で設備資金としてまとめて調達する方法が候補になります。割賦は、分割で購入しながら最終的に所有権を持ちたい設備に向いた、中間的な位置づけとして考えられます。
最後に、1つの方法に絞り込まず、設備ごとに組み合わせる発想を持っておくと、全体の資金計画が立てやすくなります。主要な設備は融資でまとめて調達し、使用期間がまだ固まっていない設備だけレンタルにする、といった組み合わせ方です。
契約前に確認しておきたい項目
方法を決める前に、次の項目を確認しておくと、契約後の見直しが少なくなります。
- 想定している使用期間と、契約期間の長さが合っているか
- 契約期間中に解約・変更したくなった場合、どのような条件になるか
- 開業前の段階で、自分がそのまま契約者になれるか
- 融資や購入など、ほかの調達方法と比べたときの総額のおおまかな違い
- 故障・メンテナンスが発生したときの負担がどちら側にあるか
これらは契約先によって条件が異なるため、見積りや契約内容を確認する段階で、ひとつずつ照らし合わせておくと判断のずれを防げます。
まとめ
リース・割賦・レンタルは、所有権が残るタイミングと契約期間の長さで整理すると違いが見えやすくなります。開業前は契約者になれない場合がある点も踏まえ、創業融資で設備資金としてまとめて調達する方法も並べて比べることが、選択の幅を広げます。使う期間の見込みと事業の先の読みにくさという軸で考え、設備ごとに方法を組み合わせる発想を持っておくと、無理のない設備調達につながります。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























