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コラム

採用基準はどう作るか?採用で失敗しないための判断軸の設計方法

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採用基準はどう作るか?採用で失敗しないための判断軸の設計方法

「面接官によって評価が分かれる」「入社させた人材がイメージと違った」「採用しても3か月で辞めてしまう」——これらの問題の多くは、採用基準があいまいなまま採用活動を進めていることに原因があります。中小企業の場合、人事専任者がいないことも多く、社長と現場リーダーで分担して採用を行う中で、判断軸がそろわないまま意思決定が積み重なっていきがちです。本記事では、採用基準の作り方を5つのステップに分けて整理し、入社後ミスマッチを減らす判断軸の設計方法を解説します。本記事は2026年5月時点の情報をもとに執筆しています。労働関連制度は変更されるため、最新内容は厚生労働省など公式情報をご確認ください。

そもそも採用基準とは何か|評価項目と何が違うのか

採用基準とは、「自社が選考で採るべき人物像を、判断可能な水準で言語化したもの」です。よく似た言葉に「評価項目」がありますが、両者は次のように整理できます。

  • 採用基準:自社が求める理想の人物像・必要な要件(採用ターゲット像の定義)
  • 評価項目:採用基準に沿って候補者を採点する個別の尺度(面接で何を見るか)

採用基準が抽象的な「目的」、評価項目がそれを測る「ものさし」というイメージです。両方をセットで設計しないと、「コミュニケーション能力が高い人を採りたい」と言いながら、実際の面接では人によって評価がブレ続けるという状態になります。

採用基準があいまいだと起こる3つの問題

採用基準が言語化されていない会社では、次のような問題が繰り返し発生します。

1. 面接官ごとに評価がブレる

同じ候補者を見ても、社長は「コミュニケーション力が高い」、現場リーダーは「我が強くて扱いにくい」と真逆の評価が出ます。判断軸が共有されていないまま面接を分担すると、最終決裁で揉めて、結局「社長の感覚」で決めるパターンに陥りがちです。

2. 入社後のミスマッチが発生する

「優秀そうな人だから採ろう」という曖昧な基準で採用すると、入社後に「期待していた業務領域と本人のスキルが合わない」「社風と価値観が合わない」というギャップが顕在化します。中小企業ほど人数が少ないため、1人のミスマッチが組織全体に与える影響は大きくなります。

3. 採るべき人を落としてしまう

採用基準がないと、「経歴が立派な人」「面接で話が上手い人」が無意識に評価されやすくなります。結果として、自社の業務で本当に成果を出せる人材を、表面的な印象だけで見送ってしまうことが起こります。

採用基準の作り方|5つのステップ

採用基準は、思いつきや感覚で決めるものではありません。経営戦略と現場の実態を接続して、段階的に言語化していく作業です。中小企業でも無理なく回せる5ステップで整理します。

ステップ1:経営戦略と採用目的を確認する

まずは「なぜ採用するのか」を明確にします。中長期の経営ビジョン、今期の事業計画、欠員補充か新規ポジションかの区分など、採用の起点を経営層と擦り合わせます。

  • 今後3年間で実現したい売上・組織規模
  • 新規事業の立ち上げか、既存事業の人員強化か
  • 即戦力が必要か、若手育成枠か
  • 正社員か、業務委託・パートでも代替可能か

採用目的が「とにかく人手が足りないから」だけだと、求める人物像が漠然としたまま選考が始まってしまいます。事業のゴールから逆算して、ポジションの必然性を確認するところから始めます。

ステップ2:求める人物像(ペルソナ)を言語化する

採用目的が明確になったら、次は「どんな人がそのポジションで成果を出すか」を具体的に書き出します。中小企業の場合、すでに社内で活躍している人材をモデルにするのが最も実用的です。

  • 業務遂行に必要なスキル(経験年数・実務範囲・専門知識)
  • 性格・価値観の傾向(自走型/指示待ち型、慎重派/挑戦派など)
  • 働き方の希望との整合性(出社頻度・残業許容度・通勤時間)
  • カルチャーフィット(自社の社風になじめる人物像)

「コミュニケーション力が高い」のような抽象表現で止めず、「クライアントとの初回面談で要望を引き出し、議事録に落とせる」「社内チャットで自分から状況共有できる」など、行動レベルまで分解するのがコツです。

ステップ3:MUST条件とWANT条件に分ける

言語化した要件をすべて満たす候補者は、現実にはほぼ存在しません。要件を「絶対に必要な条件(MUST)」と「あれば望ましい条件(WANT)」に分けて、選考のシビアさを調整します。

  • MUST:これがないと業務が成立しない条件(例:普通免許、特定の業務経験3年以上、夜勤可)
  • WANT:あれば加点になる条件(例:マネジメント経験、特定の業界経験、英語力)

MUSTが多すぎると応募が集らず、WANTを増やすほど書類選考の難易度が上がります。「現場が本当に求めているのはどこまでか」を経営層と現場で合意するのが、ステップ3の最大の目的です。

ステップ4:評価項目に落とし込む

採用基準が固まったら、選考プロセスで使う評価項目に変換します。書類選考、1次面接、最終面接で見るポイントを段階的に整理します。

  • 書類選考:MUST条件の充足、職務経歴の整合性、志望動機の具体性
  • 1次面接:実務スキルの裏付け、業務理解度、コミュニケーションの取り方
  • 最終面接:カルチャーフィット、長期定着の意思、価値観の整合

各項目に「A・B・C」の3段階評価や「5点満点」のスコアを設定し、面接シートに記入してもらう運用にすると、面接官間のブレを抑えやすくなります。スコアの根拠(候補者の具体的な発言や行動)もメモする欄を設けるのがおすすめです。

ステップ5:基準を運用しながら更新する

採用基準は一度作って終わりではありません。実際の選考で「この基準では現場が望む人材を取り切れない」「この項目はWANTで十分だった」という気づきが出てきます。半年〜1年に1回は採用結果と現場の評価を照らし合わせて、基準そのものを更新していくのが理想です。

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V-Spiritsの採用定着支援サービスでは、給与・条件の競合リサーチ、求人原稿の改善、応募後24時間以内の初動対応など、採用がうまくいく会社が実践している型を全国2,000社超の支援実績をもとに採用定着士が伴走で組み立てます。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、5ステップで仕組み化します。

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採用基準を設計したあとは、求人原稿への落とし込みや応募初動対応など、実際に応募者と接点を持つフローの整備も大事になります。社内だけで設計しきれない場合は、採用全体の伴走支援を行う専門家と一緒に進めることで、設計と運用のスピードを両立できます。

中小企業が採用基準を作るときの実務的なポイント

大企業のような体系立った人事制度がなくても、中小企業ならではの強みを活かせば実用的な採用基準は作れます。

ポイント1:社内で活躍している人材をリファレンスにする

すでに自社で成果を出している社員の「共通点」を洗い出すと、求める人物像が具体的に見えてきます。学歴や前職の知名度ではなく、「業務での動き方」「価値観」「定着までの過程」に注目するのが鍵です。

ポイント2:MUST条件は3つまでに絞る

MUSTを増やしすぎると応募者が枯渇します。実務的には3つ程度に絞り、それ以外はWANTとして加点評価に回したほうが、母集団の確保と選考の柔軟性を両立できます。

ポイント3:面接官全員で基準を共有する場を作る

採用基準を作ったあと、面接に関わる社員全員で「この基準だとAさんは合格・Bさんは不合格」という擦り合わせを30分でも行うと、評価のブレが大幅に減ります。模擬面接や過去案件の振り返りを通じて、判断軸の共通言語を作ることが重要です。

ポイント4:差別的な基準にしない

性別・年齢・国籍・家族構成などを採用基準に含めることは法律上問題があります。「業務遂行に必要な能力・要件か」を常にチェックし、本人の属性ではなく行動・スキルベースで判断軸を組み立てます。

採用基準と評価項目のチェックリスト

採用基準を作ったら、次のチェックリストで自社の基準を見直してみてください。

  • 採用目的と経営戦略がひも付いているか
  • 求める人物像が行動レベルで言語化されているか
  • MUSTとWANTが明確に分かれているか(MUSTは3つ前後)
  • 評価項目がスコア化できる形になっているか
  • 面接官全員が同じ基準を理解しているか
  • 差別的な要素が混入していないか
  • 半年〜1年で見直すサイクルが組まれているか

よくある質問(FAQ)

Q1. 中小企業でも詳細な採用基準は本当に必要か?

必要です。むしろ少人数で判断する中小企業ほど、1人のミスマッチが組織に与える影響が大きいため、基準を明文化しておく意味は大きくなります。立派なフォーマットは不要で、A4一枚にまとめるだけでも効果があります。

Q2. 採用基準と職務記述書(ジョブディスクリプション)は何が違うのか?

職務記述書はポジションごとの「業務内容」を示す書類で、採用基準はそのポジションで成果を出す「人物像」の定義です。職務記述書から逆算する形で採用基準を作ると、業務と人物像の整合が取れた選考になります。

Q3. 応募が集まらない場合、採用基準を緩めるべきか?

MUST条件を緩めるのは慎重に判断してください。基準を緩めるよりも、求人原稿の見せ方・募集媒体・給与水準の見直しを先に検討するほうが、ミスマッチを増やさずに応募増を狙えるケースが多いです。

Q4. 新卒採用と中途採用で基準は分けるべきか?

分けるべきです。新卒採用は「ポテンシャル」「価値観」「学習意欲」が中心、中途採用は「即戦力スキル」「実務経験」「定着の意思」が中心になります。同じ採用基準を流用すると、新卒には厳しすぎ、中途には甘すぎる基準になりがちです。

まとめ|採用基準は経営戦略と現場の橋渡し

採用基準は、経営戦略と現場のオペレーションを橋渡しする実務ツールです。あいまいなまま選考を進めると、面接官の評価がブレ、入社後にミスマッチが顕在化し、結果として早期離職や採用コストの増大につながります。

逆に言えば、5つのステップに沿って採用基準を言語化し、評価項目に落とし込み、面接官同士で共通言語化するだけで、採用の精度は大きく改善します。中小企業の場合は、A4一枚の基準書から始めて、運用しながら磨き込んでいくのが現実的です。

採用基準の設計、求人原稿への落とし込み、面接プロセスの整備など、自社だけで進めにくいテーマは、採用定着の専門家と一緒に進めるとスピードと精度を両立できます。社内で議論が膠着している場合は、第三者の視点を入れるところから始めてみてください。

中野裕哲 採用定着関係紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など

【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。

同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。

大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。

ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

  • 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
  • 補助金・助成金支援実績600件超
  • ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
  • 無料相談件数は全国から累計3,000件超

この記事を書いた人

坂井 優介(Yusuke Sakai)

起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者

1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。

大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。

現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。

役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援

💬 無料相談のご案内

V-Spiritsでは、大企業人事・採用エージェント・中小企業支援の三つの現場を経験した特定社会保険労務士中野裕哲を中心とした採用定着士チームが、採用・定着に悩む中小企業・個人事業主の方を無料でサポートしています。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、再現性のある仕組みづくりをご支援します。まずはお気軽にご連絡ください。

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