
いまさら聞けない「リンゲルマン効果」って何?
~集団では頑張れないもの? 起業家・リーダーが知るべき心理の仕組み~
「チームに人が増えたのに、なぜか成果は比例して増えない…」
「ウェブ会議だと全員の発言がぴたり止まって、沈黙が続く…」
そんな現実に、「やっぱり自分ひとりで動いたほうが早いのかな…?」と感じた経営者の方も多いかと思います。
実はそれ、れっきとした心理のせいなんです。ズバリ、「リンゲルマン効果(社会的手抜き現象)」とは、人が集団になると一人ひとりの力が目減りしてしまうという現象。みんなが少しずつ「誰かがやってくれるだろう」と思い込み、その結果、集団のパフォーマンスが下がってしまうのです。
今回は、「どうしてこうなるの?」「どう防げばいいの?」をわかりやすくご紹介しますね!
リンゲルマン効果って、どういう現象?
これはフランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンが1913年に発見した心理現象です。綱引きの実験で、一人で引くときに100%出力を出すのに対し、グループになると1人あたりの力が明らかに落ちる、という結果が出ました。
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2人:1人あたり93%
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3人:85%
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4人:77%
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5人:70%
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8人:なんと49%まで低下!
つまり、人数が増えるほど、一人ひとりの「頑張り」が想像以上に落ちてしまうのです。
なぜ集団になると頑張れなくなるのか?
心理の世界では、この「手抜き」にも複数の理由が考えられています。
① 責任が分散するから「自分の力が目立たない」
匿名性が高くなることで、個人の責任感が下がってしまいます。誰かが代わりにやってくれる、という潜在的な期待が“甘え”を生むのです。
② モチベーションの低下(社会的怠惰)
集団の成果に貢献しよう、という意識より、「面倒だからやめよう」のほうが勝手に強くなる心理があります。これは「社会的手抜き」とも呼ばれます。
③ 協調不足による効率低下(協調ロス)
複数人で動く際、タイミングや方向がずれてしまい、単独よりも非効率になることがあります。
実際のチームではどう影響する?
この心理が原因で次のような影響が生じることがあります。
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会議で意見が出ない、発言が偏る
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プロジェクトの進捗が思ったより進まない
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結果的に、よく動く人に負担が偏る
結果として、組織全体の士気やパフォーマンスにも悪影響が及ぶことがあります。
防ぐためにはどうすればいいか?
ここからは、現場で役立つ対策をいくつかご紹介します。
少人数チームで「個人の存在感を大切に」
2〜5名程度のチームに分けることで、責任感が高まり、パフォーマンスを維持しやすくなります。
個々の貢献を「見える化」する
誰が、どんな成果を出したかが明確になる仕組みにすることで、責任感とモチベーションが高まります。
役割と目標を明確に
誰が何をいつまでにするのか、というゴールを明確に設定しておくことで、ぼやけた努力を防げます。
チームを「小さな成功体験」に参加させる
少人数での成功体験を積み重ねると、「自分がいて良かった」を実感できるようになり、参加意識が高まります。
最後に:知っていればヨシ、活かせば強いチームに!
「もっと人数を増やせば成果も上がる」
そんな期待が、逆にチームの“力をそぎ落としてしまう”こともあるというのがリンゲルマン効果です。
だからこそ、リーダーや経営者としては「どう進めないか」を知ることより、「どうすればみんなが力を発揮できるか」を考えることが大切です。
一人ひとりの存在が意味のある、温かいチームづくり。その基盤に「リンゲルマン効果を知る力」があることで、あなたの組織はもっと強く、もっと健やかに育っていきます。
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。