
カフェ開業で資金繰りに失敗しないための創業融資の活用と準備手順
カフェの開業では、内装工事や厨房設備への投資に加え、開業前から食材・消耗品の仕入れ費用が先行して発生します。この記事では、①創業融資を借りるべき理由、②資金繰りがショートしやすいタイミングとその防ぎ方、③在職中からできる準備、の3点を軸に整理します。
カフェ開業に創業融資を借りるべき理由
カフェを開業する場合、厨房設備や内装工事といった設備投資に加え、開業前から食材や消耗品の仕入れを進めておく必要があります。売上が入るのは開業後ですが支出の多くは開業前後に集中するため、自己資金だけで乗り切ろうとすると手元資金が薄くなりやすい業種です。
店舗を借りて開業する場合の内装工事費や厨房機器の購入費はもちろん、土地や建物の取得を伴う場合も、これらは設備資金にあたる支出であるため、創業融資の対象になります。物件の取得を前提に検討している場合は、物件を押さえる前に申込先へ相談しておくと、資金計画と物件取得のタイミングを合わせやすくなります。
カフェが開業後に資金繰りショートしやすいタイミング
カフェの開業失敗を扱う記事では、食材ロスやメニュー数の増やしすぎ、客単価や回転率の低さ、立地とコンセプトの不一致といった要因がよく挙げられます。これらは経営上の失敗要因であると同時に、資金繰りの面では、仕入れや廃棄のコストが想定より膨らむ時期、客数が計画どおりに伸びない時期に、家賃や人件費、借入の返済といった固定費が先に出ていくことで手元資金が細っていく、という構造として捉えられます。
特に資金が尽きやすいのは、開業直後の数か月です。開業前の投資で自己資金の多くを使い切った直後に、売上がまだ安定しない期間の運転資金がそのまま重なるためです。厨房設備の不具合や季節による客足の変動など、計画時点では見込みにくい振れが生じた場合にも、資金繰りが厳しくなる場面があります。
資金繰りショートを防ぐための具体策
開業直後は売上が計画どおりに立ち上がらない期間が生じることを前提に、運転資金には余裕を持たせておく考え方が基本になります。具体的に何か月分を確保するかは業態や固定費の水準によって変わるため、家賃・人件費・仕入れなどの月間支出を洗い出したうえで判断する必要があります。
家賃や人件費のように売上に関わらず一定額が発生する固定費と、食材原価のように売上の増減に応じて変動する変動費を分けて把握しておくことも基本になります。固定費は資金繰りが厳しくなったときにもすぐには減らせない支出のため、開業時点でどこまでなら支払いを続けられるかを見積もっておく必要があります。運転資金として計上できる支出には人件費なども含め事業に必要な経費が含まれ、資金使途はあくまで事業に必要な支出であることが前提になります。
また、月ごとの入金と出金の見込みを一覧にした資金繰り表を作成しておくと、資金が不足しそうな月を事前に把握できます。カフェであれば、仕入れの支払いサイトや繁忙期・閑散期による売上の波を踏まえた形で作成しておく必要があります。
在職中にできる準備
自己資金は、制度上、金額や割合の要件が決まっているわけではありませんが、審査の重要な判断材料になるため、多いほど有利になりやすいという性質があります。在職中の給与から計画的に積み立てておくほか、開業前に自費で取得した資格の取得費用や、開業に向けて購入した設備・備品、テストマーケティングにかけた費用なども、一定範囲で自己資金として評価されることがあります。この場合は領収書を保管しておく必要があります。自己資金は、面談の時点で口座に確認できる形にしておくことが前提になります。
カフェの開業には食品衛生責任者などの資格が必要で、在職中に取得しておけば退職後の期間を開業準備にあてやすくなります。顧客リストや仕入先の確保も在職中から進められる準備で、食材の仕入先や内装・厨房設備の業者との関係づくりは、開業直前より時間をかけて比較検討できます。
店舗物件を探す場合、V-Spiritsグループ代表・中野裕哲の著書『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』では、飲食店では150件程度の物件を検討することが目安になるとされています。1社の不動産仲介会社から5件程度の紹介を受けるとすれば、30社程度を回ることで150件の情報が集まる計算です。最初の1週間にどれだけ物件情報を送ってくれるかで仲介会社を見極めること、気になった物件は現地を見に行くことも同書で触れられています。在職中からこの情報収集を進めておくと、開業直前の時間の余裕が生まれます。
個人事業主として開業する場合と、新たに法人を設立してカフェを始める場合のどちらも創業にあたるため、創業融資の対象になります(すでに営んでいる個人事業をそのまま法人化する法人成りはこの対象に含まれず、通常の融資の扱いになります)。あわせて、創業計画書や自己資金を確認できる資料、見積書などの必要書類も、在職中から整えておくことができます。
💬 執筆者の小峰から一言
信用金庫で融資を出す側にいたころは、自己資金は金額の大きさそのものより、そのお金をどう貯めたのかという入金の経緯をどれだけ説明できるかを見ていました。通帳の動きを在職中から整理しておくと、面談での説明がしやすくなります。
創業融資の申込タイミングと審査で見られるポイント
創業融資は、申込から実行までおおむね3週間から1か月程度かかり、書類の準備を含めると全体で2か月程度を見ておくと安全です。在職中に準備を進めておけば、退職後すぐに申込に進みやすくなります。開業予定日から逆算していつ申込むかを決めておく必要があります。
審査では、業務経験、自己資金、事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合、信用情報などをもとに判断されます。カフェであれば、飲食店での勤務経験の有無や年数、メニューの原価や客単価の根拠、資金の使い道と調達額が見合っているかといった点が、それぞれの項目に当てはめて確認されます。
面談では、事業計画書に書いた数字の根拠を自分の言葉で説明できるかが確認されます。自己資金をどう貯めてきたか、飲食業での経験をどう活かすか、資金使途ごとの金額の内訳などがよく聞かれます。
よくある失敗パターンとその回避法
1つ目は、メニューを増やしすぎて食材の仕入れが膨らみ、ロスが発生するパターンです。メニュー数と仕入れ量を事業計画の段階で見積もり、資金使途と調達額の整合を取っておくことが、この失敗を避ける手がかりになります。
2つ目は、客単価や回転率を見込みより高く見積もるパターンです。売上の根拠が甘いままだと想定した売上に届かず、固定費の支払いが先に資金を圧迫します。事業計画書の売上根拠を具体的な数字で組み立てておくことが、審査でも開業後の資金繰りでも役立ちます。
💬 執筆者の小峰から一言
融資を出す側にいたころの実感として、店舗を出すなら一等地でなければ、という考え方に寄りすぎない方がよいと感じています。審査で問われるのは、その立地でなければならない理由と、家賃に見合う客数・客単価が計画に示されているかです。
3つ目は、立地とコンセプトが噛み合っていないパターンです。家賃の高い立地を選んだ場合、その家賃に見合う客数・客単価を確保できるかが、事業計画の具体性として問われます。立地を選ぶ際は、その場所でなければならない理由を説明できる形にしておく必要があります。
カフェの開業資金で迷ったらV-Spiritsの無料相談へ
カフェの開業資金や資金繰りの計画に迷う場合は、V-Spiritsの無料相談を利用する方法があります。V-Spiritsグループはこれまでに712件(2026年6月時点)の創業融資支援に携わっており、飲食業の開業も135件(同時点で全体の19.0%)含まれています。事業計画書の作り方や自己資金の整理の仕方など、申込に向けた準備を一緒に整理していくことができます。
よくある質問
Q. 自己資金はいくら必要ですか。
A. 制度上、自己資金の金額や割合について決まった要件はありません。ただし審査の重要な判断材料になるため、多いほど有利になりやすいという性質があります。
Q. 在職中でも創業融資に申込めますか。
A. 申込は開業前でも可能です。実行までにおおむね3週間から1か月程度かかるため、退職前から準備を進めておくと、開業のタイミングに合わせやすくなります。
Q. 飲食店での勤務経験がなくても融資を受けられますか。
A. 審査では業務経験も含めて総合的に判断されます。経験が短い場合は、事業計画の具体性や自己資金の形成過程で説明を厚くしておくことが手がかりになります。
Q. 資金繰りが厳しくなった場合はどうすればよいですか。
A. まず資金繰り表を見直し、固定費と変動費のどこに無理が生じているかを確認します。借入の返済条件は据置期間や返済期間も含めて金融機関が審査のうえ決定する事項なので、借入先の金融機関に相談する必要があります。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























