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コラム

【金融機関と締結する契約書(期限の利益の喪失)】|専門家に5分無料相談全国対応

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先週の当コラムで解説した「銀行取引約定書」、今回はその中でも重要な「期限の利益の喪失」について解説していきたいと思います。

 

 

「期限の利益の喪失」とは、つまり債務者(お客様)が持っている「期限の利益」を「喪失」するということです。

この項目内の条文に該当した場合に喪失することになります。

「期限の利益」が何かはよくわからなくても、「喪失」といわれると何やら嫌な予感がしますよね。

 

では、まず「期限の利益」とは何なのでしょうか?

経営者の方々は金融機関から借入をする際に「●年返済」や「返済期日を●年●月●日」というように、返済の期間を猶予する約束をしています

例えば、毎月10万円を7年返済と約束した場合には、その約束を守ってさえいれば「気に入らないから一括で返せ」とは言わせない権利を債務者(お客様)は持っています。

その権利を「期限の利益」と呼ぶと思ってください。

 

しかし、その大切な権利である「期限の利益」を失うケースがあります。

要は「明日中に耳を揃えて一括で返せ」と言われても対抗できない状態を意味します。

 

メチャクチャ怖いですよね。

 

この条文に該当すると、権利を失うほど銀行(債権者)を怒らせると思ってください。

 

では、どのような状態になると「期限の利益」という権利を失ってしまうのでしょうか?

具体的には、以下のような状態です。

  1. 破産手続、民事再生手続、会社更生手続、特別清算など法的な手続きがあった場合
  2. 手形交換所や電子債権記録機関の取引停止処分を受けた場合
  3. 上記に準じた手続きや弁護士への委任、廃業などが明らかになったとき
  4. 債務者もしくは保証人の預金に対し、差し押さえがあった場合

ここまでの条文に該当した場合は「当然に」権利を喪失してしまいます。

読めばわかりますが、このような状況になっている場合は既に経営は破綻していると考えられます。

 

  1. 債務の履行を一部でも遅延した場合
  2. 担保物件に対し競売手続きが開始された場合
  3. 銀行取引約定書の各項目に違反した場合
  4. 提出・報告した財務内容に重大な虚偽があった場合
  5. 債務者(お客様)の責めに帰すべき事由によって、所在が不明となった場合
  6. 反社会勢力の排除文言に抵触した場合
  7. 以上の項目に保証人が該当した場合
  8. 債権保全上、相当の事由が生じたと客観的に認められる場合

5~12の条文に該当した場合は、「一括返済を請求」された場合に、権利を失います。

中にはとてもファジーな文章(7や12など)もあり、この契約を最初に締結している以上、金融機関を怒らせるとロクなことはないことはお分かりいただけると思います。

また、「5. 債務の履行を一部でも遅延した場合」は1日の延滞であっても本来は許されないという条文になっていますし、

「9. 債務者(お客様)の責めに帰すべき事由によって、所在が不明となった場合」は住所変更を直ちに届け出ることの重要性を物語ります。

「8. 提出・報告した財務内容に重大な虚偽があった場合」は論外ですが、一時の出来心で決算書を粉飾することのリスクが存外に大きいということを示しています。

 

余談ではありますが、「7.銀行取引約定書の各項目に違反した場合」は専門家や金融機関の考え方により様々ですが、

大きく解釈すると「定期的かつ自発的に決算書などを提出・報告」しなければ、取引約定書内の「報告・提出」項目への抵触とみなすことも可能だと考えられます。

 

金融機関の担当者からは様々な「要求」が日々飛んできます。

定期預金や年金、投資信託や生命保険のセールスであれば、断っても問題ありません。

しかし、「住所が変わっているようなので変更届を提出してください」「今月の返済が落ちてないので入金してください」「決算書が出来上がることかと思うので、直近分を提出してください」などの要求は軽視せず、真摯に早急に対応した方が無難です。

 

 

金融機関から借入をしている方は必ずこの取引約定書を締結しています。

説明があったか否かは問わず、上記のような文言に既に同意しているという状況を再認識してください。

 

 

次回は個別の借入契約である「金銭消費貸借証書」について解説します。

 

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