
不動産会社設立で公庫の創業融資に断られたら、原因の見極めと再申請の進め方
不動産会社の設立を目指して日本政策金融公庫に創業融資を申し込んだものの、断られてしまった——。宅建業の免許取得や事務所準備を進めていた方にとって、これは資金計画の見直しを迫られる大きな出来事です。しかし、断られたからといって資金調達の道が閉ざされたわけではありません。
この記事では、不動産会社設立の創業融資が断られやすい理由と、断られた後にとるべき対処の進め方を整理します。
まず確認:公庫に断られても「終わり」ではない
日本政策金融公庫の創業融資は、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断される制度です。逆にいえば、計画書や自己資金の見せ方を立て直せば、評価が変わる余地があるということです。一度断られても、原因を改善したうえで再申請したり、別の資金調達手段を検討したりすることができます。まずは落ち着いて、なぜ断られたのかを整理することが第一歩です。
不動産会社設立で断られやすい主な理由
自己資金の準備状況
制度上、自己資金の額や割合に決まった要件はありません。ただし、自己資金の額は審査の重要な判断材料になり、多いほど有利になりやすい傾向があります。急に振り込まれた資金など、出所が説明しにくい資金は評価されにくいため、面談時点で口座に確認できる形にしておき、計画的に準備してきた経緯を説明できるようにしておくことが大切です。
事業計画書の説得力
不動産会社の場合、「仲介手数料や管理手数料でどう売上を作るのか」「どのような物件・顧客層をターゲットにするのか」を具体的に示せるかが問われます。見込みだけの計画では説得力に欠け、売上の根拠が薄いと審査で評価されにくくなります。
宅建業免許の取得状況とスケジュール
不動産会社を営むには宅地建物取引業の免許が必要です。免許の取得には一定の期間がかかるため、融資の申請・実行スケジュールと免許取得のタイミングがずれると、事業計画の実現性に疑問を持たれることがあります。免許の具体的な要件・手続きは行政書士などの専門家に確認しながら、融資のスケジュールと合わせて計画することをおすすめします。
断られた後にとるべき対処ステップ
断られた直後にすぐ同じ内容で再申請しても、結果は変わりにくいものです。次の手順で立て直しましょう。
- 断られた理由を整理する:自己資金・事業計画書・資金使途のどこに弱点があったかを洗い出します
- 自己資金を積み増す:時間をかけて計画的に自己資金を増やすことは、分かりやすい改善策です
- 事業計画書を作り直す:ターゲット顧客・収益モデル・売上の根拠を、より具体的に示します
- 宅建業免許の取得スケジュールを整理する:融資の実行時期と免許取得のタイミングがずれないよう調整します
- 専門家に相談する:第三者の視点で計画書や資金使途を点検してもらうと、自分では気づけない弱点が見えてきます
日本政策金融公庫は個人信用情報機関に加盟していますが、審査に落ちたこと自体が信用情報に記録されることはありません。一方で、公庫内部には審査に落ちた記録が残り、次回審査ではその経緯を考慮して慎重に扱われる可能性があります。原因を潰さずに再申請しても、結果は変わりません。否決の理由を具体的に特定し、そこを改善したうえで再申請することが必要です。
融資限度額・金利・据置期間の基本
「新規開業・スタートアップ支援資金」は原則として無担保・無保証人で利用でき、融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。基準利率は2026年6月1日時点で、無担保・創業期(税務申告を2期終えていない場合)で年3.45〜5.15%です。制度・審査条件によって実際の適用利率は変わるため、申請時点の最新情報を確認してください。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いとなります。
V-Spiritsの創業融資支援実績
V-Spiritsグループは、これまでに712件(2026年6月時点)の創業融資を支援してきました。建設・不動産・製造などの業種は68件(構成比9.6%)にのぼり、不動産会社設立の資金計画の相談にも対応しています。再申請に向けた事業計画の立て直しに不安がある場合は、こうした支援実績を持つ専門家に相談してみるのも一つの方法です。
よくある質問
Q. 公庫に一度断られたら、もう申し込めないのですか
A. そんなことはありません。断られた原因を改善したうえで、一定期間を空けて再申請することは可能です。改善のないまま連続で申し込むのは避けましょう。
Q. 宅建業免許の取得前でも融資の申請はできますか
A. 免許の取得状況によって進め方が変わるため、融資の申請・実行のスケジュールと免許取得の時期がずれないよう、早めに専門家へ相談しながら計画することをおすすめします。
Q. 自己資金が少ない場合、再申請をあきらめるべきですか
A. 自己資金の額や割合に制度上の要件はありませんが、審査の重要な判断材料になるため、できる範囲で積み増しておくことをおすすめします。みなし自己資金として評価され得る支出がないかも確認してみてください。
まとめ
不動産会社設立の創業融資に断られても、自己資金の準備状況、事業計画書の説得力、宅建業免許取得のスケジュールという3つの観点から原因を見極めれば、再申請の道は開けます。原因を改善しないままの再申請は結果が変わらないため、専門家の力も借りながら、計画を立て直したうえで次の一手を打つことをおすすめします。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。





























